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ドットカレシ -We're 8bit Lovers!- I ~でんせつのおとめ~

http://rejetweb.jp/dotkare/

Rejet のゲームエンジンは相変わらず使いにくいなあ……。けど、一人クリアするのに一時間もかからないくらいに短い作品だったことが幸いした。あと女性向けでは珍しく台詞と立ち絵差分のシンクが今回も採用されていて、これだけ短い作品でも手抜きなく表現されているのは印象がいい。

内容は基本的には RPG あるあるネタ。UI からもわかるようにほぼドラクエがメインで、少し FF も意識しているのかなという程度。乙女ゲー要素はおまけと言っていいかもしれない。ちなみにこのゲームは一部の選択肢以外で主人公が喋ることはないが、多分ドラクエの「主人公はしゃべらない」というシステムを踏襲しているんだろうなあ。ただ喜怒哀楽は絵文字で表示されるので、主人公がどういった反応をしているかは想像がつく。とはいえ「主人公の台詞がないドラマ CD」のよーに「相手が主人公が言っていることを鸚鵡返しにわざわざ台詞にしてくれる」という不自然な会話がデフォルトで、そういう仕様が苦手な私にはそれだけでマイナスなんだけど、これも作品自体が短いのでまあいいんじゃね、くらいのノリでクリア出来た。主人公と攻略対象のやり取りよりも、攻略対象同士のやり取りのほうが楽しかったこともプラスに繋がった。

地味に印象に残ったのが「死亡」の扱い。最近では「戦闘不能」という表現に変わっていることが多いけど、この作品では昔のドラクエを基準にしているらしくはっきり「即死」だの「死亡」だのと表記される。でもゲームの中の出来事だから本当に死んだわけではなく蘇生も出来る「戦闘不能」扱いなので、ゲームのキャラクタと私とでその感覚の差が出ていたのが面白かった。彼らは仲間が死ぬと戦力減を危惧するが、死んだことを哀しんだりはしない。何故なら「死んで」も「蘇る」ことが出来るから。

ちなみに恋愛描写はアミューズメントマシンとして成立するのかと問いたくなるほどのポンコツジェットコースタぶりで、でもそれをゆるーく眺められるのが良かった。元々彼らは自分たちを操作してゲームを楽しんでくれる主人公をいつも見上げて好意を抱いていたらしく、それもあって元より好感度は高い。主人公のほうもゲームを一周はしているんだから、それだけ彼らと付き合ってきただけの時間もある。そういう前提があるからかあまり気にならなかった。……ってなんかこの作品を結構気に入ってるぽいな私?

シナリオの内容はないに等しく展開も潔いほどに同じなんだけど、これはこれでいい気もする。キャラクタにサクッと萌えてサクッと楽しむが吉。絵も綺麗だしキャラクタもみんな個性的で、ドラクエが好きな私には十分楽しめた。CD は……もういいか。

主人公

主人公のプレイスタイルは横暴というより脳筋で、地味にコツコツとレベルを上げていくのが好きなタイプらしい。私は効率厨気味でレベルをひたすら上げてゴリ押しすることはあまりないから、そこは違った。でも主人公のそんなプレイスタイルに煮え湯を飲まされ続けた鬱憤を晴らすが如く、ああだこうだと文句を言うパーティメンバーには笑った。というか何度も言うけど、むしろ恋愛よりこっちがメインだろう。

ところで一度クエストをこなした直後の帰還チャンスを逃すと、主人公は現実の世界に帰れないんでしょーか。まほうつかいの時だけは希望がある感じだったけども。

ゆうしゃ (CV:浪川大輔)

「ゲームの世界の本来の主人公」だからか他のキャラクタに比べると若干個性が薄い。直前にプレイしたのが個性的なそうりょだったせいもあるし、そのそうりょと「帰るな」イベントが CG のアングルを含めてほぼ被っていたせいもある。ただプレイヤが直接動かすキャラクタなので、そのせいか一番あるあるネタが多かった。アイテムを探して壺を割るのが癖になったり名前を適当につけられたり(でも「たくあん」は結構可愛いと思った)宿屋の主人に「昨夜はすいぶんとお楽しみでしたね」と言われることを期待したりしていたのが印象に残っているかな。専用クエストでもレベルカンストだからと舐めプだった彼らが状態異常攻撃のラッシュに翻弄されていて、これも RPG あるあるだよなあと。

結末は滞在 ED が好きかな。ゆうしゃにはやっぱり冒険していて欲しいのよなー。

まほうつかい (CV:近藤隆)

ヒス気味に突っ込むシーンが多せいか、中の人がノリノリで演じているのが伝わって来て楽しかった。魔法エフェクトをカットされていることを随分と根に持っていてそればっかネチネチ言ってくるんだけど、それがまた可愛らしかった。根暗で影が薄いと彼は思っているようだけど、結構個性的で面白かったから自信を持ってください。

結末は断然滞在 ED が良かった。主人公を元の世界に帰らせてゲームを起動してもらい、エフェクト演出を表示するよう設定を変えてもらうことよりも、主人公と離れず一緒にいてくれることを選んだところに持って来たのが面白かった。何より異世界に拘って研究してきたまほうつかいが、いずれは主人公を元の世界に帰せるよう努力してくれているのも印象がいい。やはり主人公は元の世界に帰るべきだろうと思うから。帰還 ED でも職に就いているあたり優秀なんだけど、現実の世界でも何故か魔法が使えるというのにそれを活かして就いた仕事が探偵ってのは突っ込むべきなのかなんなのか。

ところで魔法使いは異界に関する研究をしていたというので、彼も元々は主人公と同じく現実からやってきたプレイヤーで、何らかのアクシデントにより現実に帰れず仕方なく異界の研究をしながらまほうつかいをやっているのだと思っていた。違った……。

そうりょ (CV:松風雅也)

パーティのライフラインを握っているということでオレ様でめんどくさがりなんだけど、仕事しなきゃいけないところではぶつぶつ言いながらもきっちりこなしてくれていた。そうりょだから後衛だけど、唯一の回復役である自分が敵に狙われやすいことをちゃんとわかっているところもいいじゃないですか。でも中盤のゆうしゃのそうりょに対する「真面目に仕事しろし」は吹いた。こういうノリはあまり好きじゃないんだけど、この作品なら上手く溶け込んでいるのがいいなあ。「しろし」なんて言うゆうしゃが可愛い。

結末は滞在 ED のが好きかなあ……。いやだって帰還 ED ではそうりょとしての格好良いスタンスがまったく活かされそうにないニートで吹いたからなんだけども。要するに消去法。オレ様でめんどくさがりだからこうなったのか。

しかし HP どころか MP も回復可能、更に一旦死んでも蘇生魔法で HP と MP が全回復されるし「アンリミテッドクエスト」ってもしかしてだいぶぬるい? リレイズのよーな自動蘇生もあるし、レベルカンストしてなくても全滅が難しい気がする。

シーフ (CV:森久保祥太郎)

一番の常識人だから他のキャラクタに比べて埋もれがちになるかと思いきや、常識人であることが個性になっていたよーな。シーフだからやっぱり主人公のハートを盗もうとするキャラクタでそれ以上でも以下でもないけど、言動が可愛いせいか結構お気に入りのキャラになってくれた。戦っている時の指を口元に当てる立ち絵がいかにもシーフという感じでとても好きだな。でもシーフっつーより海賊の三下……いやなんでもない。

結末は滞在 ED が好きかなあ。やっぱり彼らは冒険している方が似合っている。主人公からのご褒美のキスが得られるという約束が果たされる帰還 ED も悪くはないけども。