Antipyretic

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ラッキードッグ1

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これは名作。話は面白いしキャラクタも魅力的で、終わらせるのが寂しくなったゲームは久々。まずジャンのキャラクタがいいのだよなあ。打てば響くような反応が出来るし、独特のセンスに満ちた会話を聞くだけでも楽しかった。パロネタも多いけど鬱陶しくないし、マフィアの抗争を描いた作品としても面白かった。面白すぎて私にとって「BL」は副次的な要素になっていたほど。

というのも『ラキド』はものすごく面白かったんだけど、これといってハマれたカップリングはなかった。CR:5 は全員好きだけど、恋人としての組み合わせが見たいかと聞かれれば首を傾げてしまう。ジャンとイヴァンは燃えたけど「萌え」ではなく「燃え」だし、もっと言うと五人でワイワイやってるほーが見たい。「脱獄編」でロイドという男好きの看守が出てくるが、同僚のジョシュアがロイドのそんな性癖に呆れつつも普通の友達として付き合ってるのを見て可愛いなあと思いながら和んでたし、やっぱり BL 的な楽しみ方はしてなかっ……ああいや一つだけあったか。ボス・アレッサンドロ×イーサンでおっさん BL の可能性にときめいてはいた。でも萌えといえばそれくらいかな。まーでも元々 BL は好きでも萌えにくい体質なので私にとってはいつものことだし、面白かったから問題ない。実際クリア後の満足感は相当だった。エクセレンテ。

と、概ね好感触なんだけど欠点もある。まずマウスホイールでバックログが見れないのが不便。銃弾や真っ白な画面の連続など派手なエフェクトが多く、スキップするとすごい速さでチカチカするし目に優しくないのも気になった。せめてインアクティブでもスキップが生きる状態にしてほしかったなあ。SE が終わるまで次のテキストが表示されないのも地味に苛立つし、ここぞという時に絵が用意されてないシーンも結構あった。この値段で文句を言うのは贅沢の域になるんだろうが、せめて「逃亡編」で村でバンド演奏を披露するシーンは絵が欲しかった。というか五人全員が揃った絵がもっと欲しかった。余談だけど由良氏の描く精液は毎回勢いがすごいけど、それを見るたびに「いつもの由良さんだな!」という安堵感が湧いて来る。『ラキド』でも健在で何より。そしてキャスティングは言うまでもなく全員ハマり役だったし、音楽も格好良かった。

なんつーか質のいい娯楽作品をプレイした感じがする。盛り上げ方が上手く、プレイ中は「この作品はちゃんと面白い」という安心感が常にあった。おかげでダレなかった。あと作品全体から漂うドライな空気も好みに合致した。いやもーほんと楽しかったなあ。

ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ (CV:タダノドウテイ)

プレイ前は「とてつもない幸運の持ち主」という設定に懸念を抱いていた。どんなご都合主義展開も、「主人公が強運の持ち主だから」の一言で片付けられるという意味でこの設定は万能すぎる。だからやりようによっちゃ萎える可能性はあったが、そこは制作側も気にしていたのか杞憂に終わった。何もかもがジャンの運だけで事が運ぶわけではなく、ジャンがちゃんと考えた末に作戦を思いつき、その後は自分の運を信じて勝負をかけるのが良かったんだろうな。最終的には自分の運に頼るが、自分でやれることはやった上で自分の命ごと賭けるので文句などあろうはずもない。幸運の女神から見放されたと思われる BAD ED もあったし、都合のいい展開が来てもシーンを盛り上げるための要素として機能しているのであれば問題ない。面白けりゃそれでオッケー。

何よりジャンのすごいところはアジテーションの上手さにある。瓦解しそうになる CR:5 に崖っぷちで渇を入れてやる気にさせる手腕は天下一品。フレキシブルでルーズな性格も気に入った。

他にも魅力はいっぱいある。ウィットに富んだ会話もそうだし、欲望に忠実なところもいい。たとえば次期ボスになるチャンスを与えられたら「ボスの座とか面倒だからイラネ」って言いそうな主人公はありがちだと思うけど、ジャンは素直に喜んでチャンスを逃すまいとギラギラしているのが良かった。女に会ったら男としての欲を剥き出しにするのも良かったし、ジャン攻めシーンがあったのもポイント高い。もーちょいジャン攻めがあればもっと嬉しかったんだけどなあ。ロイドを犯している時にゴムを口に咥えていたのがツボだった。あとこれはジャンに限らず殆どのキャラがそうだけど、「抱いてる」とは言わずに「レイプしてる」と表現するところもいい。そしてジャンはだいたい格好良いんだけど、年長組相手だと序盤から嫉妬したりと可愛いところもある。そこらへんは受け主人公ぽくて私の好みからは外れるんだけど、これはこれでいいかなと。ジャンならなんでもいいくらいの勢いで気に入ったらしい。

それでも唯一気に入らない点もあって、BAD ED はジャンのキャラが変わったように感じる展開が多くて微妙。BAD ED は大好ききだけどえぐい結末ならなんでもいいわけではなく、むしろ BAD ED に行くために変化を描くこともせずキャラクタを変えられると萎えちゃうんですよ……。

ベルナルド・オルトラーニ (CV:浅野要二)

本心を見せないベルナルドやナスターシャの存在にイライラしたり嫉妬するシーンがあったからか、このルートのジャンは結構女々しい。一度セックスしたくらいでベルナルドが二人きりになっても手を出して来ないことに苛立つジャンを見た時は、一体彼に何があったのかと驚いた。一方ベルナルドもジャンやナスターシャに対して女々しいというか未練がましいところがあるんだけど、不思議と鬱陶しいとは思えなかった。シナリオもベルナルドのナスターシャへのスタンスをどう受け止めるかで評価が変わりそうだけど、私はベルナルドルートが一番面白かった。

ベルナルドはナスターシャをどう思っていたのか。情はあったんだろうし長い間付き合ってきた分の惰性もあったし、「深慮遠謀な計画」やデイヴの件など打算もあった。でも人間は面倒だと思っていたベルナルドにとって、一緒にいても面倒だとは感じないジャンのそばにいるのが一番心地良くて、おまけに疑惑を持たれてもしょうがない状況にある自分を信じてくれてもいるから想いは募る。でもジャンは男で、だから思わず「お前が女だったらなあ……」なんて本音が出た。しかし初めてジャンとナスターシャが会い、ベルナルドも久し振りにナスターシャと会った晩に、ジャンを犯したのだと考えるとほんとどうしようもないおっさんだ。ナスターシャはベルナルドを求めていたってのに。ナスターシャの扱いはこれだけでなく酷いもので、特にデイヴを釣るためにナスターシャを利用した件は許されることではないし、ナスターシャは二人の男によって玩具にされてしまったも同然なんだけど、二人ともマフィアであることがナスターシャにとっての運の尽きになったのか。そしてベルナルドは自分のしたことを後悔する。友人だと思っていたデイヴを信じられなかったこと、友人の真意を炙り出すために恋人を最低の形で利用したこと。ベルナルドは悪いことは出来ない人だ。でもやらなきゃならないし自分にはやれることだからやってしまって、でも割り切れなくてやった後に後悔してしまう。情けないんだけど、そういう弱さが愛おしいと思える。これからもベルナルドは組織のためにやれることは全部やるし、そのたびに後悔を蓄積させていくんだろう。

終盤、薔薇を抱えてナスターシャの店に行こうとする場面は、ベルナルドの弱さが伝わってきてたまらなかった。このあたりからエンディングまでのシーンは文章がとにかく素晴らしくてぐっと来たなあ。ラストも最後まで欄干を渡りきれなかったところがいい。これからもベルナルドは順風満帆な人生は送れないんだろうけど、でも海に落下せずジャンともつれあって道路に落ちたのは、ジャンと一緒なら落ちてもまた欄干に登ってリトライ出来るんだよと、そういうことなんじゃないでしょーか。落ちた時の二人の心からの笑顔が切ない中にも爽やかさを感じさせて象徴的で良かった。

ところでベルナルドは電話番という名の司令塔なので現場に出ることがあまりなく、おかげでドンパチシーンはほとんどないが、為替市場でフラン札をドル札に変えるタイミングを狙うシーンや大金を抱えて行方知れずとなったベルナルドの手紙をジャンが見つけてからのシーンは作中で一番燃えた。デイバン内にある公衆電話との連絡を可能にしたベルナルドの武器でジャンがベルナルドを探し当てていく場面は熱かったし、ボスのキャラクタの面白さが伺えるボス発見シーンでは笑ったし、左右どちらの扉を開けるかの勝負をかける時はジャンの幸運に頼るのではなく、ベルナルドの「いつも右を選ぶ」という癖を信じて勝利に到達できたのもいい。いつもベルナルドはジャンのラッキーに助けられてきたけど、ここではジャンの選択をベルナルドが後押しした、てのがたまらなく燃える。その後イヴァンが加勢しに来てくれるシーンも高揚感がすごかった。イヴァンが来てくれた時の格好良さと、ボスを発見した時の間の抜けたような「……うそ」の台詞の対比も可愛かった。イヴァンはリアクションが派手なのがいいなあ。最後の GD との和平交渉もベルナルドが遅れて登場するのは読めてはいたけど、それでもテンション上がった。こういうところは CG がきちんと盛り上げるための役割を果たしていて GJ だった。ベルナルドの背後にいる部下の顔が全員コピペだったのは吹いたけど。

ベルナルドは男相手は初めてじゃないらしく相手は誰だったのか気になるし、ロザーリアの絵は用意されているのにナスターシャにはないのが不満だし、ベルナルドのつけている安物の腕時計は伏線だと思ったら放置されたままだし、と気になる点がないでもないけどもういい。ベルナルドルートはたいへん素晴らしかった。大満足だ。

が、BAD ED はどれも微妙。ジャンのキャラが違うと感じたし適当で、おまけに数だけは多いのがまた気に入らない。ジャンが開ける扉を間違えて輪姦される ED はまだ納得出来るけどそれ以外はつまらない。ただ、ジャンに一緒に逃げようと誘われてすぐ断るベルナルドが見れたのは良かったかな。どんなに追い込まれていても逃げようとはせず即座に断るくらいなんだから、ベルナルドは本当に組織を裏切れない人なんだなあ。でもそんなベルナルドが怪しい行動しか取れず、仲間に散々疑われるシナリオになっているのが泣ける。ベルナルドを信じるか否かの選択肢は何度も出てくるもんな……。泣けると言えば「脱獄編」やイヴァンルートの BAD ED もそうだけど、毎回えぐい殺され方をしていたのも印象に残った。

中の人の声は良かった。あちこちでよく聞く声ではあるけどベルナルドくらいのトーンが一番好きかもしれない。程良い低音が心地良い。

ルキーノ・グレゴレッティ (CV:四季路)

ビジュアルは一番好みだし、イタリア紳士で伊達男なルキーノのキャラクタも好きなんだけど、終わってみればシナリオもジャンとルキーノのカップリングもツボには来なかった。ジャンとルキーノの相棒同士のやり取りは面白かったし、ルキーノがジャンをピッカピカの立派なカポに仕立て上げようとする『マイ・フェア・レディ』な展開にはニヤニヤした。銃の撃ち合いシーンがあるからマフィア抗争の雰囲気はよく出ていたし、クライマックスでも警官服で派手に二人でドンパチパーティをやるシーンは盛り上がったしでルキーノルートも楽しめたのは確か。でもルキーノルートのルキーノがツボらなかった。正直、ルキーノは他のルートのほうが輝いていた。ルキーノルートはルキーノみたいなイケメンにも弱いところがあるのがポイントになってるんだろうけど、それが私の好みからズレていた。有体にいえば、私はルキーノには常にかっこいいルキーノでいて欲しいんだろう。だからバクシーに嫁と娘の過去を抉られて薬に逃げようとするルキーノを見ても盛り上がれなかった。ギャップ萌えみたいなものなんだろうけど、私はルキーノにそれは求めていなかったらしい。だからルキーノルートのジャンは「こんなルキーノは見たくない」とか「いつものアンタに戻ってくれよ」とかほんと骨抜きにされてんだなという感じで乙女度が高く、私の好みの主人公像からはかけ離れているが、ジャンのその気持ちがよく理解できたのでものすごく納得した。それくらいルキーノはかっこよくてピッカピカなイタリアンマフィアで、ジャンを乙女にしてしまうほどの伊達男だと考えればしゃーないよな、と思える。私は基本的に完璧なキャラクタにはあまり興味が持てないが、ルキーノは珍しくパーフェクトでいて欲しいと思えた貴重なキャラクタ。ルキジャンがそれほど萌えなかったのも相棒としての二人が好きだというのもあるが、それ以上にルキーノはジャンをレイプするよりも女をはべらせている光景のほうが見たいと思ってしまうからなんだな。あーでもエロシーンは楽しく読めたものが多かった。トイレでの放尿プレイは面白かったし、逃亡中のマスかきっこもツボ。ルキジャンに萌えたというよりは、ルキーノが少し屈辱を感じているのが良かったんだろうなあ。「この俺が自慰とはな……」とか呟くのがヒットした。これくらいの「いつも格好良いルキーノの意外な部分」なら美味しく食べられるらしい。

殺された妻と娘の事件の真相はあっけないものだったが、言い方は悪いけど真実なんてそんなものなんだろう。縦横無尽に飛び交う余計な情報や疑心暗鬼のノイズで見えないけど、蓋を開けてみれば的な。ルキーノが妻と娘を今でも愛していることが最後まで伝わったのは良かった。ジャンはルキーノのそういうところも含めて好きなんだろうから、TRUE ED の墓参りのシーンは何気に気に入っている。カポに就任してピッカピカになったジャンもかっこよかった。しかし終盤のルキーノの組織の裏切りとも取られかねない自分勝手な単独行動についての責任追及はあったのか。後で会議になりそうなもんだけど、ボスが許したからセーフになったん? あとルキーノの頬の傷も気になる。

ルキーノはシンプルなキャラだ。男前でプライドが高く、面倒見がよく気風がいい。それだけに搦め手で来られると弱い。挑発にも乗せられやすいし弱点がわかりやすかった。BAD ED はそこを突かれて薬に逃避するという惨めな結末だったけど、「お前をピカピカにしてやる」と自信満々に言い放ったルキーノの輝いていた頃の象徴でもある場所で、薬で腑抜けになっている彼の姿を見せられてしまうのが何とも言えず。だからこそルキーノのゴシップをネタに煽り立てる GD の言葉を信じず、港の人たちがみんな怒ってくれるシーンは不覚にもホロリと来た。まさにルキーノが大事にしていた「信用」がこういう形で効果を発揮してくれたのは素直に嬉しかったなあ。

ところでベルナルドよりルキーノのほうが前髪の心配をしたほうがいいのでは、と思ったんだけどどうですか。いやだって正面顔の生え際が……。

ジュリオ・ディ・ボンドーネ (CV:蒼井夕真)

夜寝る前にケーキだのアイスだの食べまくるけど決して太らないジャンとジュリオが恨めしいルート。ジュリオは私の好みのタイプではないのでカップリングとして萌えることはなかったが、ジャンが最後まで男らしかったのは良かった。あーでも高貴で殺傷能力が高く躾のいいマッドドッグに最初から懐かれて困惑しつつ、なんだかんだで面倒を見る様は男前というよりはママかな。犬に噛まれると痛いけど。と、サラッと書いたけどあの強姦シーンはカルマ値高いよなあ。ジャンさん「ラッキー」ドッグなのに。

ジュリオは好みではないけど、TRUE ED を見た時は幼少時からジャンに一途だったジュリオの初恋が実ったことを素直に祝福出来た。死体に性的興奮を覚えながら嬉しそうにバラしたり血の海でジャンをガチレイプしたりマッドドッグと言われるだけのことはやってんだけど、ジャンを殺す BAD ED がありそうでなかったのは意外だったし面白かった。そういうところからもジュリオは本当にジャンが大事なんだな、てのが伝わってきた。ジャンが死ぬエンディングはあるけど殺したのはジュリオではなく祖父だったし。よく考えたらジュリオは元々壊れている人間で、でもジャンのそばにいればまともでいられるから別にヤンデレではないのか。そう考えるとジュリオがジャンを殺す展開がなかったのは当然なのね。だからジャンもそれに絆された。恋愛っつーより母性?

BAD ED はジャンがジュリオの手綱を握ることを放棄し、薬をキメた後にボンドーネ爺に殺される結末。ジュリオが死体を見ると興奮するキャラだと聞いた時から BAD ED はジャンの死体を前にうっとりするジュリオの図なんだろうなと思ってたら案の定。「逃亡編」で言っていた「あなたの死ぬところが見てみたい」というジュリオの願望が叶えられてしまった結末だと思うと皮肉。もうひとつはジュリオがジャンを庇って死ぬ ED。こちらは差分 CG が用意されているくらいだけど、ジャンのキャラクタに若干の疑問はありつつも、ボンドーネの爺に殺される結末のほうが好みかな BAD ED 好きとしては。

しかしジュリオルートで一番印象に残ったのは、風邪でダウンしているジャンのためにイヴァンがわざわざ卵酒を作ってくれるシーンだった。あれが一番ニヤニヤした。ジュリオに限定するなら「逃亡編」で自慰中のジャンの性器を懐中電灯で照らす場面。あんなん笑うわ。

ジュリオはジュリオルート以外のジュリオのほうが好きかもしれない。最初にプレイしたのがジュリオルートだったんだけど、後で他のルートをやって自分の意見をちゃんと述べるジュリオに驚いたもんなあ。ジャンがそばにいないからか、ジャンの意見に従うだけじゃなくなっているのが良かった。しかしどのルートでも真っ先にジャンを心配していてそこはブレない。でもジュリオもジャンだけを信頼しているんじゃなくて、ちゃんと他のメンバーのことも考えているのが伺える場面が入っていたのは安堵した。

イヴァン・フィオーレ (CV:平井達矢)

イヴァンルートはもー最高に楽しかった。シリアスなシーン、コミカルなシーン、エロシーン、派手なバトルシーンがそれぞれしっかり描写されているからメリハリが効いていたし、ハイライトシーンがわかりやすく配置されているから盛り上がる。何よりジャンとイヴァンのキャラの相性がハマっている。臨機応変に煽ったり突っ込んだりスルー出来るジャンと、頭は回るのに天然アホでよく吼えるイヴァンの掛け合いはどこを切り取っても面白すぎた。特にイヴァンの夜のシノギについていった時のエピソードは本当に笑ってたもんな私。相手によってキャラを変えて接するイヴァンと、それを見て素でヒくジャンが可愛すぎる。「脱獄編」でホモホモ連呼するシーンや、「逃亡編」で男子五人で狭い山小屋で雑魚寝してるのにイヴァンがオナってることに気付いてジャンがイラッと来るシーンも吹いた。ゲームをやってて実際に笑うのは久しぶりかもしれない。『赤毛のアン』をネタにネチネチ苛められてそのたびに怒るイヴァンも可愛かったなあ。この二人の悪友のノリは本当に楽しいし可愛い。エロも互いに張り合って嫌がらせのつもりでフェラだのなんだのやりあってたら、いつの間にか危ない世界を開いてしまったみたいな流れになってたのが二人らしくて良かった。一回セックスしただけで彼氏を気取って嫉妬を剥き出しにしてジャンの過去の性遍歴をしつこく問うイヴァンさんも面白すぎた。

ただ残念なのは終盤の展開。いやホーナス戦は面白かったんだけど、アレッサンドロ救出戦に参加できなかったのが心残りだったんだよなあ……。CR:5 がガチのカチコミをかけるシーンはあれだけだったから尚更。ジャンとイヴァンの関係も好きだけど、私はカップリングとしてよりも CR:5 勢揃いでワイワイやってるのが見たいので、どうしても CR:5 総攻撃が見たかったという不満が残ってしまう。ホーナスとの戦いを切り抜けた後の朝日の中の二人の CG にはぐっと来たしこれはこれで満足してるけども。

TRUE ED はまさかああいう終わり方になるとは思わず驚いた。あの意味深長な心電図はこの伏線だったのか。イヴァンルートはすべて今際の際のイヴァンによる過去の回想で、イヴァンの「死ぬまでにどうしてもほしいもの」は「ダチ」だった。ジャンがイヴァンを引き抜こうとするホーナスに「こいつはなぁ……俺の仲間だ!! ダチなんだよ!!」と啖呵を切るシーンがあったが、あの台詞が運命だったのだと思うともう……。要するにイヴァンルートは恋愛ではなく友情だったのかな。ダチなのにセックスもするけど、この二人のエロは男の子同士のじゃれあいって感じだったし、「ダチ」としての関係の延長線上にセックスがあってもそれほど違和感がないのがいい。しかし会長にまで登り詰めたイヴァンに家族がいないということは、ロザーリアとは結婚しなかったんだろうし CR:5 以外の人間のことは信用しないまま一人で生きてきたんだろうと思うと、孤独なイヴァンの人生に泣けた。そしてイヴァンや医師の台詞から察するにジャンは先に逝ったらしいのが……。NORMAL ED は「俺たち二人で今後も頑張って行こうぜ」みたいな爽やかな結末だったけど、最終的には TRUE ED のイヴァン会長の臨終寸前の場面に繋がる可能性があるかもしれないと思うと切ない。

BAD ED はジャンがイヴァンを裏切ってしまい、絶望したイヴァンがジャン以外の CR:5 を皆殺し。TRUE ED を先に見ていてイヴァンがどうしてもほしかったものを知っているだけに、二度もダチに裏切られたイヴァンの心境を思うと遣る瀬無い。

他に印象に残っているのはやっぱりロザーリアの件。ヤクザの孫娘だけあって肝は据わってるし聡明だし可愛いしで、何気にイヴァン×ロザーリアにはこれといった絡みの場面がないものの想像だけで萌えた。小さい頃に「結婚ちてちて!」と言われたのをよく考えもせずにウンと言っちゃった、てな過去は少女漫画の王道を準えていて、それをイヴァンが素でやっていたのがまた萌える。イヴァン×ロザーリアはアリだと思うな私は。

イヴァンは一言で言うとバカなんだけど、旧態依然としたままのイタリアマフィアの方針や構図を疑問視しており、それで CR:5 に引き入れられたという経緯があるだけあって実は頭がいいのも良かった。だからこそイヴァンは CR:5 にとってはなくてはならない存在だった。「監獄編」の BAD ED でもわかるように CR:5 はダメだと判断したら簡単に見限って裏切るが、それもイヴァンには信念と明確な未来図があるからだと納得も出来る。組織に忠誠を誓っているベルナルドとは正反対だとも言えるけど、そのベルナルドがイヴァンの考えをちゃんと理解して必要だと考えているのもいい。生粋のイタ公であるルキーノとも考えがベルナルド以上に正反対なんだけど、そのルキーノがイヴァンの危機を颯爽と救ってくれたのがまたぐっと来るよね。

バクシー・クリステンセン (CV:錦戸智久)

ヤバそーな雰囲気は持ってるけどそれだけで、出オチ感の否めないキャラクタだった。というかヤバさという意味ではジュリオのほうが勝っているし、出番の多いルキーノルートもしつこくルキーノを煽っていただけで特に強烈な印象を残してくれるよーな何かをやっていたわけでもなく。サイコパス「っぽい」だけで敵としての魅力には欠けていたかな、と。

ラグトリフ・フェルフーフェン (CV:篁翔)

出番量と印象はモブキャラとほぼ変わらなかった。何気ない会話から伺える独特のキャラ自体は好きなんだけどなあ。もったいないなあ。