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十三支演義 ~偃月三国伝~

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欠点は大量にあったけど、萌えたらそんなことはどうでも良くなった。めちゃめちゃ楽しかった。思いっ切り突っ込めて思いっ切り萌えて思いっ切り爆笑出来るってなんて素晴らしい乙女ゲーなんだ。ここまで楽しめたのは年単位で久し振りだったから感動した。

どうでも良くなったとか言いながらそれでも敢えて不満点を挙げると、『十三支』独自の桃園システム、介入システム、タイミングシステム、旅システムがすべて「それ必要だったのか」と真顔で聞きたくなるような代物ばかりだったあたりとか。いずれのシステムも普通に選択肢を置けば代替え可能ってのがな……。

そして基本的に三国志の流れに沿う形で物語が進んでいくので、後半まで同じ流れが攻略人数分続くのが辛い。関羽の立ち位置はルートによって異なることもあるので視点も多少は変わるが、大局から見れば同じ展開であることに変わりはない。更に戦のシーンが多いから恋愛描写が減り、それはいいんだけど三国志と異なる展開に出来るのは恋愛描写だけなので恋愛描写の少なさが仇になっている。もっと言うと個別ルート突入後も他のルートで読んだエピソードが結構出てくるのに、既読判定がないので強制スキップするしかないのが面倒。こうしたいくつもの不満が重なって「同じ展開を延々読ませられる」苦痛は結構大きい。スキップも遅いし、選択肢までジャンプすることも出来ない。

多くを占める戦闘描写も、演出の弱さも相俟って面白くない。元々そこに期待するような作品でもないが、戦のシーンが多いから言及せずにはいられなかった。関羽も強くなったり弱くなったりでブレがある。ただ、私は三国志の勢力図の変動模様を眺めるのが好きなので、例え緩く元ネタを知っていて先の読める展開でも戦闘描写が微妙でも、戦況変化や敵味方が目まぐるしく変わって行く様を追うのは楽しかった。言ってしまえば本作が面白いというよりも「三国志」という元ネタが面白いってことでもあるが、楽しめる要素があればそれで十分。こんなにダレる仕様なのにクリア出来たのは、乙女ゲー要素とはかけ離れたところでも楽しんでいたからなんだろうなあ。

他に気になったことと言えば毎回告白など重要な場面で「偃月」に無理やり絡ませて来るところで、これは勘弁して欲しかった。自然な流れならまだいいけど唐突に月が云々言い出すので面食らう。上手いこと言ってやったぜ感が漂うのもアレ。

良かったのは恋愛描写は少ないけど濃いルートもある点。曹操ルートなんてヒロインへの執着が悪い意味で史実の内容に影響する。この「悪い意味で影響する」のが面白かった。あとはやっぱ好みのキャラクタが存在していたことも大きい。

肝心のオリジナル要素については可もなく不可もなく。獣耳属性がないので猫耳設定には惹かれなかったし別になくても良かったんじゃないかとは思うけど、オリジナル設定が作品の盛り上がりを邪魔するようなことは殆どなかったのでまあいいんじゃないですか。私は猫耳はないほうがもっと楽しめたと思うけど、これも単に好みの問題。

絵は綺麗だけどもっと引きの絵が欲しかった。乗馬シーンで馬が画面の外に追いやられる構図ばっかだったり張遼が無数の矢に貫かれる場面が顔のアップだったりで、やたら寄りすぎた絵が多い。音楽は植松氏が携わっていることで話題になっていたように記憶しているけど、ケビン氏の手掛けた楽曲も良かった。システムはログから過去に戻れるのが重宝した。あーあといい加減愛キャッチには慣れました。愛着すら湧いて来た。

ほぼ不満を並べ立てただけの感想になってしまったけど、それでも萌えたので満足した。続編の新規キャラを目当てに購入したので続編のためにやっとくかみたいな軽いノリだったのに、まさかこんなに楽しめるとは思わなかった。それも私にとっては鬼門のオトメイト作品で。ちなみにメインシナリオを書いたのはいつものオトメイト作品を手掛けている人ではないらしいけど、私にはいつものオトメイト作品と変わりないように思えた。

関羽

関羽といえばはわわ軍師がいるほうの三国志関羽のイメージが強いのでしばらくはあちらのビジュアルが頭にチラついたけど、CG にはよく顔を出すので次第に慣れた。

関羽なので基本的には強いはずなんだけど、先述の通り作者の都合で弱くなったり無敵になったりする。突然良策を思いついたかと思えば感情的に突進する場面も多く、他にもコロッと騙されたり間諜なのにあっさり敵に看破されたりするなどアホの子になる。思考回路もお花畑気味だけど、これは元々猫族が争いを好まない種族だからなあ……。

ちゃんと人を殺す描写があるのは良かった。乙女ゲーでの戦争は主人公が殺す描写が誤魔化されることが多い印象なので、関羽が戦に身を投じてどんどん人を殺していくのは意外だったなあ。ちなみに初めて人を殺した時の動揺描写は一応あるが、すぐに覚悟を決めて引き摺らずにそのまま進んでいく。でも人殺しの葛藤云々をこの作品で延々やられても鬱陶しそうなのでこれで良かったんじゃないですかね。

それにしてもこの手の世界観だとほんと異種族同士の混血設定が多いのな主人公て。

劉備 (CV:石田彰)

ショタには興味がないので珍しくメインぽい子を最初に攻略した。しかし中の人は好きだけど、手抜きなく全力で演じてくれているのがこの場合はキツくて初っ端から不安になった。ただ多重人格に近い構造の精神をしているので、中の人の色んな演技が聞けたのは楽しかったと……言えなくもない……ような……。とりあえず大人になるのはわかりきっていたので「はよ成長してくれ」と思いながら読んでいた。

それと劉備は足手纏いな自分に何度も苛立っていたけど、それなら大人しく村に残れば良かったのにと無粋を承知で思ってしまったのがアレ。戦場についてきて足を引っ張るだけのヒロインを鬱陶しく思ってしまうことが多いので、これを攻略対象でやられてちょっとげんなりしてしまった。最初に曹操軍について行くことを決めるシーンですでに利用される未来が見えていたし、案の定最後まで何度も利用されまくる。猫族のみんなが言うように劉備を利用する曹操は確かに酷い男ではあるけど、あんなに弱点を曝け出しておいて何を甘えたこと言ってんだとも思ってしまった。猫族は人間から隠れて暮らしていたし、戦乱の世の空気に慣れていないのは理解出来るけども。

子供でうにゃうにゃした頭の劉備に、重大な決断を委ねる猫族についていけない場面も多かった。特に驚いたのが徐州を託された時。国をポンと渡されても普通は困るが、劉備は考えなしに決めてしまう。劉備はそういうキャラクタだからしょうがないとしても、それをあっさり受け入れる猫族はやばすぎないか……。この異常さは怖いな。ただ、みんなで相談してもなかなか結論が出ない時に、劉備の鶴の一声ならぬ猫の一声であっさり決まるのは物語をスムーズに進行させるという意味ではたいへんありがたかった。それもあって後半には猫族のこの異常さを受け入れられるようになったので結果オーライかな。

で、散々焦らされた末に終盤になってやっと劉備が成長するが、成長したら張角と同じ考えに到達するんじゃないかと予測していたらまさにその通りで、しかし猫族の王国とか連呼されるとネズミーランド的なアレを想像するので困った。更にラスボスの金眼が色んな意味で酷かったことも相俟って終盤は世界ヤバイ人間ヤバイ的な状況だってのに緊張感がまるでない。最後は呪いの元凶を倒すのではなくまた封印するんだけど、これは単にショタ劉備に戻したいだけに思えて「あー」と微妙な気持ちに。ただ劉備は大量の人間を殺してしまったから、呪いを劉備がまた抱えていくのが最良の落とし所かもしれない。しかしルート道中に人間と関わり合うことで猫族の排他精神も変わっていったのに、最後には人間とは相容れないという結論に達してしまったのが何とも言えず。更に猫族の成り立ちの真相を知った後では、その真相を糊塗された「猫族は人間を襲う」という逸話が皮肉にも現実になろうとしていたルートでもあり、そういう意味では面白かった。動機とか経緯を考えると曹操ルートのほうが皮肉が効いてる気もするけど。

一方 BAD ED は関羽のキャラクタが急に変わった気がしてピンと来なかったけど、人間を滅ぼせて楽しそうな黒劉備関羽の「ごめんなさい」連呼は結構印象に残った。

関羽劉備についてはあまり恋愛をやっているようには見えなかった。偃月の夜に現れる主人格らしき劉備からは関羽への恋の切なさがまだ漂ってきたけど、関羽のほうは完全に劉備を大事な弟的感覚で接しているよーな……。

張飛 (CV:岡本信彦)

元々年下属性が極薄なのと張飛のように嫉妬でやかましくわめくキャラクタは男女を問わず苦手で、彼のシナリオを読むことで更に苦手意識が強くなっていくのがキツかった。中でも関羽趙雲が二人きりで他国へ向かったことを知って焦り、留守を任されていた徐州を考えなしに空けて二人を追いかけてしまうという失態を犯す場面で一気にヘイト MAX。これが張飛を成長させるためのイベントだと分かっていても、今後張飛を好意的に見れる自信がなくなってしまったほどに苛立たされた。ここから私の印象を覆すウルトラ C が来てくれれば良かったんだけどそれも結局なかったしなあ。最後には一応男を見せてくれるので張飛株は回復したけどそれも微々たるもので、結局最後まで低空飛行のまま終わってしまった。イライラさせられた期間が長すぎたのが原因。難民を助けながら過ごしていた時は関羽を「アンタ」と呼んでくるのが二人称アンタ属性の高い私には美味しい要素なのに萌えられなかったし、子供の頃に軽い気持ちで交わした結婚の約束なんてベタな設定にも盛り上がれなかったから、私にとって張飛は相当好きになれないキャラクタだったんだろう。数万もの兵を引き連れてまで必死に猫族を追いかけて来る面白い曹操がいなければ挫折していたかもしれない。プレイ中は「もう全部曹操に任せてしまえ」と何度思ったのか。曹操は猫族のことを買っているし、野望があるから関羽と戦える男は戦に駆り出されるだろうけどこの時代ならどこも戦争やっているのだし、曹操は手中にした国は全部きちんと統治しているんだからもうジーク曹操でいいんでね的な。

ただ、後半に猫族の安定した生活の保証と引き換えに関羽曹操の部下になるが、曹操は約束をちゃんと守ってるのに末端の兵士たちの猫族に対する差別はなくならず、結局猫族がいい暮らしが出来なかったという結果になるのは政治の難しさが出ていて面白かった。統治者の考えを民全員に浸透させるのは難しいし、だからこそ人間と猫族は直接交流して地道に信頼を得ていかなきゃならない。それを張飛は実現させた。そういう意味では張飛ルートにも意味はあった。同じ猫族でも劉備曹操には成しえない結末。特に劉備ルートとは対照的な作りになっていて、例えばキレて暴走する力で呂布を倒して人間に目撃されるところまでは同じ展開だが、劉備張飛では暴走した動機とこれまでの町の人との時間という大きな違いがあり、それが二人のその後の明暗を分けた。人間とは離れて暮らすしかない結末に到達した劉備ルートと、人間との共存を叶えた張飛ルートの対比を堪能出来たのは、この二人のルートを続けてプレイしたからこそ。

ところで本能が爆発すると暴走するのは張飛だけなん? 猫族なら誰にでも可能性があるんだと解釈したけど、語られたのは張飛だけだったような(劉備はまた別として)。

趙雲 (CV:鈴村健一)

中身も外見も清廉潔白なスーパーイケメンで、白馬に乗っていることを考えれば正統派王子様系キャラとも言えそう。この手の欠点が特に見当たらないよーな男はつまらない印象を与えるのに、趙雲は結構好きだな何故か。他のルートでも常に猫族を助けてくれるし、むしろ趙雲がいなければ猫族は生き残れなかったんじゃないか。曹操ルートで蘇双に「俺はお前たちの父親か」と冗談を言う場面があったけどあながち間違いでもない。戦闘でも「ここは俺が止める! お前は先に行け!」要員としても助けてくれる場面が多かった。そして本人のルートではイケメンではいられないんだろうと予想していたしそこが楽しみでもあったが、結局大きなブレもなく凄まじい安定ぶりだった。

趙雲関羽を普通の女の子として扱う唯一のキャラクタで、戦場や街中で突然ナチュラルに口説き出したりと要所要所で炸裂する天然たらしぶりが面白かったんだけど、「戦場でのお前は美しく強いがそれでも俺が守りたい」→「守るとか言われ慣れないから戸惑う」→「お前には普通の女の子として暮らして欲しい」→「どうしてそんなに良くしてくれるの?」→「自分でもよくわからないがやりたいことをやっているだけだ」という一連のやり取りを三回ほど見せられるので前半は退屈だった。

ただ、関羽が公孫賛の娘であることが発覚してからは盛り上がって来る。下民と差別される猫族の関羽と幽州の勇将と名高い趙雲が結ばれるには障害が発生しそうなものだが、趙雲が猫族を差別しないので中盤からイチャイチャモードが漂っていた。が、関羽が君主の娘であれば話は変わって来る。今度は「差別」ではなく「身分」が問題になってしまうからだ。趙雲は根が真っ直ぐだから猫族を差別しなかったが、真っ直ぐだからこそ身分の差に囚われて線引きして来るようになる。更に公孫賛が「娘が夫を迎えるまで守ってやってくれ」という遺言を残して死んだことで趙雲の苦悩は増していくが、主従も身分違いの恋も苦悩する男も大好物なので私には美味しかった。特に袁紹関羽を慰めて抱きしめる場面を趙雲が目撃するシーンは萌えた。趙雲みたいなキャラクタは普段好きにならないのに何故こんなに楽しめているのか謎だったけど、私は趙雲みたいなキャラクタが苦悩するのは好きなんだなあと実感。その後耐えられず趙雲関羽から逃げた時は、一昔前のエロゲのヘタレ主人公を見ているようで吹いた。まあそれも張飛と世平の叱咤激励で目が覚めるけど、ここの張飛はかっこよかったなあ。かつて趙雲関羽に言った「子を愛さない父親などいない」という言葉が、関羽の育ての親である世平を通して公孫賛が実の息子同然に思っていた趙雲に返って来るのも良かった。

その後は予定調和。ノリノリで悪役をやっている袁紹が面白かった。顔の影が消えたり出たりするのがシュールで爆笑したけどそんなところも可愛い。それにしても曹操袁紹は怪しいぞと忠告されて疑惑を抱き始めていたのに、何故あっさり袁紹の差し出した怪しげな薬を飲んでしまうのか関羽は。やっぱりアホの子なんですかねえ。あと袁紹を殺した直後に戦場でイチャイチャしている関羽趙雲が早速バカップルぶりを発揮していて、なんというかある意味安心した。呂布が生き残っているし彼女の存在は今後の不安要素になるんだろうが、このバカップルならまあ大丈夫だろうと思える。

というわけで趙雲ルートは楽しかった。先の展開は読めることも多かったが、天然バカップルな二人も面白く眺めていられた気がする。曹操があっさり諦めてしまったことだけが不満。貴方そんなキャラじゃなかったでしょうが。

趙雲の髪型は下ろしたほうが断然好みだったなあ。戦闘で結っていた髪が解けて広がるのはなかなかに美味しい。というか邪魔なら切りなされ……。この髪を下ろした趙雲の CG が BAD ED にしかなかったのは寂しい。あの BAD ED 自体は結構好きなんだけどな。

曹操 (CV:鳥海浩輔)

プレイ前はまったく興味なかったのに、蓋を開いてみたら私好みの「実は孤独を抱えている寂しい人」だったので自分でも笑ってしまうほどに萌えた。一見格好良いように見えるのに実は可愛いところがいい。矢傷と毒にうなされながらも「お前が……欲しい……!」と鬼気迫る勢いで関羽を引き込もうとするところとか、美味しいお茶をもらったと嬉しそうに報告して来た関羽に「私がもっと美味い茶を飲ませてやる」と対抗心を剥き出しにするところとか、父親を殺してから眠れなかったのに関羽そばでは眠れるところとか、関羽に猫族の状況を聞かれてつい「知らぬ」と嘘をついてしまうところとか、「いつも大抵夜は中庭にいるだろう。何故、今日はいない」と思わず聞くところとか、「別に毎晩いるわけではないわよ」と返されてしょんぼりするところとか、「散歩でもする……?」って提案されて「……うむ」と答えるところとか、膝枕をさせてもらって嬉しくてつい関羽の頬に口づけるところとか、「お帰り」って言って欲しくて拗ねるところとか、「私のことだけを考えて欲しいんだ……!」と縋るところとかとにかく必死すぎて萌えた。

しかし父親殺害以降は私情で戦争の指揮を執るなどして徐々に駄目になっていく。十万の兵を連れて構ってちゃん全開で徐州に戦を仕掛け、あと少しで徐州を落とせるところで関羽が手に入ったことで徐州がどうでも良くなって引き上げるあたりはもうアレ。攻められた徐州は当然として、妙なタイミングで退却の合図がかかったのは曹操の身に何かあったのではないかと本気で心配して焦る夏候惇が哀れ。そしてどれだけの戦費が無駄になったのかと考えると恐ろしい。その尻拭いをさせられるのは民なんだよなあ。自分で女を手に入れるためにあれこれするならまだいいんだけど(いや良くはないのだけど)、戦争は部下も含めてすべての民が巻き込まれてしまうことを曹操は忘れてはならなかった。でもそういうところも可愛いと思ってしまったのでなんかもう色々終わった。私が。

関羽曹操の配下についてからは徐々に惹かれ合って行くが、小隊を任せられた関羽曹操軍の兵士に認められるまでの話が地味に好きだったな。猫族の仲間と離されて一人で曹操軍の中で生きていかなきゃならなくなった関羽の立志伝ぽい何かとして読むと結構面白いというか。関羽が突然有能になりすぎた印象を受けるしエピソード自体は簡易的なもので描写自体は浅いが、元々あの手の話が好きなのと、何より命令を無視して敵を深追いしてしまった部下を助けにいく関羽にキレる曹操が良かった。

「くそ! あのはねっかえりめ!!」

この台詞で曹操に落ちたと言っていい。ものすごい萌えが襲ってきて苦しかった。あの曹操が思わず「くそ!」とか吐き捨てるのも萌えたし、関羽を「はねっかえり」と称するのもツボに来た。萌えで苦しいとか何年ぶりの体験なんだか。

呂布に支配された徐州への援軍を関羽が乞う時の契約も良かった。

「以前お前は私に言ったな。どんなに広大な国を得ようとも、そこに私はひとり。たったひとりきりの王だとな」

「ならばお前がそれを見届けろ。国を攻め取り、世界のすべてを手にする我が覇道を! お前が最後まで見届けるのだ!」

こういう王の孤独を思わせる展開には弱い。関羽が武将として最後まで寄り添い、世界を統べて一人で君臨する曹操の孤独な背中を見つめる結末も見てみたかった。

印象的だったのはやはり呂布戦。関羽が自分を捨てて猫族のところに戻ってしまうことを何よりも恐れる曹操に試練を与えるかのように、呂布関羽に今まさに危機の中にいるかもしれない劉備を助けられるチャンスを与える。関羽は揺れるが、結局曹操と共に呂布を討つことを決意して撃破する。強敵をやっと倒せたことと、関羽劉備より自分を優先してくれたのだと思って気が緩んでいたこともあるんだろうが、曹操も思わず「関羽、やったぞ!!」と叫んで関羽と勝利を分かち合おうとする。ここはあの曹操の子供のようなはしゃぎように色んな意味で泣けた。が、それを 完 全 無 視 して関羽劉備を助けに向かってしまう。これには思わず私も「うわちゃー」。関羽の行動も理解出来るだけに尚更。そんな可哀想な曹操に追い打ちをかけるように呂布が「母親に置いていかれた子供のよう」と評していたのがまた何とも言えず、しかし盛大に萌えた。

更に曹操関羽が自分と同じく人間と猫族との混血児だと教えられ、しかしその唯一の同胞からも愛されないという呪いをかけられる。ちなみに曹操が猫族の血を引いているだろうことは序盤の張角を殺す時の鬼気迫った問いかけで気付いた。『セレナリア』のゼーズロムに似ているな、と感じたのがきっかけではあったんだけど、他にも人間の排他精神について客観視していたこともヒントになった。しかし人間と猫族と間に子供は生まれないらしいのに二人が生まれたことに何か理由はあったのか、そもそも生まれないと言われているのは何か根拠でもあるのか、ここらへんはどうもよくわからない。

まあそんな疑問はさておき同胞を見つけた曹操関羽に運命を感じ、更におかしくなっていく。混血厨爆誕。まずは散り散りになってしまった猫族を探してやりたいと言い張る関羽を気絶させて攫う。ここでもう爆笑した。どうやら首にチョップしたらしい。あの曹操様がチョップて。いやここは手刀と書くべきだったのか。そして曹操関羽を束縛していく。劉備たちは安全だと嘘をつき、戦うな外に出るなと言い出すあたりがアレ。あれほど武将としての関羽を求めていた人のこの変わり様は面白すぎる。更に自分が出陣する際には見張りを残していくもんだから関羽もドン引き。そりゃそうだ。しかしそれでも関羽が戦場に来てしまったので曹操は戦どころではなくなり、何もかもを放り出して関羽を必死に捜し回る。うわひっでえええええええええいや笑ったけど。

曹操はまず関羽に優秀な武将になれる素質を見抜いてその力を求め、次第に温もりと愛を感じて母性を求め、その後関羽が自分と同じ混血だと知ってからはその唯一と言っていい貴重な血を求めるようになった。前半はまだ恋をしている感じだったが、混血厨になってからは同胞への執着が恋心を完全に上回ってしまう。しかし関羽も「自分は人間でもなく猫族でもない」という根深い劣等感を抱えており、だからこそ自分を求めてくれる人に縋る傾向にあることを思えば、実はこの二人は依存せずにはいられない似た者同士なんじゃないかなあ。すでに帰る場所を持っているかいないか、望まれて生まれて来たか強姦されて身籠った末に生まれて来たかという違いはあるけど。

その後は劉備が処刑されるという偽情報に釣られ、関羽が行かせてくれと懇願。曹操祝言を挙げることを条件に許可するが、祝言の最中に睡眠薬を混ぜた盃を強引に飲ませるのは笑った。この人はこのルートだけで一体どれだけの嘘をついたのか。それもこれも関羽を信じてないからなんだけど、しかし信じられない気持ちも私には理解出来る。関羽は甘いし騙されやすいしすぐ情に絆されるしアホの子だし、なのに無駄に強いし猫族に何かがあるとすぐ飛んでっちゃうからなあ。そして曹操が自分を求めるのは混血だからじゃないのか、と疑問を抱き始めていた関羽は簪を足に刺して逃走。一方、混血厨は関羽が怪我をしたので「血を、血を止めるのだーー!!」と錯乱。おい落ち着け。なんだこのシュールなコントは。その後も関羽の髪を引っ張ってまで引き留めようとしたけど失敗。ここのあまりにも必死な曹操のシーンはすごい笑った……最高だった……。そして出た結論が「女に逃げられたので全軍五十万で追いかける」。私を笑い殺す気か。部下もみんなドン引きしてるのがアレ。いや曹操ルートは中盤以降みんな引いてるけど。「私の花嫁に醜く取り縋る者どもよ」と一人で曹操が宣戦布告しているのもお前が言うな感あって面白い。

その後は関羽奪還ついでに猫族もろとも袁紹軍を滅ぼそうとする曹操軍と、曹操軍を滅ぼそうとする袁紹軍の戦になるが、曹操が五十万もの兵を引き連れて来て勝ち目がないので袁紹が悪趣味なショーを開催。曹操が猫族の血を引いていることを全軍の前で暴露し、遅効性の毒を飲まされた関羽のための解毒剤をダシにして一方的に曹操フルボッコ関羽は何故毎回怪しげな薬をホイホイ飲んでしまうのか)。しかしここの「曹操関羽のために一切抵抗出来ないでいる→曹操関羽を本気で愛しているらしい→ということは曹操も猫族なのは確定」という流れはなんか強引で釈然としないものが……。ただ、関羽が小隊を任せられた時に部下に認められようと頑張ったことが、最後に曹操軍の中の差別意識を振り払うことになったのは良かったなあと。曹操の人徳だと言う夏候淵に、これまでの曹操の迷走ぶりを振り返ってみて本当にいいのかそれで、と問うてみたくなる気持ちもないではなかったけど、まあ多少力業ではあるけど綺麗に纏まったしもうこれでいいんじゃないでしょーか。非道な振る舞いばかりでは王になってもみんな離れていく、と曹操が散々言われていたことがまさに袁紹に降りかかる結末になったのは面白かったし。

曹操がいつ関羽が混血だと知ったかを伝えていればそれで済んだ気がしないでもないが、それだと曹操が血の呪いから完全に抜けることは出来なかったのかもしれない。そして終わった後に曹操のギャラリーを一旦見返すと、初期の悠然とした佇まいに爆笑してしまうようになった。あまりの落差っぷりがもう。

一方、BAD ED は五十万の兵を率いて曹操が猫族を皆殺し。気を失ってすやすや眠る関羽を抱き抱えながら馬上から剣を振るって斬り殺す曹操の絵は欲しかったなあ。さぞかし凄絶で絵になっただろうに。最後には関羽を孕ませて終幕。この後味の悪いエンディングは好み。子供の名前は関羽の希望した通り「劉備」になるんだろうけど、あれほど猫族を排除しようとしていた曹操なら名前を理由に生まれた子を愛せず、未来に自分が父親にしたことと同じように我が子に殺されるフラグにもなりそうでゾクゾクする。

というわけで突っ込みどころもあったし爆笑もしたけど、呆れながら萌えて爆笑しながら萌えられたので楽しかった。とにかく曹操関羽に一度惹かれてしまうとダメになるのが面白かった。曹操は作中でも言及された通り母の愛を求める子供そのもので、下手に有能で権力もあるから一人の少女を求めて暴走すると洒落にならないレベルで周囲に迷惑を振り撒いていく。要するに関羽と深く関わらなければ本人の飢餓は満たされないものの有能な君主でいられるが、関羽と深く関わってしまうと関羽がいないと生きていけなくなるくらいにまで落ちる。このアホらしい落差が可愛らしかった。「この男にはヒロインがついてなきゃ駄目だ」と思わせてくれる攻略対象は珍しくもないが、「この男とヒロインを関わらせてはならない」と思わせてくれた攻略対象は初めてかもしれない。そのほうが世のため人のためだろう。でも私の萌えのために関羽と関わって暴走して欲しい(最悪)。

ところで曹操があまりにも「ふっ」とか「ふ」を言うので二十回くらいまで数えてたんだけど(暇なのか)それ以降も絶好調に繰り返してくれるので諦めた。恐らく五十回は言ってるんじゃないか。後半には「ふっ」が出てくるのを心待ちにするようになった。

夏侯惇 (CV:鈴木達央)

差別意識の強い男なのでもう少し噛みついてくるのかと思ったら、弟者が噛みつくのを宥める場面のほうが多かった印象。夏侯惇は終盤までデレないと聞いていて、デレは少ないほうが萌える私もそこに期待してたんだけど結構早くにデレてないか……。乙女ゲーマーのマジョリティ層にはあれくらいではデレに入らないんすか。愛キャッチのせいもあるのかなあとは思うけど。あれは好感度の上昇を可視化してくれるシステムなので、いわゆるそこまでツンツンしているようには見えねんですよね。むしろ夏侯惇はちょろい。いやまあそこが可愛いところなので夏侯惇はそれでいいと思うけど。

だから中盤には二人がいい感じになっていくんだけど、これまで兄と二人三脚でやって来た夏候淵にはそれが面白くない。戦闘でも二人が抜群のコンビネーションを見せるから尚更自分の居場所が奪われたように感じて焦り、関羽を貶めようと曹操夏侯惇を騙してまで策を巡らすが失敗。特に自分の失態を部下のせいにして殺すシーンは、夏候淵が如何に追い詰められているかがよくわかる。この一件で謹慎を命じられ、「夏侯惇の隣」という夏候淵の空けた穴を皮肉にも関羽が埋めることになるのがまた何とも。

弟がしてしまったことを知った夏侯惇が夏候淵を殺すことを決めるシーンは、関羽が殺しちゃ駄目だとか仲直りすべきだとか綺麗事を言わないのが良かった。むしろ殺すと決めた夏侯惇の意思を尊重し、夏侯惇による制裁を阻止しようと襲いかかる夏侯淵の兵士と戦うのが武人として見てもかっこいい。ただ夏侯惇が止めを刺す前に弟が勝手に崖から墜落していったのは不満。きちんと夏侯惇の手で制裁を完遂させて欲しかった。

結局夏候淵は最後まで関羽を認めることはなかったが、関羽夏侯惇が惹かれ合わなければ、あるいは関羽夏侯惇が戦闘で組むことにならなければ関羽と夏候淵が和解出来る可能性はあったんじゃないか。夏侯惇と夏候淵はこれまで同じ道を歩いてきた者同士で猫族への差別意識も同等だったんだろうし、夏候淵の場合は「自分の居場所を奪われる」という焦りこそが視野の狭さを加速させる原因になってしまったのだから。

しかし夏侯惇が夏候淵を斬り殺してからはダレた。何故か夏侯惇だけ十章まであるんだけど(他のキャラクタは全九章構成)、呂布戦・夏侯淵戦まではともかく袁紹戦まで続くと冗長。袁紹のところに行くと言い張る関羽にもイライラさせられたし、恐らく関羽夏侯惇を敵同士にして盛り上げたかったんだろうけど読み疲れた。ただ、殺し合いも共闘もして来た相性のいい二人だから互いの戦闘の癖を全部知り尽くしていて、最後は殺し合いながら互いの心を確かめ合っていく流れになったのは好みだった。結局二人とも相手を殺せなかったが、この膠着状態を打開出来たのは趙雲の機転のおかげだった。さすが出来る男だ。この人はサブキャラクタとしてのほうが輝く気がするなー。袁紹を殺してそのまま関羽夏侯惇が戦場でイチャイチャしてるのは笑ったけど、互いに顔を真っ赤にして気持ちを告げたりキスをしたりする二人が可愛かったし満足はした。

エピローグでは夏候惇を囮にする作戦だと関羽が満足に戦えないだろうと撤回し、関羽にこっそり「夏候惇は、お前の弱点だろう」と耳打ちする曹操と、それで顔を赤くした関羽の様子に嫉妬して怖い顔をする夏候惇に和んだ。この場面に限らず、夏候惇ルートだと曹操が普通のいい上司をやってるのが違和感あって笑う。でも二人の仲をからかって遊ぶ余裕のある曹操もこれはこれで可愛いなあ。一番安定している曹操かもしれない。

BAD ED は関羽と夏候惇が夏候淵に斬られて終了。印象に残らない結末で落胆。

ちなみに左目に矢を受ける場面をどう表現するのか気になってたんだけど、ちゃんと描写してあった。CG もある。結構グロい絵になると思うんだけど、そこらへんは上手く誤魔化してあった。ただ眼を繰り抜いて自分で食べるシーンはさすがになかったなあ。まあこれは創作エピソードらしいけども。しかし眼帯のデザインが厨二なせいもあるけど「左目が疼く」をちゃんとやってくれていたのは笑った。様式美。

張遼 (CV:遊佐浩二)

張遼のシナリオを読んだのは中盤だったんだけど、やっぱり同じような展開を延々読まされるのと、人形やロボット系のキャラクタが人間らしくなっていくタイプの話がそれほどツボらないこともあって一番ダレた。張遼は好きなキャラではあるけど男の不思議ちゃんはそれほどツボらないし、あと中の人の声は低音が好きってのもある。呂布の伝言を伝える時にわざわざ呂布の口調を真似たり、関羽との戦いに突入すると毎回呂布の命令を理由にして躊躇ったり、人間らしさについて勉強する際に劉備の真似をして関羽をぎゅーしたり、「困りました」の言い方が可愛かったりと魅力的なところもあるが、どっちかっつーと張遼より呂布を楽しむルートになっていた気がしなくもなく。

呂布の作った土人形である張遼は序盤は優しくはあるけど感情もなく機械的で、関羽と接して行くことで心が芽生えていく。やがて関羽を守って一度は壊れるが、関羽のピンチで何故か復活。それはどうも愛の力らしいんだけど、その愛の力で呂布を倒してしまう。誤解のないように書いておくと別に愛の力で勝つ展開はそこまで嫌でもなく、むしろ勢いがあれば楽しめる時もある。ただ終盤の展開がしっちゃかめっちゃかになっているのがよろしくなかった。愛の力で張遼復活→張遼が新張遼を辛うじて倒す→呂布がキレて新張遼をボコボコにしている間に二人で逃げる→曹操袁紹と合流→呂布は満身創痍の二人で倒すと言い出す→再び呂布のもとへ→愛の力で二人で倒す。この効率の悪い流れが物語の勢いを殺いでしまい、愛の力で勝つという展開に乗れず白けてしまったのが原因。

呂布によって作られた存在である張遼は当然呂布がいなくなれば消滅するが、張遼を繋ぎ止めるために関羽が自分の寿命の半分を与える結末自体は結構好み。関羽の寿命を半分にしてまで生き延びることを張遼は拒絶するだろうと思ったので、結構あっさり受け入れたように見えたのは拍子抜けしたが、関羽が死んだ瞬間に張遼と共に消滅することが約束されている、てのはありがちではあるけど浪漫が詰まっていて好きだなあ。

夏侯淵 (CV:浪川大輔)

この人は兄者兄者とやかましいので流石兄弟の AA がずっと脳内でチラついていた。しかしこのやかましさは嫌いじゃなかった。最初から最後まで小物感漂ってたけどそういうところも含めて結構好きなキャラクタだった。弟者可愛い。

本編で活躍するのはやはり夏侯惇ルートで、兄者の対はオレなのになんであの女が! あの女を認める兄者は兄者じゃない! 偽者だ! と暴走するのがじわじわ来た。その夏侯惇ルートをクリアすると夏侯淵の短いシナリオが読めるようになるんだけど、これが結構良くて驚いた。内容は夏侯惇に斬られて死んだ夏侯淵が死後に抱いた疑問と後悔から生まれた夢のようなもので、過去に遡って関羽ときちんと向き合おうとしていく if。ありがちな展開だし短いシナリオではあるが、夏侯惇ルートの内容が前提になっているので気にならなかった。駆け足ではあるけどそこはまー仕方ない。

必殺技名を口にしながら攻撃を繰り出そうとしたり(夏侯惇がそんな弟に付き合って必殺技の名前を叫ぶのかどうかはものすごく気になっている)、朝弱いので関羽に毎朝起こしてもらい、結果遅刻しなくなったことを夏侯惇に褒められて嬉しそーにしてたりと夏侯淵の可愛らしい面が出て来てニヤニヤしたし、未来に何が起こるかをすでに知っているから今度こそそれを阻止しようと頑張るのに、どれだけ頑張っても曹操は罠にかかって重体になるし夏侯惇は左目の視力を失う。そして己の無力感に苛まれ、絶望する夏侯淵の姿にはちょっと来るものがあった。最後には関羽を武人と認めて関羽を殺そうとする自分の影にも勝つが、このルートで自分の過ちに気付けてももうどうにもならないのが切ない。

しかし死後の夏侯淵が過ちに気付けたからこそ、そんな夏侯淵の墓前にいた関羽も三人が揃って笑顔でいられる夢を見てしまったのかなと思うと救われたような気分になる。あの CG は反則だった。笑うと可愛いんだよなあ夏侯淵

呂布 (CV:沢城みゆき)

呂布は何故あそこまで関羽が好きなのか謎。女で強くて猫族の血を引いてるから? ということは曹操が女だったら呂布曹操にも夢中になっていた可能性があるのか。正直、関羽に魅力を感じないので呂布×関羽はどうでもいいんだけど、曹操ルートで呂布×曹操は美味しそうな組み合わせだなあと思ったので私はそっちのが見たい。

呂布のぶっ飛んだキャラクタは結構楽しかった。もーちょい突き抜けてくれたほうが好みだったけど、中の人もハマり役だったし十分。続編には出ないようで残念。

袁紹 (CV:平川大輔)

袁紹のシナリオは趙雲 BAD ED 後日談という形になっているのが痛くて美味しいし、思ったよりも好みの話だったのも嬉しい。関羽は武官で袁紹は文官だから互いに戦う場所が異なるし、辿った道も思想も種族もぜんぶ何もかもが違いすぎて交点はないけど男と女だから体だけは交われる、という袁紹の強引で歪んだ考えは好み。趙雲の視点では寝取られ気味になるのも美味しい。しかし袁紹関羽を「不幸を引き寄せる化け猫」だから周りの人間は不幸になるのだと言ったが、その化け猫に関わっている袁紹にも不幸フラグが立っていることに気付いてないのが滑稽で面白い。恐らく袁紹はあの後、関羽を原因とした何らかの事件で死ぬんじゃないかと勝手に思ってるんだけど、誰かに必要とされないと生きていけないのに、その自分を必要としてくれる誰かすらも自分が不幸にしてしまうのだと思い知らされた孤独な関羽が絶望していく様は見てみたい。

ところで袁紹といえば部下も面白かった。顔良の「せやっ! せやっ! せやっ!」は関西弁による三段ツッコミにしか聞こえなくて最初見た時は一分ほど笑い続け、文醜による「ふんぬ! ふんぬ! ふんぬ!」で更に腹筋が崩壊した。何故二人揃ってわざわざ三段落ちに……。部下と言えば袁術のところの紀霊のテキスト芸も吹いた。濃いなー。

馬超 (CV:杉田智和)

「いけない遊びをしようぜ」的な誘い文句はなんか笑ってしまうからやめろ……というか笑ってしまったでしょうが。それよりも序盤に少し会話が出来る程度で、それ以降はまったく出番がないのは驚いた。なんでわざわざシナリオを作ったんだ。猫族と似た境遇にいる馬一族の人間だからこそ関羽と惹かれ合う展開を描いているらしいけど、ダイジェスト風に進むので楽しむ楽しめない以前の問題。時間を無駄にした。