Antipyretic

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乙女的恋革命ラブレボ!!

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作業ゲー。まあでもそこは予想出来ていたので割愛。最初は戸惑うが、慣れてくると序盤は資金集めと情報収集に徹し、あとは適当に過ごせばいいことに気づくので案外簡単に 45kg まで痩せることが可能。

不満はクイックセーブやロードが出来ない点。私は普段はあまり使わない機能だが、本作は運に左右される要素が多いのに簡易セーブやロード機能がないのでは不便。非アクティブウィンドウでは動作しないのも辛い。作業ゲーなのでコマンド実行中は他のことがしたくなるが、それも出来ないのなこのゲーム。そのあたりはもうちょっと考慮して欲しかった。痩せても周囲の反応がほとんど変わらないのも気になる。少しでも痩せた姿へのリアクションがあるとダイエットへのモチベーションに繋がる=プレイへのモチベーションも上がるだろーに、何故そういった要素を入れないのか。デートの会話も三パターンしかないからすぐ飽きる。会話内容もつまらない。ただでさえ膨大なパラ上げ作業をやらなければならないのに、デートまで作業になってしまうのはきついなあ。夢イベントも CG どころか立ち絵の一枚すらないし、内容もつまらないので見る気も起きない。

しかし萌えた。楽しかった。萌えは一番重要なのだということを久しぶりに実感させられた。ここまでツボに来たキャラクタが複数いるのも私にはものすごーく貴重なことだし、シミュレーションゲームなのでその分シナリオではキャラクタの掘り下げに限界はあるものの、ちょっとした台詞やイベントにぐっと来ることが多かったし、キャラクタの魅力も相俟って予想以上に良かった。私には合っていたんだろうなあ。作業も含めてなんだかんだで『ラブレボ』という作品まるごと楽しんでいた気がする。

ところでこのゲームをやることで自分のダイエットへのモチベーションが上がったりしないかな、と期待する面もあったが、本格的なダイエットには時間もお金も必要なんだということを改めて実感させられただけで逆にやる気は減退した。怠惰。

桜川ヒトミ

基本的にはいい子。昔は美人だったという設定も上手い。やはり恋愛をするには美人であることはそれだけで有利なのだ、ということを思い知らされた気がして面白い。それに私は美男美女が見たいので、ヒロインが美女なのは大歓迎。

ただ気になったのは、ヒトミが過剰なお節介を発揮して攻略対象の事情に深入りしすぎる点。この描写で「いかにヒトミが優しい女の子」であるかをアピールしてくるので、私をげんなりさせた。他の女子キャラを露悪的に描いてくるところもキツい。言動がいちいちレベルの低いモブの女子キャラが多すぎて、「いい子なヒトミ」の引き立て役としか描かれていないのが萎える。こういう「優しくて純粋な主人公」の描き方は苦手。

一ノ瀬蓮 (CV:櫻井孝宏)

初対面では冷たかったのに、デートに誘うとあっさり OK してくれるので驚いた。ヒトミのしつこさに折れたシーンも少なくはなかったが、ファーストコンタクト以外はむしろ優しい。ヒトミに言った「自己管理が甘い」という言葉は事実だし、ヒトミがちゃんと結果を示せば撤回して認めてくれる潔さもある。ダイエット中はヒトミの諦めない姿勢を褒めてくれるが、それは家の複雑な事情から一ノ瀬自身が努力しているからなんだろう。

エピソードは王道展開が多く、特に印象的だったのはクリスマスパーティでの一件。百合香の嫌がらせによって惨めな思いをしているヒトミを、お姫様抱っこで助けてくれるあたりなんてもうベタで格好良かった。風邪で寝込むヒトミの額に手を当てるシーンもいい。バレンタインで優しそうな笑顔の立ち絵がようやく登場した時も嬉しかった。それまでは偉そうな笑顔ばっかだったものな。偉そうなところも一ノ瀬らしくて好きだけど、笑顔を向けてくれるようになるまでけっこう時間がかかったからそれなりの達成感もあった。

ただ、中盤から後半にかけて唯が絡んでくる一ノ瀬の複雑な家庭事情や過去が判明するエピソードは好きじゃない。部外者のヒトミが一ノ瀬と唯の問題に介入することに疑問があるし、鍵を探す件も唯に気持ちを示すべきなのは一ノ瀬本人なのに試練を受けるのはヒトミになってるし、冷たい川に体を浸してまで鍵を探す展開もわざとらしい描写に感じて萎えてしまった。事情はわかるが、ヒトミがここで一ノ瀬との約束を破ったことに変わりはないしそれも気になる。第一、葬式の日に勝手に故人の持ち物を拝借する唯もアレ。結果的には一ノ瀬もヒトミのお節介に気付き、家族との関係も落ち着いたようで「いい話」として纏められていたけどこれで良かったのか? という疑問が抜けない。

恋愛 ED は良かった。ネクタイをヒトミの首に巻きつけて引っ張ってキスをするのが一ノ瀬らしくていい。偉そうな一ノ瀬とふてぶてしいヒトミは互いに自然でお似合いだと思うので、この二人がくっついてくれたことは作業ゲーに苦労した分だけ私も嬉しい。

華原雅紀 (CV:三宅淳一)

爽やかな少年かと思いきやそれは仮面で、彼の本性が出てからは一気に面白くなった。実は人間不信に陥っており、前半はヒトミのことは何とも思っていなかったらしい。夏の旅行やクリスマスなどで意味深長な台詞が出るので一筋縄ではいかない子なんだろうなとは思っていたけど、想像以上に根が深くて驚いた。でも仮面をつけて生活することは別に悪いことじゃないし、人間ならみんな仮面の一つや二つ持っていて当然。華原の本性を見せられたヒトミはショックもあっただろうけど、逆にいえば本性を曝け出せるほどヒトミの前で華原の気が緩んでいたということでもあるし、そう考えると萌える。残念なのは、本性が判明してからもデートや下校時の誘いなどの汎用イベントではいつも通りだった点。システム上仕方がないとはいえ、『ラブレボ』はこういった細かい配慮に欠けていることが多いのが勿体ない。制作者も気づいていてそのままにしてるんだろうけども。

ちなみに華原のキャラクタは本来の性格のほうが好み。誰も信じないと言いながら本当は人を信じたい気持ちが見え隠れしていたり、ヒトミの言動ひとつひとつに戸惑いを見せる姿には萌えたし、ヒトミを「あんた」呼ばわりするようになってからはヒトミより先に私が落ちた。二人称が「あんた」なキャラクタには弱いんだよなあ我ながら。

深水颯大 (CV:菅沼久義)

最初からヒトミに好意的なので何か裏でもあるのかと思ったら何もなく、むしろ最後までいい子で拍子抜けした。おばあちゃんへの懐きっぷりは見ていて微笑ましいと思うしネチネチ嫌味を言ってくる百合香に反論するシーンは格好良かったけど、結局ヒトミにとっての颯大は最後まで「可愛い後輩」であったように思うな。それからおばあちゃんが倒れてからの弱気な姿には、支えてあげたいという気持ちよりも「しっかりしてくれ」って気持ちのほうが大きかった。大好きな家族が倒れて動揺する気持ちはわかるが、おばあちゃんに何かがあれば颯大はまともに生きていけないのではないかと心配になるほどの弱りっぷりで、おばあちゃんが入院してからの颯大は見ていてちょっと怖かった。

橘剣之助 (CV:檜山修之)

予想外にも萌えた。楽しいルートだった。何が楽しかったって日常会話。雨の中で佇んで刀を持つ橘くんはかっこいいよね、みたいな話をヒトミがしたら「そして先輩を斬るんスね」と返して来て笑ったし、友情 ED でバレンタインチョコをあげたヒトミが「これで橘くんからホワイトデーにお返しがもらえる」と図々しいことを言ったら (゚-゚;) な顔で絶句していたのもツボ。ヒトミの体型にもズケズケとキツイ物言いをするところもいい。悪意がないのでタチは悪いが何故かあまりムカつかない。特に遊園地でデートした時、観覧車に乗ろうとしたら嫌がったので高いところが苦手なのかと思いきや「あれって、何キロまで耐えられるのかなって思って」と返って来た時は吹いた。でも一番ツボだったのは体育祭イベントで、悪口を言われて凹むヒトミをさり気なく慰めてくれるシーン。ベタな展開ではあるけど、やはりベタであってもああした気づかいにはぐっと来る。

印象的だったのは 恋愛 ED を辿るルートでのヒトミの言動。橘の親の横暴ぶりにキレて乗り込もうとするヒトミが男前で、夏の旅行の時もそうだったけどこのルートをヒトミを見ていると「そりゃ惚れるよな」と思える。橘がヒトミのどこに惚れたのかがわかりやすいから ED までの流れも自然で納得出来た。途中から二人の間に甘酸っぱい空気が漂っていたのも面白かった。が、ラストの告白は困惑した。自分で作ったケーキを持ってきてくれるところまでは 友情 ED と一緒なんだけど、ケーキにプレートを乗せて「With Love」とかやられた時は爆笑するべきかどうかで迷った。

神城綾人 (CV:浪川大輔)

中の人はヘタレキャラを演じるイメージが強かったんだけど、先輩はハマっていた。あの囁くような喋り方がいい。しかし儚げな人だとは思っていたが、本当に難病を患っていたとは思わなかった。シナリオも重い内容になっており、特に友情 ED は後味が悪い。バレンタインでは「忘れないでいてくれる? 僕と一緒にいた時間と……僕の存在を」と具合悪そうな顔で言われ、ED までヒトミは何も気付かないままで最後に若月に事情を聞いて後悔して終わる。死亡シーンはなかったが、先輩が諦観して自分の死期を悟っているので明るい未来がこれっぽっちも見えない。そして恋愛 ED に進むと今度は分岐直後に CG と共に吐血シーンが入るんだからかなり驚いた。一見明るいバカゲーに見える『ラブレボ』でこんなシナリオが用意されていたとは思わなかったなあ。それでもハッピーエンドには到達したし、おまけシナリオでは治療法が見つかって何より。

でもヒトミが交通事故に遭う展開はいらなかった。諦観している先輩の目を覚ますにはこれくらいの衝撃が必要だったんだろうけど、安直な展開で一気に萎えた。軽傷ですんだのは何よりだけど、そもそも事故はヒトミのほうに責任があったのがちょっとなあ。でも街中の花屋を巡り歩いて束ねたありったけの薔薇の花束を先輩がヒトミに渡す ED はいい。ベタだけどやっぱり花を大量に送られるシチュエーションてのはぐっと来る。

木野村透 (CV:野島健児)

頑張るヒトミを見て透もダイエットを始め、二人で徐々に痩せて行くのかと思いきや一向に痩せる気配がなく、おかしいなと思ったら恋愛 ED ルートでは秋に一時渡米して一ヵ月後に痩せて帰って来て仰天。ヒトミがコツコツ頑張ってるのにお前はたった一ヶ月で激痩せしたのかヽ(`Д´)ノ 疲労で風邪→食欲減退→胃腸が小さくなる→痩せる、というコンボで痩せたらしいのがまた気に入らぬヽ(`Д´)ノ しかし痩せたら積極的になったのは笑った。やっぱり理想の外見に近付くと積極性も伴ってくるんだろう。

ところで恋愛 ED はさておき、友情 ED だと透の外見が変わらないまま、単なる幼馴染みとして終わるのが何とも言えない。やっぱり乙女ゲー的には痩せたキャラとでないと恋愛出来ないっつーことか、と思えてなんかもうアレ。透ルートはある意味乙女ゲーを如実に表現した内容だよなあ。でも外見も大事なのは確か。

美少女アニメに対して偏見を抱いているのは引っかかったけど、透は基本的に痩せていても太っていてもいい子だった。その分シナリオは透の変貌以外は大人しいし強烈なツボや萌えに繋がるようなシーンはなかったが、彼はこれでいいのかなとも。

時田楓 (CV:石田彰)

エージェント云々はさておいて公園での「私の後ろに立たないでください」には笑った。どこのデューク東郷ですか。しかし何故ヒトミのマンションに住んでいたのかよくわからない。護衛なら百合香の家にいるべきじゃないのか。

そして空気の読めない典型的天然キャラの時田に振り回されて、ヒトミと百合香が苦労するルートだった。百合香は時田が好きだし、時田も護衛役として百合香のそばにいなければならないからこの二人は一緒にいるのが常で、そうなるとヒトミも嫉妬せずにはいられない。更に百合香の意向や鈍い時田によってヒトミが疎外感を味わう場面が入ると、さすがにヒトミが可哀想になる。そして百合香も時田とは「護衛と護衛対象」というビジネスライクな繋がりが一本あるのみで、いつも必死な彼女が痛々しかった。何故ならこのゲームのヒロインはヒトミで、彼女の恋が報われることはないんだから。せつねー。

百合香のキャラクタは好きだし、むしろ時田よりも百合香のほうが魅力的に見えた。期待していた火花が飛び散るよーな女同士の牽制合戦はあまり見られなくて残念だったけど、百合香を堪能できたのは良かった。逆に時田は私にドジっ子属性がないのと長髪キャラにあまり惹かれないことも相俟ってあまり興味を持てなかった。集中トリートメントをしたいがためにデートの誘いを断って来た時は笑ったけど、仕事中の時田関連のイベント以外で印象に残ったのはそれくらい? 仕事中の顔も普段の天然が炸裂する言動も、結局どちらもピンと来なかった。天然モードが演技ならまだ面白かったかもなあ。

恋愛 ED はハッピーエンドだったけど、時田がどのタイミングでヒトミへの気持ちや自分の中に芽生えた感情に気づいたのかは謎。しかしローランは一体何がしたかったのか。

若月龍太郎 (CV:杉田智和)

俺様で煙草も酒も大好きな不良教師だけど面倒見はいいし生徒思いだし気さくだし、叱るときはちゃんと叱ってくれるのがいい。なんだかんだで保険医には萌えた。中でも印象的だったのはリバウンドイベントでヒトミを叱るシーン。大人として、生徒を見守る教師として、ダイエットに協力する保険医としてヒトミを見守っているのが伝わってきて、CG はないのに印象深かった。エロ方面に会話を持って行く若月と毎回慌てるヒトミのやり取りも楽しかった。このやり取りは何度も行われるが、若月が子供には興味ないと繰り返すようにジョークで言っていたのに、終盤はこのいつものやり取りに加えて「けど、あんまそんな態度取ってっと……」と意味深長な台詞がついてくるところもツボ。悔しい。

中盤の美貴との再会からの一連のシークエンスは若月ルートのハイライトなんだろうけど微妙。金に目が眩んだのか別の男のところに走ったのに今更若月とよりを戻したいと言い出し、若月に惹かれているヒトミに陰険なことをして、最後には結婚の予定があることまで判明してもうアレ。美貴のどうしようもないところだけをピックアップして描写されているので、逆に美貴が可哀想になった。ヒトミもこのルートではやけに鈍感だったり余計なことをして若月の足を引っ張ったり、美貴が気になるのはわかるけど二人の問題に首を突っ込んだりで萎えた。このルートのヒトミは苦手。

友情 ED は調教の予感を感じさせる内容で、他のルートだと爽やか友情 ED なのに何故若月だとこーなったのか。恋愛 ED は生活指導の教師が保健室にやってきて慌てて机の下に隠れてキスをするんだけど、序盤でヒトミの体型をネタに生活指導教師に怒られる若月のシーンと対になってるのは上手いオチだったんじゃないでしょーか。ちなみに教師キャラとの恋愛については色々思うところもあるけど、そんな考えをねじ伏せるだけの萌えが若月から齎されたので負けた。「オレ様にとっちゃ、教師も生徒も関係ねえよ」と言われた時は「いやそれは駄目だろ」と思ったが、この人は頭が悪い人間ではないのでちゃんと線引きすべき場所ではしてくれるだろう……と思いたいなあ。

桜川鷹士 (CV:平川大輔)

二周しなければならないのが億劫すぎた。それも最初からやり直さなければならないのがキツい。お兄ちゃんとの恋愛は特に見たいとは思わなかっただけに、疲れた。

恋愛 ED は実兄とのガチ恋愛と聞いていたが、ガチというにはキスシーンもないし色々誤魔化されている。おまけイベントでは二人とも見合い話を全部蹴っているし、空気が恋人同士のそれなのでこの二人は行くところまで行ってしまったんだろうと解釈したが、作中ではこの二人の関係については明言されていない。そしてずっと一緒にいられるかどうかわからないことへの葛藤描写はあるのに血の繋がった兄妹で恋愛への葛藤描写はなく、その辺も意図的にオミットされてるぽい。まあ入れたらドロドロになっちゃうか。私は泥沼展開が好きだけど、この作品には合わないこともわかるので納得はした。

ただ、お兄ちゃんは好きなキャラだけど、やっぱりお兄ちゃんはあくまでもお兄ちゃんであって欲しい。近親相姦が嫌なわけではないけど、ヒトミとお兄ちゃんの場合は兄妹の関係のままでいてくれたほうが萌える。というよりお兄ちゃんには他の男に恋をする妹を見て、そばで泣きわめくなり応援するなりしていてくれるほうが魅力的なんだよなあ。