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家族計画 ~追憶~

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『C†C』を始めロミオ作品は小説を含めても好きだし『家計』も名作と名高い作品だが、私の中では名作にはならなかったなあ。確かに泣けるエピソードはあるんだけど、期待していたような火力はなかった。まあ古典ってこんなものなのかもしれない。

で、長い長いと聞いてたけど確かに長かった。特に共通ルートがおっそろしく長い。その内容はほぼギャグで占められており、私はロミオ作品は好きだけどロミオ氏のギャグは合わないので無表情で読み続けていた。名作だと聞いていなければ途中で放棄していたかもしれない。しつこい下ネタを盛り込んで来るのも面白くない原因の一つだし、すぐに終わる会話を寛がわざわざ無駄に引っかき回すパターンが多くそこも気に入らなかった。だから寛は人気のあるキャラだと聞いてるけど、私には喧しい父親役としか見れずあまり好きにはなれなかった。しかしそうしたマイナス要素の多い共通ルートを乗り越えられたのは、テンポが良くサクサク読めたから。面白くなくてもサクサク読めるのはすごいなあ。というかゲームを始めた瞬間にロミオのテキストだとすぐわかる。ロミオ節は初期の作品でも濃度がすごかった。いい意味でも悪い意味でも。

更にシナリオやテキストにケチをつけるなら、共通ルートで明らかになったヒロインの大きな問題も有耶無耶なまま放置されることが多いところとか。特に準が薬をやっている事実は看過していい問題じゃないだろうに、準ルートに入っても特に掘り下げられることがないのは驚いた。いいんですかそれで。

面白いなあと思ったのはプレイ前の予想をいい意味で裏切られた点。てっきり「疑似家族が一丸となってヒロインの問題を乗り越えて行く話」になると思ってたんだけど違った。家族計画はあくまでもきっかけにすぎず、それは一旦崩壊して最終的には司とヒロインが結婚するなり子を作るなりして「本当の家族を作る」話だった。だから各ヒロインが抱える問題も高屋敷家のみんなで解決するのではなく、概ね司とヒロインが二人で乗り越えて行く。ぶっちゃけそこは普通のエロゲと変わらない。でも『家計』はエロゲだからこれでいいんじゃないかなあと。家族の絆を信じない人間同士が集まった家族計画で家族のなんたるかを体験して理解し、成長した司がヒロインと共に新たに本当の家族を作る。一度目は実の家族に裏切られたのだと思い込み、二度目は疑似家族の絆を信じられなくなるような体験をしたのに、それでも最終的に司は家族を作るに至る。だからこそ『家族計画』というタイトルになっているのだと気付かされて納得した。

システムは古い作品なので仕方ないけど微妙。特に非アクティブウィンドウで動作しないのが厄介。カーソルのデザインも萎えるくらいにしょっぱい上に無駄に大きいから邪魔だし、画面をグラグラ揺らす演出も鬱陶しい。あーでもスキップが早いのは助かった。個別ルートに入ったと思わしき場面(ちなみに誰のルートに入っているのか終盤になるまで分からないことが多い)から、同じテキスト内容なのに既読判定されない個所もあるのは気になったけど、そこはまあ強制スキップを駆使すればいいだけの話だ。

あ、そうそういわゆる非処女にカテゴライズされるヒロインがちらほらいて、そこも時代の差を感じた。今なら荒れそうだなこれ。私はもちろん処女でもそうでなくても気にしないけど、好きになれたキャラクタがいなかったのは残念。辛うじて春花が一番好きかな、という感じ。あと中の人的に『C†C』のラバを彷彿させる劉とか。

絵は好みではないが、それよりも塗りがうっすいのがどうにも。枚数も少ない。景や山名一家など立ち絵が雑なキャラクタがいるのも気になった。音楽は OP は前から知ってたけど ED が思いの他いい曲で気に入った。歌詞も内容に沿っていてぐっと来る。

こうしてみると不満ばっかだったんだな、と我ながら。でも印象に残る台詞が多かったのは確か。というかここまで名台詞が大量に出てくる作品はちょっと久し振りなくらい。ただ少し期待しすぎたのと、私には合わない部分も大きかった。

沢村司

最初は家族計画を馬鹿にしていたのに、崩壊の時には一番荒れるほど司の中の家族に対する捉え方は変わっていくが、その変化は丁寧に描かれていたんじゃないでしょーか。特に屋根の上でのシーンの存在が大きかった。

ただ、ついていけない言動も多かった。この子に付き合ったら厄介なことになるな、と判断した見知らぬ女の子が持っていた怪しげな薬をいきなり三錠も飲んだシーンから不安になってたけど案の定。媚薬のせいで発情し、初対面の春花とセックスしてしまったことをいつまでも根に持っていて「春花には借りがある」と強く意識しているのも違和感があった。それでなくても作中でも言及されていたように司にとって春花は特別な存在らしく、家族計画崩壊のきっかけである春花が責められる気配が漂うとやたらと庇い出すのも不自然で、何故そこまで春花を守ろうとするのかよくわからない。「両親に愛されてなかったと思い込んでたけど本当は愛されていた」という過去も断片的にしか語られないので、実は思い込みだったと言われても「さよか」という冷たい反応しか出なかった。せめてもう少し詳しく語られていれば感情移入出来たのかもしれないけど。

広田寛 (CV:比留間狂ノ介)

先述した通りあまり好きなキャラクタではなかった。寛が黙ってりゃ冗長なテキストもだいぶすっきりするんじゃないか。それくらい無駄な会話が多い。存在感はあるけど好きになれないとその存在感も鬱陶しく感じてしまう。後半に正気に戻ってくれた時は衝撃よりも「ああこれで静かになってくれるのか」という安堵感が大きかったもんなあ。でも嫌いなキャラというほどでもないし、これだけ重要なキャラクタならもうちょっと CG に出しても良かったのではないかなとも。クリア後にタイトル画面の高屋敷の家にヒロインたちが追加されて行く演出は良かったんだけど、そこに寛がいないのは少し寂しく感じる。

中の人は相変わらずのやり過ぎた演技だったけど寛はこれでいい。やり過ぎなキャラにはやり過ぎな演技がハマる。そしてあの声で下ネタが炸裂するのは結構強烈だった。

ところでロミオ氏はエロゲの年齢メタネタが好きなんかな。『C†C』でも『ユメミルクスリ』(こちらはロミオ氏がどこまで書いてるのかは不明だけど)でもやってたし。私の苦手な生理ネタも相変わらずだったけどロミオ氏の描く生理描写はいつも真面目だし、何より『家計』では真摯に扱われていたので不愉快ではなかった。

板倉真純 (CV:MIWAKO)

真純は一人になると死にたがるようになるのが危ういが、「きちんと信頼出来る」「真純を必要としている」の二点を満たした人を見つけられればそれだけで安定する。騙されているとわかっているのに結婚詐欺師の元夫を振り切れないのも、騙されても必要とされたい欲求が強いから。それなら寛も言っていたように、例え真純が悪質な男に騙されようと本人がすべて承知の上で少しでも救われているのであれば、他人にどうこう言える筋合いはないんじゃないか。しかし真純が信頼できる相手は見つかった。が、その相手である司は真純を抱かない。甘えない。必要としない。だから真純は例え金目当てであっても自分を必要としてくれる元夫にフラフラと寄ってしまうという……。要するに司が真純を必要とすれば真純のそうした厄介な部分は綺麗に解決する。それしか真純ルートの着地点がない。司が真純を受け入れるかどうか、というシンプルな物語。で、司が真純をきちんと女性として意識するようになったのは火事で埋もれた司を助けるために両腕をボロボロにした時。頼りないとばかり思っていた真純の強さを知り、そこから惹かれて行ったらしい。どうも罪悪感のほうが大きい気がしなくもないんだけど、エンディングの幸せそーな二人を見てたらもうこれでいいのかも、と思えるようになった。いつの間にか散り散りになっていたはずの高屋敷家のみんなが帰って来たよ、というオチは唐突すぎたけども。元夫に300万円を渡してしまった時も「ええー」ってなったけど、まあ真純が学習するにはあれくらいしないといけなかったのかもしれない。でも授業料にしてはちょっと高すぎるよーな……値段もそうだけど、母親の形見ってのが大きかったのだし。

ところで真純さんて何気にハイスペック? 料理は上手いし仕事も出来るし末莉の初潮イベントなどは理想の母親そのものだったし、イライラさせられる場面も多かったけどなんだかんだで嫌いにはなれなかった。ただ司にとっては恋人よりも母親ポジションがベストかなあと。寛と結ばれるルートもあって仰天したが、そちらのほうがいい。

他に印象に残ったのは、真純を待っている間に末莉のために自発的に BL 本を買ってあげる司のシーンだった。優しいお兄ちゃんだな司さん……。

高屋敷青葉 (CV:北都南)

彼女の刺々しさや暴言は理不尽が過ぎるケースが多く、中盤までは好きになれないキャラクタだった。ただ青葉ルートと末莉ルートで見所が多く、最終的には好きなキャラクタになってくれた。寝る時はナイトキャップを被っているのも可愛かったなあ。

司は両親に愛されていなかったと思い込んでいたが、青葉も祖父と冷たい関係しか築けなかったことから「自分は祖父に愛されていた」と自身の記憶を改竄していた。でも二人とも実は両親に、そして祖父にきちんと愛されていたという同じ事実に到着する。だから司と青葉は似た者同士で、この二人が結ばれるのは理解出来る。しかし青葉ルートのハイライトは祖父に関する事実が二転三転するところにあるんだろうけど、私はそれよりも青葉の苛烈な愛の捧げ方と求め方のほうが印象に残った。情が深いというか、一度この人だと決めたら一途に愛するし愛されることを求める。特に盟約を結ぶシーンが本当に素晴らしかった。エロシーン突入も自然だったし、セックス中の会話もぐっと来るものが多かったなあ。「死ぬほど、抱いて」とか「妊娠、させて」とか卑猥なだけの台詞ではなく、激しく重い情感が籠もっているのがいい。久し振りに良いエロシーンを読んだな、と思えた。火事から脱出した時の台詞も良かった。命令形なのが青葉らしくていい。

「司、生きなさい」

「あなたが得損なった愛情を……私が全て注いであげるから」

ここまで言われたら司も本望だろう。青葉は本当にいい女だ。エピローグの穏やかな青葉も金持ちのお嬢様らしい気品があってとてもいい。末莉ルートで呼吸の止まった末莉を目の前に茫然自失状態の司を庇った時の青葉もかっこよかった。

「司、生きることは、問答無用なのよ」

「くだらない気の迷いで命を粗末にすることは、愚かなことよ」

「私は認めない」

「それがたとえ、あなたの無価値な命であっても」

「司、あなたに恩を売ってあげるわ」

「……生き残って、死ぬ気で返しなさい」

おかげで末莉ルートは末莉より青葉が印象に残ってしまった。かっこよすぎますよ青葉姉さん。青葉が末莉を魔性の女だと言ってたのは笑ったけど。あとは両親の死を知って狂ったように高笑いを披露する場面とか、毎朝司のために食事を作ってくれていた「知らないおじさん」ネタとか印象に残る小さなエピソードも多かった。

ところで以前薬をやってたこととか男性の汗に怯える理由とか、ほったらかしにされた伏線がいくつかあるのは気になる。特に後者は絶対に回収されると思ってたんだけどな。

大河原準 (CV:杉沢淳子)

準ルートはあまり盛り上がらなかった。準とのやり取りが共通ルートと過去の回想のみで個別ルートに入ると準がほぼ出て来なくなるのは面白い試みだと思ったけど、その分家族計画崩壊までの様子を丁寧に描いているし、結末も私が最初に想定していた「家族で乗り越える話」っぽい感じでそこは気に入っている。が、不満も多い。

まず準が他人の手料理を受け付けられない体になってしまった原因でもある過去が重要なんだけど、それが双子の口から軽く語られるだけなのでピンと来ない。躾と称して水しか与えられない生活を強いられていた準と景に、ある日母親がスープを与えようとする。二人は喜んで飲もうとするが、毒が混入していることに準が気付いて妹が飲まないよう全部飲み干してしまう。姉が飢えのあまり独占したのだと思った景は姉を憎悪する、という展開は確かにえぐい。でも「双子の可哀想な過去設定」以上のパワーがないというか。丁寧に描写されていればもっと印象は変わったんじゃないかなあ。準が金を求める理由もありきたりで児童養護施設が出て来た瞬間に「ああこのためか」とすぐわかるし、まあそれはいいとしても養護施設が取り壊される展開が急でついていけなかった。エピローグはこれまで徹底して描写されなかった準の気持ちが語られたのは良かったし、司と春花が隠した謎の薬を奪って高屋敷家の人間を更に危険に晒すような行動に出た準を春花がたった一言で許す場面や、園長先生や景との再会で準が泣き出す場面は感動出来たんだけど、その後の「あしながおねーさん」とオムライスの件は蛇足。「あしながおねーさん」はあざとく感じて萎えたし、オムライスの件も簡単に克服出来るとは思えないのに「感動させる流れだから」という理由だけでそのまま解決しちゃったよーな印象を受けて「えー」と思わず不満顔に。大団円が悪いとは言わないけど、なんかあっさり終わった気がして残念。

後は先にも書いたよーに準が薬物をやってる事実が放置されたり、薬物売買もしてるけど依存性の低いマリファナを売ったり客が薬物に依存しないよう色々注意しているらしいことが描写されていて萎えた。だから準の罪は軽くなるとでも言いたげに聞こえて不愉快になる。依存性が低かろうがなんだろうが売買してる時点で罪は罪だろうに。

王春花 (CV:佐々留美子)

一番好きなヒロインは春花かな。元々チャイナ服に弱いし、空気は読めるし頭もいい子なので好きになれる要素は多かった。ショートカットヒロインてのも好印象。いつも天真爛漫で明るいけど、感情を隠した上での笑顔の場面も多いからそう思うと切なくもなる。

母親に会いたいがために中国から密入国してきたのに、母親が中国留学中に強姦されて出来た子が春花だった、という想定していた以上にキツい出生。母親の中で留学中のことはトラウマでなかったことになってるし、今は夫と娘を得て幸せな家庭を築いてるから春花は名乗れないのが切ない。司は何度も名乗り上げるべきだと言うが、他人の笑顔を壊すことを何よりも恐れる春花は最後まで語らなかった。山名一家を劉の運営する中華料理店に招待するシーンは、すぐそこにいるのに擦れ違うしかない母娘の姿に泣けた。

ただピークはここまでで、その後の劉やマフィアが絡んでくる展開は唐突だし安っぽいしでつまらなかったし、中国強制送還の場面も楓がファインプレイを決めてくれるものの背景が青空のまま立ち絵すらもなく淡々と進行するので白けてしまった。みっともなく春花を求めて縋る司のシーンは良かったんだけどなあ。エピローグも現地のおじいちゃんに春花が八つ当たりをする場面は彼女の新たな一面が見れたというか、日本では常に感情を押し殺していた春花もこうして撒き散らすことがあるのだとわかって安心出来てさり気なく好きなシーンではあるんだけど、肝心の司との再会は特に印象に残らなかった。

河原末莉 (CV:片瀬唯)

ちゅうがくいちねんせいが攻略出来るエロゲ、それが『家族計画』。発売当時はまだ規制がそこまで厳しくなかったんだっけ。あれ違う? 調べてないのでよくわからんけど、どちらにせよ現在では間違いなくアウトですアウト。

しかし私が末莉を好きになることは最後までなかった。卑屈すぎる。「いらん子病」が発病するたびにうんざりさせられた。しつっこい。末莉の厄介な性質は彼女の境遇を思えば仕方ないと思うし、彼女はまだ幼い子供だから私の中のもやもやをぶつけるのは酷だとも思う。だから末莉への苛立ちを隠そうともしない青葉の気持ちがよく理解出来ると共に、末莉への理不尽な態度にも苛立たされて苛立ちの悪循環が発生する。これがキツかった。末莉が幼いのに人並み以上に頑張りすぎることにも苛立ちが募る。頑張り過ぎて倒れる末莉を見ても、可哀想だと思うより頑張る自分をアピールしているように見えて苛立つ。そして末莉がまだ子供なだけに、そんな風に穿った見方をしてしまう自分への嫌悪もある。とにかく見ていてイライラしかない。いろんな面で仕方がないのは理解出来てるつもりなんだけど、すべての面で感情が納得してないんだな多分。

共通ルートでもそんな感じだから、個別ルートもやはりイライラし通しだった。特に青葉に火傷させたことで逃げ出して親戚の家に行ったかと思えば、そこからたびたび無言電話を繰り返したり深夜に助けを一旦求めつつも「やっぱり言えません」とだんまりを決め込むのがもう鬱陶しすぎる。この手の構ってちゃんは私にはダメだ。

シナリオも特に面白いわけでもないんだよなあ……。良太が末莉に惚れていたらしいこともピンと来なかったし、終盤の司が腕や目を怪我をするきっかけになった三人の少年との争いも唐突でポカーンとする羽目になった。学校でも末莉は苛められていたらしいが、そのあたりも末莉の口から軽く触れられるだけで描写はないに等しいので何が何やら。親戚の人に末莉を引き取らせてもらえるようにお願いする場面も、こんなクズ一家の元で生活してた末莉は可哀想だとアピールされているように感じて萎えた。私が末莉をどうしても好きになれないから末莉の「可哀想なイベント」は全部好意的に見れなくなっている。この場面で良かったのは、言葉にならないくらいにキレた司の発言を青葉が代弁してくれた時だけだった。というわけで青葉の格好良さを堪能するルートだった。

司が末莉からの猛アタックに根負けしてロリコンだと認めてセックスに至る展開は、まあいいんじゃないですか。司は末莉に対しては兄のままのほうが良かったとは思うけどこれはエロゲだからしゃーない。ちなみに末莉の幼い肉体に司が溺れて行く様が丁寧に描かれていたのは引いたけど笑った。でも末莉は結構ハードな BL を読んでるんだから、人並み程度にはセックスに関する知識があるんじゃないのか。下ネタにも疎い様子だったけど、それも振りなんじゃないかという気がして来た。……って、あーもー末莉に関してはどこから責めても悪い印象しか持てない。これ以上はやめやめ。

良かったのは末莉の制服のデザインが普通だった点。エロゲの変なデザインの制服もあれはあれでいいけど、やっぱり普通のセーラー服がベスト。麦わら帽子を被る姿も可愛かったなあ。それと最初の家出で土管に閉じ籠った末莉を司が説得する場面も良かった。

「生きてて、何が悪い」

「生まれてきて、何が悪いんだよ」

「生まれちまったものは、生きるしかないだろ?」

「嫌がられようが、邪魔だろうが、生きるしかないだろうが!」

「いらん子と言ったな? たぶん、俺もそうだったんだろう」

「親も、あの親戚の連中も、俺を必要としていなかったってことだもんな」

「正直、恨んだ」

「けど、こうも考えた」

「親は俺をいらなかったかも知れないけどな、俺自身は俺が必要なんだって」

実際は司は親に愛されていた人間だったけど、それも本当に親に愛されていなかったけど親子の愛というものに対して幻滅しないようにしていた末莉との対比になっていて、そういう意味でも面白かったんじゃないでしょーか。

久美景 (CV:杉沢淳子)

ロミオのギャグは面白くないけど、末莉ルートで準のふりをする景関連のイベントは素直に楽しめた。こういうノリのいい子は好きだなあ。準ルートで活躍するだろうとは思ってたけど、末莉ルートのほうが輝いていたのは予想外だった。

劉家輝 (CV:十文字隼人) & 劉楓 (CV:鎌田千歳)

司とバイセクシャルな劉との軽妙なやり取りは楽しかったなあ。たまにふっと前触れもなく真面目な表情で不穏な発言をぽろっと零す時もどきりとさせられた。劉は劉で思惑があるし司を利用してるし酷いこともしてるんだけど、結局は嫌いになれなかったずるいキャラクタ。楓も可愛かったし、司が楓と結婚して劉ファミリーになってそこから家属幇が巨大化するにつれ迷走していった劉も本来の目的を思い出す、的な展開も見てみたかった。