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リトルバスターズ!

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リトバス』を一言でまとめるなら、親子関係を脱却して対等になり、最終的には親友へと関係が変わっていく話。終盤までは弱くて未熟な理樹と鈴を成長させるために恭介や友達が見守る様子が描かれており、それは一見友情に見えるけど実は違う。特に恭介のやっていることは保護者のそれ。家族愛や兄弟愛という言葉ですら生ぬるい親の愛。実質、きちんと友情が描かれるのは終盤からだった。

野球試合が終わるまでの共通ルートは、リトルバスターズの居心地のいい空間を延々と描写し、それは見ている私ですら混ざりたくなるほどに楽しかった。だからこそ終盤に謙吾が虚構世界に拘るようになるのもわかる。ミニゲームも煩わしくなく、シンプルなのに面白くてハマった。特に野球練習は夢中になった。後半はさすがに off にしたけど、この楽しさもリトルバスターズと一緒にいつまでも遊んでいたいと思わせる原動力の一つになった。ただ肝心の野球試合はコマンド選択するタイプになっていて面白くなかったなあ。

そして最後の「Refrain」のシナリオに入るまでの個別ルートはすべて理樹と鈴の成長の糧となるべく用意されており、これは『CLANNAD』と同じ構造になっている。でも「理樹と鈴を成長させる」という恭介の目的が明確にされていることや、小毬の描いた「8人の小人」の絵本がそれを明示していることもあって『リトバス』はそのあたりが顕著。そして当然、恋愛要素よりも友情が強く描かれる。というか恋愛はおまけ。

で、それはいいんだけど個別ルートの火力が弱かった。『リトバス』の真髄が個別ルートをすべてクリアした後の「Refrain」にあるのに、「Refrain」に辿り着くまでのモチベーションを維持させてくれるだけのパワーが個別シナリオにはない。魅力的なキャラクタとちゃんと笑えるギャグシーンのおかげでなんとか乗り越えられたけど、ぶっちゃけ消化試合だった。共通ルートと最後のシナリオは素晴らしい出来なのに、シナリオ総量の大部分を占める個別ルートがいまいちってのは俯瞰してみると結構歪なバランスだなあ。

ただ、面白かったのは個別ルートに突入すると他のヒロインの存在感が希薄になるという恋愛ゲームにはありがちな現象が起きるが、これもちゃんと伏線になっていた点。恭介、真人、謙吾は個別ルートに入ってからも出番があるし、やっぱり意図された演出なんだろうな。特に恭介は重要な場面で、毎回都合のいい時に必ず現れているのがわかる。

大きな新要素としては Na-Ga 氏が原画に加わった点だけど、いたる絵と並んでも違和感がないし好きな絵柄だった。ただ枚数が少ないのは残念。音楽は過去の作品ほど強く印象に残る曲は少ないものの OP「Little Busters!」はやっぱり名曲。ED も歌詞の違いに気付いたところで震えた。これにはやられた。

個別ルートの弱さなど色々不満はあったけど、最後までプレイしてみるとそんな不満を突破するほどの感動と充足感が得られたのでめっちゃ満足した。楽しかった。

直枝理樹 (CV:田宮トモエ)

修学旅行中のバスの転落事故でみんなが瀕死状態になっている中で、真人と謙吾が咄嗟に庇った理樹と鈴だけは無事だった。しかしこれまで恭介に守られていた理樹と鈴はあまりにも弱く、目覚めた瞬間に絶望してしまう。だから恭介は二人を成長させるため、一学期を繰り返す世界を作り上げた。つまり本作は各ヒロインとの交流を経て強くなっていく理樹と鈴の成長物語で、だからこそ成長した二人が現実世界でみんなを助けようとする姿は感慨深いものがあった。一度目の目覚めてから鈴と二人で逃げるシーンは、「…現実でも今の通り同じになるはずだ」という恭介の台詞からもまだ虚構世界の出来事だとわかる。しかし二人は今度は自分たちで虚構世界を作り、更に強さを身に付けていく。「りんちゃんも、ちゃんと笑っていられますように」という友達の願いを叶えるために、「みんな、笑ってくれればいい」という鈴の笑顔に欠かせない要素である「みんな」を失わないために、みんなを助けることを鈴が決意する。両親の死によって生きていくことを怖がっていた理樹も、「うしなうことより、であうことのほうがたいせつだと…しったから」生きていくことを受け入れてナルコレプシーを克服する。虚構世界で理樹がかつての恭介を再現してリトルバスターズを結成して行く流れは、実はたびたび恭介の手が入っていて理樹が自分でやりきったとは言えない。そもそも恭介のやったことを真似ている時点で理樹の力だけで乗り越えたとは言いにくい。しかしここに来て理樹と鈴は自力で成長した。恐らく恭介が想定していたのは、目覚めた二人がその場で絶望せず爆発の影響を受けない場所まで避難して二人で生きていくところまでだった。別れる時に「それは誰も悪くない…。自分を責めるんじゃないぞ」と言っているのは「自分たちに構わず二人で逃げろ」ということだろうし、ナルコレプシー克服は難しいと考えていた。しかし理樹はこれを克服した。そうして今度こそ本当に目覚め、今までずっとみんなに守られてばかりだった二人が今度はみんなを助けていく。ここはもう震えた。大量の選択肢が出るが、実は恭介が現実世界を這っていた時に解答を全部言ってくれていることに気付いた時も鳥肌が立った。そして想像を遙かに超えた強さを示したからこそ、恭介は理樹にこう告げた。

…誇りに思えるぜ…
…おまえという親友を。

つまり理樹はここで初めて親子関係から脱却出来た。恭介から見て、理樹は自分が守ってやらなきゃならない子供ではなく信頼出来る親友になった。そして私もここで初めて理樹を「主人公」だと認識出来た気がする。終盤までは周囲の男連中が濃すぎて印象が薄かったけど、リトルバスターズを再結成させて部屋に閉じ籠ったままの恭介に手を差し伸べるシーンでは涙が溢れて止まらなかった。ラストは恭介にやっぱり持っていかれてしまった感があるが、これはもうしゃーない。恭介は色んな意味で強すぎる。

気になるのは理樹や鈴のトラウマのきっかけとなった過去が簡単に説明されて終わってしまった点だけど、理樹は確実としても鈴のほうも何故か語られない棗兄妹の両親が関係している気配がする。しかし敢えて「両親」のことはボカしたかったんじゃないか。今まで Key 作品は父親か母親の存在が鍵となっていることも多かったので、ここに来てそれを断ち切りたかった。結果としてその役目は恭介が背負ってしまったが、その恭介も親から親友へと変わったのでやっぱり「両親」から Key も脱却したかったのかなと。「両親」が関わって来るシナリオなんて葉留佳ルートと謙吾のエピソードくらいだったし。

日常では貴重なツッコミ役。真人との会話では特に冴え渡っており、二人の掛け合いを見るのが楽しかった。あとはみんなに愛される主人公だったなあと。男連中なんてみんな理樹が大好きだもんなあ。さすが女装も似合う主人公。つーか何故女装 CG がないのか。

棗鈴 (CV:田宮トモエ)

鈴は二周目以降に見てとれる成長ぶりに感動させられた。ものすごくちっちゃなことばかりなんだけど、一周目を見たプレイヤにはそれがどれだけ大きな進歩なのか理解出来る。一周しただけのプレイヤですらこうなんだから、恭介が得られた感動は相当だったんだろう。面白かったのが、じゃれあい感覚で真人に突っ込みを入れる際に蹴ってばかりの鈴に恭介が暴力にしか見えないと諭す場面。こうして暴力を振るうヒロインは多いしちょっとうんざりしているところだったので鈴もそうなのか、と最初はテンションが低かったこともあったけど、恭介がちゃんと改めるように注意したのが私には印象が良かった。

そうして幼い二人がどうやって恋愛へと発展していくのかが気になってたんだけど、恋を知らないまま「リトルバスターズのメンバーといつまでも一緒にいたい」という理由だけで付き合い出すのが、これ以上はないほどに二人らしかった。恭介に報告する時も冒険気分だし、ぶっちゃけままごと恋愛に近い。でもきっかけはなんだろうとままごと恋愛だろうと、そこから互いを意識していくようになるのがくちゃくちゃ可愛かった。理樹が恭介に報告する時のやり取りも秀逸。恭介は「そうなったらいいなって、ずっと思ってたんだよ」と言っていたが、何よりも二人の成長を切望している恭介にとっては「やっと小さな芽が出た」と思えるくらいの感慨深いものがあったんじゃないか。しかしみんな二人を微笑ましく祝福しているのに、真人だけは理樹を取られて嫉妬して泣いてて吹いた。

ここまでは順調に鈴が成長していっているかのように見えたが、併設校に向かわせるところからは雲行きが怪しくなってくる。これまでは試練を乗り越えて来たとはいってもそばに理樹や恭介を始めとしてリトルバスターズのメンバーがいてくれたから出来たことで、併設校に行くということは鈴が一人で頑張らなければならないということで、鈴にとっても理樹にとっても恭介にとっても正念場だった。結果、鈴は乗り越えられなかった。この時に顔文字で鈴の辛さを表現して来るのがとてもいいなあ。(∵) から (TT) へと変わった瞬間は私も心を抉られたような気持ちになった。

理樹の悲痛の訴えにより恭介も限界を感じて一旦戻らせるが、交換留学が取りやめになったわけではなく明日にはまた併設校に向かわなければならない鈴は絶望し、理樹と謙吾は恭介のやり口に反発して雨の中で 2 VS 2 の野球対決。この時に恭介がどれだけ親友の大事なものを踏み躙ったかが後でわかるようになっており、それも含めてインパクトの大きいシーンだった。あれほど仲の良かった四人が対立しているのも哀しいけど、普段バカを通している真人が怖い顔をしているのがまた緊張感を生んでいて目が離せなかった。この辺りからヒロインであるはずの鈴の存在感が薄くなっていったが、鈴ルート=鈴を成長させようとしている恭介のルートでもあるのでしゃーなしか。レオンを経て鈴にミッションを与えてきた人物の正体もバレバレだったとはいえ判明するし、鈴ルートでの鈴の印象はちょっと薄かった。そして禁じ手を使った恭介に敗れ、更に絶望した理樹は鈴と逃げることになるが、これは恭介の想定範囲外だったのか織り込み済みだったのか。恭介の祖父の家は恐らく恭介が登場させたんだろうし、二人の逃亡先もとっくに知っていたはずで、でも追いかけてこなかったのは「今のお前たち二人ではまともに生きていけない」ということを自覚させたかったんだろう。実際、二人の生活は見ていて不安だらけだった。理樹はナルコレプシーがあるから職場での理解が得られない限りはまともに働くことが出来ないし、鈴に至っては状況を理解しておらず猫を大量に捕まえてくる始末。この二人の逃亡生活は当然上手くいくはずもなく捕えられてしまうが、展開が早かったのでもうちょっとじわじわと二人が追い込まれていく描写が欲しかったし、最後に何が起こったのかがよくわからないまま終わったのは残念。現実で過去にあった鈴のトラウマとリンクさせてるんだろうけど、詳細がわからないので何とも言えない。

しかしこの時のことがショックだったらしく過去のトラウマとともに鈴の精神にフィードバックされ、次の「Refrain」では鈴が心を閉ざした状態で物語が開始される。この対人恐怖症状態にある鈴は見ていて結構衝撃が大きかったなあ。鈴の心を傷つけてしまった恭介はともかく、真人や謙吾にまで心を閉ざす鈴は痛々しかった。そして恭介も漫画に逃避したり部屋に閉じ籠ってしまうなどして心を閉ざしてしまうが、実は鈴のそばにはレノンが必ずいたのがもう……。理樹はレノンが恭介の手先の猫だという記憶がないから気付けないが、恭介が本当はまだ何も諦めておらず、鈴を心配しているのが伝わってきて泣けた。その後はキャッチボールをするなどして鈴の心を理樹が開いていくが、これもレノンがヒントを与えているから実質的には恭介のおかげなんだよなあ。でも猫のレノンだけで鈴の心を開くには限界があるし、鈴をそばできちんと支えられる理樹にしか出来ないことでもあった。しかし一応メインヒロインだろうに鈴が復活していく描写が雑なのは残念。

棗恭介 (CV:緑川光)

リトルバスターズ!』の主人公でヒロインで黒幕。作品の重要な役を全部恭介一人でこなしている。『リトバス』は恭介(と筋肉)ゲー。

理樹と鈴を成長させるために虚構世界を作りあげ、時には仲間に対して卑劣な手段を行使することも厭わない残酷な位置にいることを強いられており、恭介も承知でそこにいる。それはもう親の役目と言っても差し支えない。恭介は本来は兄の位置にいる存在だが、兄の役目を超えている。でも「成長させるための試練は楽しみながらやったほうがいい」という考えを持っているあたりは、理樹や鈴と同じ子供でいられる「兄の視点」を持っていることの証左でもある。だから恭介は兄の視点で親の役目をこなしていたようなものだった。しかしいくら有能とはいえ恭介も子供には違いないわけで、それなのに親役をやらなきゃならないから心の中では苦しんでいた。恭介のエピローグでは彼がどれほど苦しみながら理樹たちを突き放していたかがわかる。迷いがないように見えたけど、本当は何度も迷っていたし葛藤もしている。鈴の心を傷つけてしまった時が一番苦しかったんだろう。それでも理樹の「これからは強く生きる」という言葉を信じ、例え二人が試練に打ち負けそうになっても諦めず、現実世界でたびたび意識を取り戻していた恭介は二人を助けるために二次災害を引き起こすまいと一人で戦っていた。一度虚構世界に戻ると現実でやったことが全部リセットされてしまうのに、虚構世界から仲間たちに呼び掛けられるとすぐに戻ってやれるところにも泣けた。「Refrain」の恭介は何もかもを諦めて引きこもってしまったように見えるが、それは単に気力を使い果たしてしまっているからで、実際にはレノンを鈴のそばに置いたり鈴を復活させるヒントを与えたり、真人の視界を狂わせたり謙吾を攻略するためのヒントを与えたりして、突き放したように見えて結局は理樹と鈴を甘やかさずにはいられないダメなお兄ちゃんだった。理樹に優しい声を掛けてあげたい衝動に駆られ、恭介がそれを必死に堪えるシーンがあったが、そこからもわかるように恭介は本質的には「甘やかしたがり」なんだろう。本人が有能すぎたせいもあるんだろうが、だから理樹と鈴はこれまで守られてばかりで弱かった。つまり極度のブラコンでシスコン。理樹と鈴への試練は、今まで甘やかしてきた恭介にとっての試練でもあった。

印象的なシーンは多かったけど、一番はやっぱり恭介の本音が爆発する最後のシーン。

「そんなの、俺のほうが嫌に決まってんだろおぉぉ!!」

「なんで、おまえらを置いていかなきゃいけないんだよ!!」

「俺だって、おまえたちと居てぇよ!!」

「ずっとずっと居たかったんだよ!!」

「なんで、こんな理不尽なんだよ!! ちくしょう!!」

「ずっとずっと、そばにいたかった!!」

「俺のほうが、ずっとずっとおまえたちのことが好きなんだよ!!」

「なのに…おまえたちを置いていくなんて…」

「そんなの…ねぇよ…」

「なんでだよ…」

「わけわかんねぇよ…」

「くそぉ…」

役目をこなしたことで解放され、本当は理樹や鈴とずっと遊んでいたかった恭介の子供のような叫びがたまらなかった。やっぱり「兄」も親ではなく子供なんだよなあ。

井ノ原真人 (CV:神奈延年)

リトバス』の素晴らしいところは日常シーンのギャグの面白さと「Refrain」にあるが、どちらも真人が必要不可欠だった。特に日常シーンが楽しいのは真人のおかげだった。野球練習のミニゲームでも筋肉ネタに関する発言が多く、それがいちいち面白いもんだから集中したいのに真人のせいで気が逸れてしまうこともあったほど。本当に楽しかった。

そして真人は天然の馬鹿だけど、天然だからこそ周囲の嘲笑を浴びることも多く、馬鹿だからこそ苦しんできた。そしてかつては馬鹿な自分の居場所を探していた時があった真人だからこそ、虚構世界で自分の馬鹿でみんなを笑顔に出来たことが重要だった。最後の理樹とのやり取りで、理樹に「真人じゃなかったらありえないよ、こんな楽しい生活…」と言われたことは真人にとって何よりも嬉しい言葉になったんだろう。

「こんな馬鹿と一緒に過ごしてくれてありがとな」

この言葉にはさり気ないながらも万感の思いが込められていた。でも消える時は未練を残さず男らしく消えるのが格好良かったなあ。虚構世界での「理樹と鈴の日常を守る」という自分の仕事を把握して全うしている男でもあり、それは最後まで揺らがなかった。

ところで真人のエピソードで語られる「真人だらけの狂った世界」はシュールだったが、理樹への試練として真人の事情や背景を効果的に突いて暴走させるという意味ではまさに覿面だったわけで、恭介の狡猾さには舌を巻いた。野球対決で謙吾に古式を見せたのも酷いやり方だったけど、真人を暴走させたこのやり口も酷い。ただ一瞬だけ真人の目に鈴だけが鈴として見えるようになっていたけど、あれが恭介の仕業なのは間違いないとしてもどういう意図があったのか。理樹を勝たせるために真人に隙を与えたのか、それとも自分だらけの世界に放り込まれてしまった真人に救いを与えたのか。両方かな。

宮沢謙吾 (CV:織田優成)

冷静な常識人かと思いきや、怪我をしてからトップギアで馬鹿になったのは予想外。恭介と真人の存在感が強すぎて謙吾はいらないんじゃないかと思ったこともあったけど、謙吾を捨てるなんてとんでもない! 馬鹿になる前も馬鹿になってからも、謙吾は事情を全部知っていながら恭介や真人とは違う方向から理樹や鈴を心配して獅子奮迅の活躍を見せてくれたし、謙吾もまたいなくてはならないキャラだった。愛すべき馬鹿。

本質は恭介も指摘していたように一番子供。永遠の一学期の中でずっと遊んでいたい、という子供のような願いを抱いているところなどは特に。理樹と鈴には乗り越えられないと思ったから、てのも停滞を望んだ理由の一つではあるんだろうが、何よりも謙吾自身がみんなとずっと遊んでいたかった。やめたかった剣道をやめる機会を恭介から与えられたのに才能があったから結局は剣道を続けていたが、本当はみんなと子供のようにはしゃぎながら遊んでいたかった。そのチャンスが訪れたのが「永遠に繰り返す一学期」。しかしそうして「自分が選択した道が無駄になる」ことを恐れて体をずっと鍛えていた謙吾は、理樹や鈴との野球対決で負けた。そうして今度こそ素直になることが出来た謙吾が子供のように泣き出して、リトルバスターズのみんなと遊ぶことを決意するシーンは印象的。こうして考えると、恭介+真人の野球対決の時といい理樹+鈴の野球対決の時といい、謙吾は決めなければならない場面で毎回屈している。恭介の時は卑怯な手を使って負けたので数に入れてしまうのは可哀想だと思うが、鈴に対しては正々堂々と戦って負けた。でもそれが謙吾にとっては良かったんだろう。かつての恭介は謙吾の父親に勝ったが、理樹と鈴は謙吾本人に勝てたからこそ謙吾は素直になれた。

「理樹…」

「おまえは何も気負うことはない」

「安心しろ」

「おまえの相棒は…」

「100戦無敗」

「負け知らずの男だ…」

「信じろ」

理樹と組んで恭介と戦う時のこの台詞はぐっと来たなあ。いい男ですよ彼は。

神北小毬 (CV:やなせなつみ)

小毬の「幸せスパイラル理論」は綺麗事の極地だし甘いとも思うが、他人を幸せにして自分も幸せを実感出来ている時の小毬が本当に幸せそうで、捻くれ者の私も「小毬が言うならそれもありかな」と思えてしまった。ただ、シナリオの出来はちょっとなあ……。綺麗に纏まってはいるけど優等生的でインパクトがない。先の読める展開でも盛り上がることはあるしそれが悪いとは言わないが、盛り上げ方が拙かったかなという気がする。子猫の死体を見て小毬が壊れる場面は唐突だったし、その理由に納得はしても説得力がない。兄が死んで哀しいのはわかるんだけど、それで延々逃避を繰り返していたのだと言われても「えー……」という反応しか出て来ない。理樹に「大切な人の死から目を背けるな」というメッセージを伝えさせることで、現実での恭介たちの死から逃げない強さを理樹が手に入れつつあることを描きたかったんだろうけど(そしてそれは両親の死をきっかけに発症したナルコレプシー克服にも繋がっていく)いまいち真に迫って来ないというか。たぶん神北兄妹に纏わるエピソードがサラッと書かれて終わってしまったのが敗因。

重要なアイテムとなる絵本に関してはありきたりながらも悪くはないと思うけど、一つ気になるのは理樹が壊れてしまった小毬のために新たな絵本を書く展開。これは理樹が小毬を救ったというよりも、兄の用意した絵本に代わる新しい絵本を理樹が書いたことで、小毬の中で依存の対象が兄から理樹に変わってしまっただけとも取れるんじゃないか。

印象的だったのは小次郎。登場シーンは本当に驚いたし、キャラクタも面白くて結構好きなじいさんだった。それと理樹が拓也の墓を訪れた際に謙吾を見かけたのは、後になってみると重要な伏線だったのだとわかる。恐らくは古式の墓参りだったんだろう。それと重要なのがここでも暗躍していた恭介。小毬が壊れる直前に二人にデートに行くことを勧めたのは小毬のトラウマを引き出すためだったのだとクリアした今ならわかるが、プレイ中も雨が止んだとはいえ快晴でもなく重い曇り空を前に、わざわざそんなことを言うのは別におかしいことじゃないんだろうけどなんだか変だな、と感じていた。これは狙って書いたんだと思うけど、恭介への得体の知れない小さな違和感を読者に与えるという意味では成功していたんじゃないでしょーか。

ところで小次郎を登場させたのは小毬? 小毬は世界の秘密や自分の本来の目的を忘れていたみたいだし、無意識に出したんだと思うけど、だとすると小次郎の妻の名前が「こまり」だったり小毬と似たよーな状況になっているといった都合のよすぎる設定は小毬の創作の可能性が高そう。まあ小次郎という祖父は実在するんだろうけど。

小毬は小毬ルートよりも「Refrain」での活躍が大きかった。小毬が小毬ルートにおいて理樹に教えてもらったことを、今度は小毬が鈴に伝えようとする。そして鈴は小毬の想いを受け止めて更に成長する。三人のこの流れが良かった。それと謙吾のエピソードで、部屋に引き篭もった恭介を心配するルームメイトを動かしたのも小毬っぽい。最初は真人かと思ったけど真人がわざわざそんなことをするとは思えないし、小毬がまだ世界から消えておらず屋上に残っていることの伏線にもなっているのだと思われる。

三枝葉留佳 (CV:すずきけいこ)

最初に抱いた感想は「また双子ネタか」。でもこの双子は異父重複受精がポイントになっている珍しい設定で、そこから発生したマイナスの押し付け合いという不毛な双子のやり取り自体は納得も出来たし面白く読んだ。一人の母に二人の父という込み入った関係と時代錯誤を通り越してファンタジックですらある三枝家の仕来たりは、葉留佳のキャラクタに反してやたらドロドロしていてこういう展開は好みだなあ。ただ、最後に両親に関するあっけない真相を聞かされて葉留佳が「誰も悪くなかった」と結論付けたのは納得がいかない。それでいいのか君は。確かに三人の両親に悪意はなかったけど、三枝家という根本的な問題はほったらかしにされているのですっきりしない。それと葉留佳ルートの理樹が何もしなかったのも気になった。佳奈多は理樹の前では本音を口にすることが多かったんだから、憎悪で佳奈多の真意に気付けない葉留佳だけではなく、佳奈多のためにも理樹が解決に導くことは出来たんじゃないかなあと思ってしまうのよなー。

ところで黒板に罵詈雑言を書いたり中傷ビラを撒いたりした犯人は結局誰だったのか。佳奈多は葉留佳が潰れる前に学校から追い出そうとしていたが、事件後に仮面をつけ忘れるほどに焦って葉留佳を問い詰めていることからも犯人である可能性は低い。で、他の容疑者候補を考えてみると、理樹が嫌がらせの後始末をして回っている時に都合よく登場した恭介の顔が浮上する。何故恭介があの場面で登場しなければならなかったのか。それは犯人だったからじゃないのか。あの恭介がそんな卑劣な真似をするか? という疑問にはすぐに答えが出た。鈴を守るために、友人の大切なものですら踏み躙る覚悟をしている恭介ならやれる。ただ、恭介が葉留佳の事情を知ることが出来たのかどうか、という疑問は残る。恭介は神の立場にいるけど虚構世界に干渉して色々出来るだけで、心までは操れないし他人の過去を覗き見出来るわけでもない。実際、小毬ルートでも小毬の事情を知らないと言ってたんだから葉留佳の事情を知ることは出来なかったんじゃないか。

他に考えられるのは、葉留佳の無意識の自作自演。小毬が無意識に小次郎を登場させて動かしていたように、この事件も三枝家に憎悪を抱いている葉留佳が第三者を動かして演出したのかもしれない。ただ、最初は佳奈多を動かして彼女に嫌がらせをさせたんじゃないかと思ったんだけど、佳奈多は身に覚えがないみたいだし世界の秘密に気付いている気配もあるので NPC でない可能性が高い。それなら葉留佳は佳奈多を動かせない。じゃあ誰を動かしたんだと言われたら答えが出ない。ここで詰まってしまった。葉留佳の無意識の自作自演、葉留佳を追い出したい佳奈多、神の立場からトラウマを引き出した恭介、と容疑者は三人いるんだけど、やっぱりこれは恭介になるのかなあ。

葉留佳のキャラクタ自体はけっこー好きだった。やかましいけどこのやかましさは嫌じゃないし、何気に世界の秘密を知っていることが伺える台詞がポロポロ零れるのでハッとさせられることも多かった。特に理樹とキスした時の台詞とか。

「…理樹くん、キスじょーずだよね…。こないだが…初めてじゃないでしょ?」

これは抉られる。そして抉られるのは理樹ではなく読者。

能美クドリャフカ (CV:金子明美)

大味なシナリオと構成だな、てのが最初に抱いた印象。前半は他人からの視線と自己存在の不一致に悩むクドの話で、外国人なのに英語の成績が悪く日本文化を愛するクドが、クラスメイトの嘲笑の的になっている光景が描かれる。序盤はクラスメイトとも楽しくやっているように見えたのでクドルートに入った途端のこの展開には驚いたし、強引な描写に落胆もした。で、結局は理樹がクドが好きで一緒にいたいから周りの目は関係ない、とありきたりな言葉を送ることでクドに笑顔が戻る。これは理解出来る。例えありきたりだろうとなんだろうと、理樹に恋をしていたクドにとっては大きな力になったんだろうから。ただ、結局クラスメイトには悪意がなかったということでクドを笑っていた者からの謝罪がなく、明確な解決には至らないまま終わったことが不満だった。

そもそもクドに好奇の視線を送ったクラスメイトにとってのクドへの態度は「ちょっと間抜けなクラスメイトを愛でている」程度の感覚で、いわゆるお笑いの世界における「美味しい役」でいて欲しがっていた。これはクドがテストで赤点を取るかどうかの賭けが行われていたことからもわかる。普通ならそれはイジメと捉えられなくもないが、賭けの対象にはクドだけではなく真人も入っている。普段バカばっかやっている真人は成績も悪いから賭けの対象になったんだろうが、真人は気にしていない(ように見える)からイジメの空気が漂わない(ように見える)。クラスメイトにとってはクドもそこに加わっただけのことで、クドを苛めているという意識がない。クドもそれを感じ取っているから何も言わない。ただ、自分と一緒に勉強することで理樹まで好奇の対象にされてしまったことが嫌なだけ。だから「悪意がない」という結論が理樹の中でも出た。

でも悪意がなくても他人を傷つけることはある。むしろそのほうが性質が悪かったりすることも珍しくはない。実際、クドも自分が好奇の視線の的になることを望んではいなかった。真人も賭けに対しては何も言わないが、いい気持ちはしないだろう。だからクラスメイトには「自分たちにそんなつもりはなくても人を傷つけることはある」と自覚させる流れが欲しかった。でも最後までプレイするとわかるけど、この世界の主要キャラクタ以外の人間は恭介たちによって用意された NPC に過ぎない。それぞれが意志を持つ人間のように見えるけどそれは間違いで、だから理樹の行動の影響を深く受けない。学習も反省もしない。それで彼らが謝罪するシーンがなかったのか、と自分を納得させた。

後半はクドの故郷で行われるはずのロケットの打ち上げ失敗により災害が発生し、搭乗者だったクドの母親に会いに行くか行かないかで選択を迫られる話。母親の安否を確認したい気持ちと、危険な国に行くことで理樹と離れ離れになる恐ろしさに苛まれて迷うクドに代わって、理樹がどうしたいかがクドの行動を決定づけることになるが、ここはクドを帰らせるのが正解選択肢。でも暴動が起きている危険な状態の故郷に帰らせることが正しいのか、私にはよくわからなかった。安否がわからない母親に会いたい気持ちもわかるので難しい。ただ、この展開は「片思いしていた理樹の近くに居続けたくて結局行かなかったけど、後に暴動が起きて母親が公開処刑されてしまった」という現実世界でのクドの後悔をやり直すための再現なので、少なくてもクドの中では「テヴアに帰ることが正しい」。だから理樹や読者がどう思おうとクドが帰らなければ事態は進展しない。

その後は何故か通話出来るはずがないのにクドと電話やメールのやり取りが出来たり、水牢で人柱になっていたクドに理樹が話しかけられたり、現実世界での両親の遺品だと思われるドッグタグを理樹の部屋から遠く離れた故郷にいるはずのクドに届けられたりとよくわからない奇跡が大量に起きて混乱。更にクドを縛りつけていた鎖が木端微塵になってクドが脱出して日本に帰ってくる結末まで、間抜けにも口をあんぐり開いたままぼけっと眺めている状態だった。確かにこのメーカは「奇跡」を描くことが多いけど、何の根拠も因果も理由も背景もなくポンポン起きるわけではないからこそ感動が得られていたのに、この展開では急に奇跡が都合よく発生したようにしか見えずついていけなかった。まだ母親の公開処刑をテレビで見てしまう BAD ED の方が納得出来てしまったくらいだもんなあ。でもフルコンプした後になってようやく少し把握出来るようになった。あれは虚構世界での出来事だから理樹やクド、恭介の意志次第でなんでも出来てしまう。恐らくクドを縛っていた鎖はクドの後悔によるもので、理樹がクドのもとにドッグタグを届けられたのもそんなことが可能な世界だったから。というわけで私の中で落とし所は一応つけられた。それでも描写不足は多いし、不満の残るルートであることに変わりはないけども。

クドに関しては「わふー」という口癖や「><」な表情差分も相俟って可愛らしかった。日本文化を愛する外国人が特に珍しいとも思えず、前半のクドの悩みについてはピンと来なかったけども。でも英語が苦手なのに英語に拘る理由が「外国人らしさを演出したいがため」だけではなかったのは説得力もあって良かった。外国人ぽく振る舞いたいのならロシア語でもいいのでは? と謎だったけどこれで納得。

来ヶ谷唯湖 (CV:田中涼子)

来ヶ谷ルートは虚構世界の構築システムとリンクしているので、「Refrain」をやるまでは雰囲気は伝わるものの何がなんだかさっぱりだった。そしてオールクリアした今でもよくわかっていない。虚構世界の構築に加わっていた来ヶ谷が理樹を好きになり、理樹と二人だけの世界を願ったからループしたのは「一学期」ではなく「6月20日」。しかし夢は必ず覚める。そしてからくりに気づいた理樹と来ヶ谷は離れるしかなかった、らしい。放送室が重要な場所になっているあたりは『C†C』を思い出したなあ。まあシナリオはよくわからなかったものの、雨や雪が降るシチュエーションは好きなので天候が関係しているところはツボに来た。相合傘でデートをしているのも微笑ましい。

見どころは前半の、理樹の恋を成就させるべくオペレーション・リトルラブラブハンターズと称してあれこれバックアップをしてくれるリトルバスターズの面々。(21) ネタとか恭介ロリ疑惑とか謙吾のロマンティック大統領ぶりが伺えるシーンなど笑えるエピソードが多く、私もリトルバスターズの一員になった錯覚に陥るほどにワクワクした。花火のシーンもいい。何より主人公がヒロインにアタックしようと頑張る展開は貴重で、そういう意味でも面白かった。いやもー理樹が来ヶ谷に惚れるのもわかるわ。姉御は男前すぎた。

ところでループの謎や「Refrain」後に見れる秋の告白シーン云々は考えることも放棄したしどうでもよくなったんだけど、ひとつわからないのが恭介の真意。他のルートでは「自分で解決しろ」と突き放すように見せてきた恭介が、来ヶ谷ルートだけは手伝おうとしてくれていたのが最初は不思議だった。それについては来ヶ谷に振られたことを報告した時の反応から、こうなることを知っていて理樹が傷付かないように動いていた、と理樹は考えていたけどそれもよくわからないんだよなあ。恭介の思惑には「来ヶ谷ルート攻略」も理樹の必須科目に入っていただろうし、だからこそリトルバスターズに入れている。なのに来ヶ谷と恋仲になることを良しとしないのがよくわからなかった。例え振られて理樹が傷付いたのだとしても、それだって成長の糧にはなるんだから恭介が止める必要もないのに何故わざわざ来ヶ谷にだけは理樹の恋を歓迎しなかったのか。もしかしたら来ヶ谷ルートに入るとイレギュラが発生することを予測していたから? なら何故それを予測出来たのかという謎が出てくるけど。

西園美魚 (CV:荒井悠美)

主人公 or ヒロインの存在が忘れられていく展開は Key のお家芸だと認識しているので、まさに美魚ルートは「Key っぽい」。文学的かつ難解なシナリオで、話を理解出来たかどうかは正直自信がない。自信がないなりに私の解釈をとりあえず書いてみると、まず「際限のない空想世界の魅力」に満ちている本を愛しボーイズラブ妄想もする美魚は、現実と虚構の境界が曖昧であることを知っている。境界について理樹に自分の考えを述べていたし、美鳥も現実がいかにあやふやであるかを理樹に説明している。だからこそ美鳥というイマジナリフレンドを幼い頃に生み出した。それは医師によって一旦忘れ去られたが、若山牧水の詩に出会った瞬間に思い出し、美魚は美鳥を忘れてしまったことを贖罪したいと思うようになる。そして美鳥は自分を恨んでいるし現実に定着することを願っているのだと思い込み、入れ替わりに自分は完全な孤独の世界を求めて現実から消えたかった。虚構世界ではそれが叶う。だから美鳥が本当に登場出来てしまうし、美魚も消えてしまえた。そして二人は入れ替わった。しかし美魚は本当は「孤独」を求めていたわけではなく「確固たる自分自身」が欲しかったんじゃないか。美鳥というもう一人の自分を生み出し、現実と空想の境界線が曖昧さを知っていた美魚は、何よりも自分の存在感を求めた。「カゲナシ」と呼ばれクラスでも存在感の薄い美魚だからこそ、他の誰でもない「西園美魚」という自分が欲しかった。それを美魚は「孤独」だと解釈していた。その解釈は間違いではないんだけど、美魚自身にも誤解を与えてしまったところはあるんじゃないかな。でも理樹が「他人がいることで初めて自分は確固たるものになるし、人はすでに孤独だからこそ求め合う」のだと教えることで解決した。……ということでいいんでしょーか。というかこれ以外の落とし所を見つけられなかった。

ところで理樹と恭介のやり取りを見て頬を赤らめるので、美魚は恭介が好きなのかと思ったら「棗さん×直枝さん」てそっちですかそうですか。そいや薄い本を学校に持ってきてたもんなあ。しかしそれをどーすんだ。読むのか。校内で。堂々と。あと理樹と恭介がキスをしているところを目撃したのだと勘違いして「夢が現実に置き換わった…そんな不思議な心持ちです」と呟いていたのは、何気に重大な伏線になっていたのが上手かった。彼女のボーイズラブ嗜好趣味を単なるキャラ付けだけで終わらせなかったのは良い。

笹瀬川佐々美 (CV:田宮トモエ)

毎回ミッションの最中に登場することからも、恐らくは恭介の用意した「鈴のライバルとなってくれる」NPC。各ヒロインを攻略していくことが理樹の成長の糧になっていたが、鈴の大きな成長の糧の一つが佐々美の存在。キャラクタはかなり気に入ったので、彼女が NPC で終わったのがちょっともったいなくもあるなあ。ところで漫画に出て来るよーなベッタベタな悪役キャラだったのは恭介が漫画を愛していることから影響してんのか。

二木佳奈多 (CV:すずきけいこ)

最初は葉留佳が登場させたキャラクタだと思ってたんだけど、どうも違うっぽい? でも恭介は「世界を支えている存在」とは見てないみたいだし、やっぱり NPC なのか。NPC でも現実に基づいて登場させられているのであれば、ベースとなった人間が聡明なら NPC もそれが反映されて世界の秘密に気付いてしまう可能性があるんでしょーか。