Antipyretic

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ドットカレシ -We’re 8bit Lovers!- III ~やみのはなよめ~

http://rejetweb.jp/dotkare/

三作目が一番面白かった。今回はエネミーサイドということで一作目の時以上にそれぞれのキャラクタの個性が上手く立っていて RPG あるあるネタが豊富だったし、本来なら敵であるはずのキャラクタと行動を共に出来るという美味しさもあった。

しかし湖でまおうたちに願いを問うたり魔王城のメイドに扮してたりと、今回は前作以上にカミサマが絡んできたなあ。実はむらびとの正体がカミサマなんじゃないかと思っていた時期もありました。

というわけでドッカレ全巻クリア。三時間もあればコンプできるしプレイ後に心に残るものはないに等しいけど、おやつ感覚でアホ可愛い子を眺められたので満足した。予想以上に楽しかった。

主人公

なんだかんだでこの主人公は個性的だった。あるあるネタの範疇内ではあるけど、基本的に主人公のプレイスタイルに対して不満を抱えるキャラクタが多いので、結局そこから主人公の個性が出る。ゲームのプレイスタイルには個人の性格が出るともよく言われるし、一見無個性に見えるけど案外そーでもないよなあと。

まおう (CV:杉田智和)

ひたすら可愛らしかった。口元に拳を当てる立ち絵とかもそうなんだけど、仕草というかリアクションがいちいち可愛いんだな。おかげで萌えたというより悶えた。たいそうあざといが、そのあざとさがとてもいい。これで魔王様やってるってんだからずるいキャラクタだなもー。中の人もノリノリで演じているのがわかって聞いてて楽しかった。超オレ様モードのまおうは格好良かったけど、それも一瞬だけだった。更に大して強くなってないというオチがついてたけど、少なくても外見というか振る舞いはまおうが自信を取り戻したせいかそれらしくなってた……ような……?

結末は滞在 ED が好きかな。いつものアホで可愛らしいやり取りをしているのに、何故かやたら切ない目で主人公を見つめるまおうの CG が気に入ったせいもある。それと主人公でもゆうしゃでもない、まおうの物語として閉幕しようとしているところも好み。

滞在 ED では編み物が得意であることが発覚して、最後まであざとい魔王ぶりを発揮していて笑った。しかし角は隠せないんか……?

スライム (CV:高橋直純)

スライムといえばキングスライムのように大量のスライムが合体して云々があるので、それに準えて大好きな主人公を取り込もうとするんだけど、そこはまおうたちが注意してくれるので一旦は事なきを得る……が、滞在 ED では主人公がだんだんスライム化していってる可能性が示唆されていて思わず「おいおい」。このスライムは主人公に焦がれて人間になったけど、最終的には主人公のほうが逆に人間からスライムになろうとしてしまうのか……。スライムの一見可愛らしい雰囲気とは反した、少し背中が薄ら寒くなるこの展開は嫌いじゃないなあ。意外にも面白かった。

あんこくきし (CV:森川智之)

序盤、主人公が自分のクエストを無視してプレイしていたことを根に持ってあんこくきしが恨みつらみを一気に吐き出すんだけど、それがあまりにも必死で笑った。まあでもあんこくきしは敵から味方になるらしいのだけど、典型的な「敵だった時は強かったのに味方になると弱くなる」タイプだったらしいから私でも無視してそーだ……。

というわけであんこくきしのクエストをやり直すんだけど、本来ならエネミーであるはずのパーティで冒険をしている感覚があってそこは楽しかった。あんこくきしがゆうしゃ、まおうがまほうつかい、むらびとがそうりょ、スライムがナイトで行ける。

ちなみにクエストであんこくきしは妹を蘇生させるためのアイテムを求めるんだけど、結局そんなアイテムは最初からなかったんだよ、というオチがつく。これは最初「人は死んだら生き返らないし、それが世の中の理である」とか「過去に囚われてばかりではなく他にも目を向けろ」とかそういうありがちな哲学的なメッセージが込められていて云々を考えてたんだけど、まあ考えすぎだな! この作品でそれはねえわ! とか思ってたらあんこくきしがそれっぽい悟り方してて吹き出した。え、まじで? でも妹への執着が主人公にシフトしただけ、とかだったらちょっと仄暗くて萌えるんだけどな。

結末は帰還 ED が楽しかった。この手の異世界トリップ系の作品は多いけど、攻略対象が就活に四苦八苦する様を見せられるエンディングは初めて見た……。

むらびと (CV:三浦祥朗)

ヤンデレというよりはちょっと腹黒いところのあるモブ。しかしドヤ顔の表情差分は見るたびに笑ってしまうからやめてください。でもむらびとの個性がないからこその不満は、これまでの個性的なキャラクタとは真逆の展開で面白かった。

しかしモブキャラにすぎないむらびとが、唯一の存在になるために名前を変えるというからどうなるのかと思ったら「ラスボス」っていうこれまた役職名で、普通ならそこは主人公に名前を付けてもらう流れになりそうなのに敢えての「ラスボス」ってあたりに、なんていうかむらびとのどう足掻いても個性を持つキャラクタになれない悲哀のようなものを感じてしまったんだけど、うんまあ多分それこそ考えすぎだな! ドッカレにそんな深遠な(でもないか)メッセージが込められているわけがない……はず?

結末は腹黒いところをほんのり見せる滞在 ED が好きかな。個性を有しない機能的な存在であるはずのむらびとが主人公に特別な想いを抱くまでになったんだから、なんだかんだでこの人は未来に何かすごいことをやってしまいそう。