Antipyretic

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Lamento -BEYOND THE VOID-

http://www.nitrochiral.com/pc/software/lamento/

最初に結論を書くと、面白くはなかった。絵や音楽や演出はかなりいいんだけど、肝心のシナリオがちょっと長時間読まされるには辛かったのがなあ……。でも好きな作品かと聞かれれば好きだと答える。

まず欠点から書くと、三人しか攻略対象がいないのに見事な判子シナリオでそのくせべらぼうに長い。話も点と点の繋ぎ方が雑で、ラスボス到達までのプロセスに後付けで無駄なイベントを大量に詰め込んだよーな構成になっていて、キャラクタも作者の都合で動かされている印象を受ける。特に呪術師関連とフィリが関わるイベントが顕著。ピンチの時もだいたいシュイが何とかしてくれるので緊迫感がない。いくつかの謎も用意されているが、それも面白そうな気配がしないし真相も先延ばしにされるのではどうでもよくなってくる。頻繁に入る戦闘シーンのつまらなさも致命的で、何のためにいるのかすらよくわからない敵の存在がどうにも。とにかく延々読まされたな、という感想が真っ先に。

そもそも序盤からすでに退屈なのがよろしくない。メインキャラクタはコノエしかいないのに面白いわけでもなく無駄に長い。悪魔との問答は一気に済ませて欲しかった。それでも藍閃に到着してからは話が少し進むが、そこからまた無駄な寄り道タイムになるのでテンションが持続しない。そしてラストはご都合主義展開の嵐で幕。

更に『虚ろ』や『失駆』が蔓延していて世界が危ないという切迫した空気がなく、これらの設定は飾りでしかない。リークスや悪魔の中途半端な言動や立ち位置も、シナリオにメリハリがなくプレイ中の眠気を誘う原因になっている。

――と一気に不満を列挙したが、それでもフルコンプ出来たのは萌えに繋がったからなんだよなあ。恐らくライがいなければ挫折していた。リークスやコノエの身に降り懸かった呪いに纏わるメインストーリー周辺はつまらないんだけど、キャラクタの魅力を押し出すふとしたイベントにはやられることが多かったし、特にライ周辺は楽しすぎた。萌えはすべてを凌駕するだけのパワーがあるのだということを久々に思い知らされた。

他にも単なる猫耳ゲーかと思いきや猫の習性をきちんと取り入れている猫ゲーだった点には唸らされたし、設定は活かされてはいないものの独特の世界観はツボに入ったし ZIZZ による音楽も素晴らしかった。たたな氏の CG も前作に比べて洗練されて柔らかくなり、大衆に受け入れられやすいものに変わったんじゃないかなあ。何気にモブキャラ一人一人にきちんと専用のフェイスが用意されているのも丁寧な仕事で印象はいい。

システムは豪華だけど欠点も多く一長一短。演出は賑やかになったけど後半にはそれも鬱陶しく感じられ、またキャラ名が表示されないので誰の台詞なのかわかりづらい。そしてロードが重いんだけど、これはバックログを最初から全部読みこんでるせいっぽい。設定画面も見づらかったな。一周が長いのにスキップも遅い上に既読判定も甘く、重要な未読文章も見逃してしまいがちなのが痛い。それと『咎狗』同様、プレイ中の画面にメニューが配置されておらずいちいち呼び出さなければならないのが鬱陶しい。キーボードには一応対応してるけど、やはりメニューがないと心許ない。

不満列挙大会になったけど、それでも先述したように萌えだけはがっつりあった。萌えられたからすべて良しとはいかないけど、そもそも猫耳属性がないどころか苦手意識のあった私がフルコンプ出来たくらいにはのめりこめたので、結果としてはプレイして良かったなあと。キャラクタと世界感と雰囲気と音楽は極上だった……。

コノエ (CV:波多野和俊)

単純明快でわかりやすい主人公。特に好きな主人公ってわけでもないけど、ライルートで女々しい時があったのが気になったくらいで不満はあまりない。親からの愛を受けて育ったせいか根が健全で、見ていてハラハラさせられることもなかった。

ところでプレイしていてライの狂気、アサトの魔物化、バルドの呪いと攻略対象三人の抱える問題がベクトルは違っていてもすべて似たよーなもんばっかだったのが気になってたんだけど、これは「コノエの中のリークスという巨大な闇に呼応して攻略対象の抱える問題が悪化する」展開にしたかったからなのか。最後にはコノエがリークス本体に戻ったことでリークスの過去も抱えて生きていかなければならなくなったが、先にも書いたように基本的には健全な精神の持ち主なので大丈夫かな、と思える。

ライ (CV:森川智之)

戦闘能力が高く、ぶっきらぼうだけど面倒見は良く、実は誰よりも繊細、とツボを綺麗に揃えたような王道キャラクタ。シナリオのほうも反発しながらも惹かれ合い、やがて結ばれるまでが丁寧に描かれている王道物語で読みやすかった。呪いを解きたいコノエと優秀な賛牙を求めるライ、と互いの利害関係がはっきりしていて二人が行動を共にするのも無理がないし、闘牙と賛牙の設定も活かされていた。だから賛牙としての自分だけをライが求めているのだと思い込んで落ち込むコノエのシーンが効いてくるし、自分が正気を失うことを恐れるライにコノエがつがいとして殺す誓いを立てるシーンが切なく映える。ライルートは恋愛だけではなく、戦闘のパートナーとしての絆が描かれているのが良かった。

が、終盤にやはり刺し違えることとなった二人を眺めながら誓いを果たした二人の覚悟に浸っていたところに、超人シュイが二人をあっさり復活させるというウルトラ C がやってきて一気に落胆。いやまあここで二人が死んだら物語が終わるしシュイが来るんだろうなあとは薄々思ってたけど、この予感ばかりは外れてほしかった。あれだけ切々と描いておきながら誓いのシーンをぶち壊すか。せっかく盛り上がってたのに、空気を読まない奇跡パワーに萎えて呆れるのを通り越して笑ってしまった。物語にはある程度のご都合主義が必要だとは思ってるんだけど、これまでの展開を台無しにするよーなご都合主義が展開されると物語のちゃぶ台がひっくり返されたよーに思えて私がちゃぶ台をひっくり返したくなる。それか、ここまでやるならいっそもうシュイがそのよくわからない超人パワーで全部綺麗になんとかしてくれりゃよかったのにと思わんでもない。

一方、BAD ED では誓いのシーンが上手く活かされていたのが皮肉。フラウドを倒したことで喜悦に目覚め、悪魔になってしまったライがコノエとの殺し合いで喜悦を得るためにあの時の誓いを利用するのがゾクゾクする。誓いを破れないコノエはライと戦わずにはいられないが、ライは殺し合うために誓いを持ち出した。この無情感がたまらない。リークスは完全に蚊帳の外になってるけどそんなことはどうでもいい。「When the end」の入り方も素晴らしく、音楽の威力を思い知った一瞬。『Lamento』で一番説得力のある展開であり一番面白い結末だった。これを TRUE ED にしても問題ないくらいに素晴らしい。

他にもライの猫舌が発覚する場面は和んだし、火楼からの帰りの雪の中のシーンもライのさり気ない優しさが出ていてぐっと来た。発情期でも、本当は互いを求めているのにすれ違ったままセックスをして、コノエがそんな中でも必死に寄り添おうとしていたのが可愛かった。そうそうエロシーンといえば決戦前夜のコノエのプリンケツ CG は吹いた。男のプリンケツってほんと萌えん。しかしこのルートのコノエはやたら女々しかったなあ。特に娼館で情報収集をしているライに対してもやもやするあたりとか。

アサト (CV:春野風)

猫なのに性格は犬っぽいアサトを可愛いとは思うが、アサトルートはアサトにもコノエとのカップリングにも萌えを見出せずあまり盛り上がれなかった。アサトは好きなキャラクタだし花を持つ立ち絵がわざわざ用意されているあたりにもときめいたし、セックスの時も「お前は俺のものだ」ではなく「俺は、コノエのものになりたい」と発言した時はアサトらしさが出ていていいなと思ったし、動揺するとすぐ爪を研ぎたがるのも微笑ましいんだけど、この手のタイプはツボに来ない。コノエもライルートの時のような乙女ではないんだけど、世間知らずなアサトを引っ張っていこうとするもののそれは母親のようなスタンスで、特に男らしいというわけでもない。可愛い二人だとは思うんだけどなあ。花畑で互いの発情期の熱を発散させるシーンも、萌えるというよりは和んじゃったものなあ。

シナリオは一応、魔獣になる危険を孕む自分自身に怯えるアサトの葛藤がメインになっており、コノエのそばにいてはコノエを傷つけるのではないかと悩んだり距離を置こうとする姿がいじましい。そして終盤には魔獣になったアサトがコノエの右腕を攻撃して使い物にならなくしたり、かと思えばカルツのおかげなのか何なのかいつの間にか獣のアサトに自我が戻ったり歌の力でリークスの歌を退けたりとご都合主義展開ラッシュなんだけど、そんな中でもコノエがどんな姿であってもアサトはアサトのままだから一緒に生きていきたいと願ったのが良かったのに、その後よくわからない理屈でアサトの姿が元に戻ってしまったのが残念。獣のアサトが大量に血をドバーと吐いた後に戻ったのは、コノエの解釈曰く「アサトの体から流れていったのは、冥戯の血だったのではないか。魔道の血が吐き出されて元に戻ったのではないか」だそーで、なんだソレ。ここは魔物の姿のままで終わらせたほうが余韻が残ってよかったと思うな私は。

一方、BAD ED は魔物化して正気を完全に失ったアサトがコノエを食べてしまう結末で、こちらのほうが展開に無理がなく納得も行く。しかし魔獣が触手も装備してたのはなんか笑った。まあ魔獣アサトがそのまま性器を突っ込んでも痛々しいだけだし、さすがにコノエが可哀想だもんなあ。――と最初は思ったんだけど、あの触手はアサトの腰あたりから伸びたという描写があったので、魔物アサトの性器の一部である可能性はありそう。

正直、アサトルートはコノエやアサトよりも、アサトの父親だったカルツのほうに意識が行った。同性の猫に惚れていく息子をずっと見つめていたのかと思うといたたまれないものがあるが、そんな過保護なカルツが異様に気に入った。同じパパというポジションとしては、魂だけでこの世に留まっていたシュイよりも悪魔のカルツのほうが弱いように感じるのはどーかとも思うけどまあそれも御愛嬌(カルツには甘い)。アサトの母親代わりであるカガリも好きなキャラクタだったけど、思ったより出番がなかったのが残念。

バルド (CV:舞幸運)

攻略対象だが、登場が遅いため他の二人にアドバンテージを奪われ気味。またライとアサトの出会いが鮮烈だった分、バルドのそれが大人しいのも響いている。ただ、ライとアサトの闇が常識離れした内容だったのに対し、バルドの闇は私利私欲が原因で人間味溢れるというかわかりやすい理由だったので他のキャラに比べると感情移入はしやすかった。生きようとする意志を持つことを諦めており、それがコノエの瑞々しい真っ直ぐなパワーに引きずられて立ち上がっていく様は、おっさんキャラをお節介主人公で乙女ゲーとして攻略している気分だったが、コノエが女々しいというわけでもなく、むしろ女々しいのはバルドのほうだったせいかあまり気にならなかった。まさか「俺の右腕が疼く……!」みたいなベタな厨二展開をやってくれるとは思わなかったけども。それと『咎狗』の源泉ルートの時のアキラもそうだったけど、年長者特有の狡さを持つキャラクタに対してコノエが年相応で可愛い反応をするのが見ていて楽しい。親父キャラは特に好みというわけでもないけど、おかげでバルドルートはサクサク読めた。エロシーンも大人の余裕でコノエをメロメロにするのがいい。特に発情期で花の蜜を垂らすプレイは美味しかった。クリームプレイはあまり萌えないんだけど、はちみつプレイはわりとツボなのかも。

そしてバルドの過去にはライも関わっており、ライもシナリオに食い込んでくるのが私には美味しかった。中でもライとの共闘でまさかの師弟タッグが見れた時は燃えた。ライがバルドに向き合ってくれるまでの気持ちの変化は描かれなかったが、これはバルドルートだからしょーがない。一応、コノエがバルドのそばに居続ける理由をライに告げるシーンがあり、あれがライの心を動かしたんだろうなと薄々感じ取れるようにはなっている。ちなみに BAD ED は世界が終わるまで師弟が永遠に戦い合う結末で展開としては好みなんだけど、入り方が唐突でいまいち浸れなかったのが残念。二人ともいきなり人が変わったように見えて困惑のほうが勝ってしまったので、前兆をさらっとでも置いてくれれば入り込めたかもしれない。実にもったいないなこれ。

一方、TRUE ED では幼少時のバルドの写真が見れたりシェリルという本名が発覚したり、二人で揃いの作業着姿で宿を切り盛りしている様が微笑ましかったり、バルドとライの関係が修復されたりでニヤニヤした。ご都合主義展開が多かった TRUE ED の中で、バルドルートだけは収まるべき場所に収まっていて安心して見ていられた。

ところでプレイ中ずっと気になってたのがバルドの私室に干してある靴下で、目立つからシリアスなシーンでも笑えてしょうがなかった。どーにかならんかったのかあれ。

ラゼル (CV:犬野忠輔)

悪魔は敵としても味方としても中途半端で、キャラクタはほぼ全員が個性的なのにシナリオ上では飼い殺しにされているが、ラゼルはキャラクタにも個性がなく活躍らしい活躍もないしで一番印象に残らなかった。いてもいなくても変わらんレベルの存在。ラゼル ED もあるにはあるが、ラゼルがどういうキャラクタなのかよくわからんまま ED に強制連行されるし内容も「とりあえず入れといた」的なアレで残るものは何もない。

カルツ (CV:小次郎)

登場人物の中では猫を含めても一番の常識人だった。カルツ ED が存在しないのも、カルツに非道な真似が出来ないせいなんだろう。悪魔 ED は BAD ED の位置にあるもんなあ。

ところで魂だけになって彷徨っているシュイや、死んだ後に絶望して悪魔に転化したカルツのケースを見るに、この世界では死んだらそれで終わりではなく魂として意識を持ったまま存在していられるっぽい。この二人は未練や絶望を強く抱いていたから、何らかの強い感情を持っていればしばらくは現界していられるのかもしれない。

ヴェルグ (CV:オイリーはな)

バルドがかつて契約しようとして失敗した時の悪魔がヴェルグの眷属で、そこからヴェルグがバルドルートで少し関わって来るが、CG の使い回しぶりが凄まじく毎回腕を組みながらあーだこーだとバルドをねちねち苛めて楽しんでた印象しかない。あとはやけにカルツに絡んでたよーな。ヴェルグ×カルツとかカルツ×ヴェルグには興味ないけど、カルツへの絡み方が好きな女の子に構いたくて苛める小学生男子のようでちょっと笑った。

ヴェルグ ED もおまけみたいな扱いだったが、それはともかくとして快楽の悪魔なのに媚薬を使用してたのは吹いた。本当は自分の力だけでメロメロに出来るけど、気まぐれで媚薬を使用したのかな、と思ったけどこれまでにも媚薬を使ってコノエを快楽地獄に落としていたことが発覚したから、コノエを嬲るために毎度媚薬をわざわざ使っている可能性が高い。つまり薬に頼らないとコノエをメロメロに出来ないらしい。笑った。

フラウド (CV:笹沼晃)

リークスより危険なキャラクタで、協力関係になっても油断できない空気を持っていた悪魔らしい悪魔。けどライルートでの因縁は引っ張り過ぎてダレた。なかなか自分の正体に気づいてくれないライにフラウドも焦れたんだだろうが、私も焦れた。散々引っ張った末の二人の対決は呆気なかったが、戦闘描写が面白いわけじゃないし丁寧にやられてもダレるのは間違いないのでそこは良かった。

フラウド ED は最高にえげつなくて、文句のつけようがないほどに素晴らしかった。自分の手に落ちたコノエごとライを城に招待し、まずはライの両手を串刺しにして床に繋ぎ止め、目の前でコノエの猫耳を噛み千切り、コノエの眼球を丹念に舐め、ビカビカの蛍光グリーンの性器でコノエを貫き、コノエの尻尾も突っ込んで二輪挿しで弄び、悪魔の尻尾の先でコノエの尿道を責め、コノエの乱れた顔がライにもよく見えるようにコノエを四つん這いにして犯し、最後にはずっと見ていたライの顔に振りかかるように位置や体勢を調整した上でコノエに射精させる。もう素晴らしい。女性向け作品でここまでフルコースで揃えてくるのは珍しいなあ。こういうのは大好きです。更に最悪なのはフラウドにとってはコノエを犯すことが重要なのではなく、コノエを使ってライの心を壊すことにこそ価値を見出している点。彼にとってはライの存在こそが重要でコノエは最上のおまけ。

シュイ (CV:中原茂)

すでに死んでいる身で魂だけの存在なのに異常なパワーを持っていて、コノエの危機に颯爽と現れるスーパーリビカ。しかし息子は助けるが物語は壊す。

結局この人がそもそもの原因なんだよなあ。シュイは別に悪くないし彼なりに必死だったのだろうけど何ともやりきれない。そしてシュイだけでなくカルツやバルドなど、いわゆる父親世代の因果が子供に巡ってくる話ばかりだったのもアレ。というかここまで書いて気付いたけどシュイはまさにすべての元凶とも言える存在だったわけで、だからコノエたちでは解決できない問題を自分がよくわからない超人パワーで片付けるのも筋が通っていると言えるのか。シュイの責任だからシュイが解決するのは当然と。なるほどそう考えるとハッピーエンドに到達するためにご都合主義が必須になるのもわからなくはなく。物語がつまらないことに変わりないし何故シュイがそんなに強いのかもわからんが、もうそんなことはどうでもいいのかもしれない。おとーさんは責任を果たしたのだ。

トキノ (CV:木島宇太)

まるで近所の友達に会いにくるかのように『虚ろ』に侵されて食糧難に陥っている村に都会からひょっこりやって来て、コノエと普通に会話して普通に帰っていくトキノが怖かった。実は序盤から「この子がラスボスなんじゃないのか」と疑っていた。全然違った。

フィリ (CV:桜塚瞬一)

もはや何のためにいたのかさっぱりわからない。そもそもリビカでも悪魔でもないフィリがどういう種族なのかも謎のまま。

リークス (CV:片岡大二郎)

終盤のシュイとの過去が語られてもわかるのは「リークスがシュイを好きで仕方がないツンデレ」ってことだけで、何故世界を滅ぼそうとしたのかはわからなかった。ので私なりに整理してみると、シュイに裏切られて絶望し、裏切ろうとする心も裏切られて傷つく心もすべて感情があるせいだと結論づけたリークスは、あらゆる感情を消滅させるためにリビカを含んだすべての生物から感情を駆逐して本能だけで生きる動物が生存する世界に塗り替えようとした、てなあたりか。それは二つ杖と猫の間から生まれたリビカも、二つ杖から受け継いだ感情がなくなって普通の猫になるってことでもある。あるいは猫の存在自体が消えてしまうのかもしれないが、もしこれが当たっているのであれば『Lamento』はたった一人の寂しがり屋の子供の癇癪で世界が滅びかけた話ってことになるのか。なんて迷惑な……。自分の中にも感情はいらないから、とそれを純粋な赤子に棄てて出来たのがコノエだったもんなあ。ところで他の子供にも感情を棄てるための器にしていたらしいけど、全員がやはりリークスと同じ顔になってるんだろうか。