Antipyretic

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Chaos;Child

http://chaoschild.jp/origin/

面白かった。科学 ADV シリーズは『シュタゲ』以来だから随分と久し振りだったんだなあ。最近は ADV を最後までプレイする気力が無くなってきてるし『カオチャ』もフルコンプ出来る自信はなかったんだけど、ダレそうになる箇所はいくつかあったもののダレ「そう」になっただけで、毎回なんだかんだで持ち直して最後まで読み切らせてくれた。それだけ完成度が高かった。確かにこれは名作。

ゲームは進行は『カオヘ』にもあった妄想トリガーと、マッピングトリガーで分岐していく仕様。妄想トリガーは『カオヘ』と違って分岐でスキップが止まるし、トリガーの後もスキップが継続されるなど改善されていた(というか改善されてなきゃおかしいレベルで『カオヘ』が酷かった)。拓留の妄想は面白くなかったけど、私には面白くない妄想を拓留がしていることが拓留のキャラクタに繋がっているのでそういう意味では有りかな。でも楽しめた妄想も少しだけあって、それが殆どホモネタだったのがアレ。私は根が腐女子だからつい反応してしまうらしい。悔しいいいぃヽ(`Д´)ノ 一方、マッピングトリガーは事件を推理するのではなく整理するための手段として機能していて、物語を把握するのに役立った。ただ一つ難点を挙げると、拓留の字が下手で数秒目を凝らしてやっと読めることが多かったのが……いや私も字が下手なんで偉そうなことは言えないんだけど、こちらはゲームの選択肢なのでそのようなアレで地味に不便でした……。でもあの字は不思議と拓留っぽいとも思えるので一概に駄目とも言えぬ。あとバックログも見づらい。@ちゃんねるやブログの文字も見づらかったけど、こちらは流し読みでも問題なかった。しかし二周目以降のスキップはかったるかった。次のトリガーまでジャンプさせてくれ……。

シナリオに関しては序盤から事件が起きるし残虐なものが多いので、すぐに『カオチャ』の世界に引き込まれた。力士シールも作品にインパクトを与えるためのアイテムで終わらず、ロールシャッハの画像だったことも上手くハッタリが聞いていた(これはディソードの仕組みにも当てはまる)。逆にノック音はそれ以上でも以下でもなかったけど、あれはあれでいいのかもしれない。何でもないノック音なのに、ちょっとしたリズムをつけるだけで一気に薄ら寒い音に様変わりするのが素晴らしい。不気味であることに意義がある。でも中盤以降はノック音が鳴りを潜めていくのが寂しかったなあ。ゲームの始まりがノック音だったし、あのノック音があってこその『カオチャ』だと思っていたから。

それと『カオヘ』は後半でディソードで戦う場面が増えて私の期待とは違う方向に物語が進むのを残念に思っていたけど、『カオチャ』でもディソードが出てくることはすでにわかっていたし、この点に関しては承知の上で買ったのでよほどのことがない限りは文句を言うまいと決めていた。けど『カオチャ』におけるディソードは戦うための武器ではなく能力を具現させるためのツールというか、魔法使いが持つ杖や魔導書に近いものになっていた。もちろん戦闘もあるけど、『カオヘ』に比べると「戦うための武器」としての役割が薄い。私はこちらのほうが好みかな。ただ、戦闘でダレそうになったところもあって、特にパイロキネシスの女が襲ってくる場面はキャラクタにも展開にもさっぱり興味を持てなくて退屈だった。『カオチャ』は丁寧に話が進行していくから、興味の持てない展開が続くと辛い時がある。けど、この丁寧さが終盤で得られるカタルシスの原動力になっているので不要だったと切り捨てることも出来ない。

ところでメインシナリオはいいけど個別ルートが弱い、という評判を事前に聞いていたけど、私は個別ルートも含めて楽しんだ。個別ルートに入ると事件から遠ざかってしまうのは物足りなかったけど、個別ルートを経たからこそ得られたものも大きかった。メインシナリオは確かに面白かったけど、キャラクタが刺さらなかったから絶賛までは行かなかったのが、個別ルートを通っていくごとに世莉架の魅力にやられて『カオチャ』という作品への愛が増していった。言ってしまえば、私にとって個別ルートは世莉架という女の子のより一層の魅力を知るためのシナリオだった。華ルートだけは雰囲気が違うけど、『カオチャ』は長いし一つくらいこういう思い切ったルートがあったのもありがたかった。

キャラクタはやっぱり拓留と世莉架が飛び抜けて印象に残っているけど、他にも好感を持てる子が多かった。私は基本的にいい子に興味を持てないので『カオチャ』の殆どのキャラクタは刺さらなかったけど、中の人の熱演もあって画面の中の彼らを眺めているのは楽しかったなあ。『カオチャ』はシナリオが良かったのはもちろんだけど、声優の熱演を聞くのが楽しかったことも大きい。特に拓留役を演じた松岡くんはあざとい演技も多かったけど、そのあざとさがいい感じにハマってて絶妙だった。

というわけで久し振りに良質の物語に出会えたな、と思えた作品で満足した。読後感も切なさに満ちていて、それがまた私好みの味でたまらないものがあった。大団円が一切ないところも恋愛要素が薄いところもいい。科学 ADV シリーズはいくつかプレイしてきてどれも楽しんだけど、好みで言うなら私は『カオチャ』を挙げる。

※以下は『Chaos;head』のネタバレも含むので注意。

拓留拓留 (CV:松岡禎丞)

プレイ前に「碧朋学園に通う生徒は老人である」というネタバレを踏んでいたので、拓留のことは最初からそう認識した上で物語を読んでいたんだけど(おかげで世莉架も老人だと思い込むことになって振り回されもした)、さすがにこうした体験は初めてだったので新鮮だった。他にも大きなネタバレを踏んでいて(これは後述)己の不運を残念に思ってもいたけど、これはこれで面白かったと思えたから結果オーライかな。

最初に拓留を見て驚いたのはフットワークの軽さ。更に友人や仲間と共に新聞部というコミュニティも形成していて、一人で引きこもるばかりだった『カオヘ』の拓巳とは対照的なくらいにアクティブ。おかげで事件が起きるとすぐに主人公が現場へ飛んでってくれるので、話を読んでいて焦らされることがなかった。さくさく進むのは良し。

しかし事件現場で何度も都合よくドアが開くことが多かったのは世莉架が拓留を誘導するために能力を使っているのだと思っていたら、まさか無意識下で拓留が能力を使っていたとは予想もしていなかった。世莉架のことは序盤から疑っていたのでそのせいもあるんだろうが、拓留がギガロマニアックスなのはわかりきっていたことなのに気づかないもんだなあ。そいや序盤は「復興した渋谷という街そのものが拓留によってリアルブートされたものでは?」という予想もしてたけど、ここまでスケールの大きなリアルブートって可能なんか……? 華ルートを見るに不可能ではないのかな。委員会から確実に目を付けられるだろうけど(というか拓留はゲーム開始時点で委員会からマークされていたけど)。

けど拓留に関して一番印象的だったのはやっぱり終盤。中盤くらいまでは情強を気取っていた拓留の未熟な面が強く表れていたけど、この時の拓留をずっと見て来たからこそ終盤の一気に老成したかのような達観を見せる拓留の姿が刺さる。カオスチャイルド症候群から回復できたから年相応の外見に戻っていけるのに、まるで逆を行くかのように精神が年相応でなくなってしまったのは皮肉。それだけの重い体験をしてしまっているから納得も出来るのだけど、そう思うと尚更遣る瀬無くなる。TRUE で真実も知らず殺人犯として拓留を詰る世莉架は拓留にしてみれば情弱ってレベルですらないはずなのに、そんな世莉架に安堵して微笑するシーンは特に涙腺に来た。それは自分が情報弱者であったことを自覚したからでもあり、情報弱者でいるほうがいいこともあるのだと知ってしまったからでもあり、あとは罵倒されて哀しかったことも含まれるのかな。最後には世莉架も思い出してしまったけれど、それでも拓留の決断を尊重して拓留のことを親友に「知らない人」と答えた。拓留も世莉架が思い出したことに気づいたと思うけど、世莉架が何も言わなかったことから察したんだろうなあ。思考盗撮の能力で拓留の心の内を読んで望みを叶え続けて来た世莉架が、能力を失ったことで初めて自分で拓留の真意を察し、それに従った。それは初めてでもあるけれど、きっと最後でもあり、最後でなければならない。

二度と会うことはなく……。

決して重ならない道を歩いていく……。

――僕たちはこうして、一緒に生きていくんだ

最後の拓留のこのモノローグは、二度と会わないし決して重ならないのに「一緒に」生きていくと締めていたのが良かった。この二人が「一緒に」生きるためには一緒にはいられない。こうすることでしか「一緒に」はなれない。この切なさがとても好きだな。なんとなく『シュタゲ』のラストシーンの対比でもあるかのような構図も良かった。

実は拓留が世莉架を普通の女の子に改変するシーンは、拓留のエゴで生まれた世莉架を再び拓留のエゴで「上書き」して救おうとしているところが傲慢で残酷に思えてゾクゾクした。世莉架はそんなことは望んでおらず、でも拓留は世莉架にそうあってほしくて強引に再構成する。ここは半ば暴力じみていた。それでも拓留は意志を貫いて、その強い覚悟と決断で少なくても拓留の考える「最良」の結末には導けた。どんな形であれ、好きな女の子が普通の女の子として生きていけるという救いは得られた。だからこれは決して「救いがまったくない終わり」じゃないし、辿るべくして辿り着いた結末なんだなあと。カオスチャイルド症候群に罹患していた子も復帰できたし、拓留は哀しい思いをしたけど満足はしているのならそれでいい。そしてそんな拓留と結末が私には刺さった。

あと印象に残っているのはよく嘔吐していたことでしょーか。私は何気に嘔吐するキャラクタが好きなのでそういう意味でも拓留は美味しかった。なんか結構酷い感想を書いてる気がするな……。まあ好きなものは好きなのでしゃーない。あと「非実在青少女」以降は中の人の演技に圧倒されっぱなしで、何を聞いても耳が幸せだった。

私の好みかと問われるとそうでもないんだけど、それでも拓留は本当にいい主人公だったと思えたし好きな主人公になった。だから『カオチャ』は面白かったんだろうな。

尾上世莉架 (CV:上坂すみれ)

拓留のために事件を起こし、拓留に事件を提供し、拓留に解決させるよう導いてきた最強の幼馴染みヒロイン。『カオチャ』はそんな拓留と世莉架の物語だった。

世莉架のことはずっと疑っていた。最初に疑ったのは「回転 DEAD」でラブホテルの裏口のドアが開いてたとか言い出した時で、思わず「そんな都合のいいことがあるか! お前が犯人だろ!」と突っ込んだけど、この時はまだノリで世莉架を指差している心境に近かった。けどその後ゲンさんにラブホテルの事件について教えてくれたことを感謝する場面があって、その時のゲンさんが酔ってて返事もはっきりしなかったから本当にゲンさんに教えられたかどうかが疑わしく、穿った見方だけど読者に「ゲンさんに教えてもらったことで事件のことを知った世莉架は犯人から除外していい」というアピールに見えて一気に疑惑が深まってしまったんだよなあ。ゲンさんがグルである可能性も捨て切れなかったけども。更にその後、動画の一瞬の映像から初見で力士シールがあることに気づくシーンでほぼ黒だと認識した。目聡いにもほどがあるでしょうが。この時から世莉架の「タク、あれを見て!」とか「あ、そういえば……」という台詞は全部コナン君の「あれれ~?」にしか聞こえなくなった。そして私が一番気になっていたのが、どうやって拓留がギガロマニアックスなんて突拍子もないところに到達するのかという点にあったんだけど、神成さんと久野里さんの小声の会話が聞こえていたという態で世莉架がきっかけを与えていたから思わず「あー」。このシーンは都合良すぎて薄ら寒かった……。後半、カフェで世莉架から受け取ったメニューを開いたら力士シールが置かれていた時に至っては「あーもー世莉架さん勘弁してくださいよ拓留くんデリケートなんですよもうちょっと手心を云々」と完全に世莉架の仕業と決め込んで突っ込む余裕すらあった。

後はホテルの部屋、病院の職員用の裏口、精神科、病院の非常口と毎回世莉架が一緒にいる時に絶妙なタイミングでドアが勝手に開いたりするので、ノック音も含めてドアに纏わる能力を持っているんだと思っていた。まあこれは的外れだったけど。

世莉架を疑った理由はまだあって、それが結衣が死んだ時の反応だった。なんか軽く見えちゃったんだよな。世莉架は家族じゃないしたまたま描写を割愛しただけなのかとも思ったけど、雛絵は描かれていたし華は元々喋らない。でも世莉架は通り一遍のことは言うのに本当に哀しんでいるようには見えなかった。拓留と乃々が嘆いていた分尚更温度差を感じた。これは私が元々世莉架を疑っていたからそう見えただけかもしれない。けど例えそうだとしても、私の中で世莉架の反応の軽さが引っかかってしまったのは事実。

しかし世莉架が自分で事件を起こして拓留に解決させるように動いていることは察せられても、何故そこまでするのかは世莉架の正体がわかるまで謎だった。世莉架のマッチポンプじみた凶行は、拓留が犯人を突き止めることをゴールとして定めているのだとしたら最終的に世莉架が犯人だと指摘されるってことになる。つまり拓留のためなら殺人犯になれるし殺人犯として糾弾されてもいいとすら考えている女の子、という図が出来上がってしまう。そこまで拓留のためだけに人生を棒に振るような、都合のいい女の子で本当にいられるのかが疑問だった。主人公にとって都合のいい幼馴染みキャラをメタったヒロインなのかとすら思っていたもんな(まあその意味も込められているのかもしれないけど)。だから世莉架が拓留のリアルブートによって生まれた存在だと気づいた時は、すんなり納得が行ったと同時に震えた。背筋がゾクッとなる感覚は久し振りだった。

気づいたのは中盤あたりまで進めた時で、復習として『カオヘ』がどんな話だったかを思い出していたら不意に気づいてしまった。拓巳が「将軍」のリアルブートによって作り出された存在で、その「将軍」も老人だったことを考えると自ずと答えが出た。これは拓留が老人であることを事前に知っていたことが大きい。

でも世莉架は人形のようだと表現されている時の方が、不思議と人間らしく見えてとても好きだったなあ。他人の名前をいちいちフルネームで呼ぶところなんて富野キャラっぽくてたまらんよね。一方で普段の「拓留にとって都合のいい幼馴染み」を演じる世莉架も綻びを見せないようにしているところもたまらんなーと思っちゃうので、やっぱりどの世莉架も好きだな、という結論に落ち着いてしまうんだけども。

ただ、世莉架は好みのタイプではあるけどメインシナリオを読み終えた時点ではもう一歩足りないな、とも思っていた。私にとってはキャラクタの魅力も重要なので、最初はメインシナリオへの評価も絶賛するまでは行かなかった。でも個別ルートを通して世莉架がいかにブレないかがメインシナリオ以上に伝わってきて、ここでようやく彼女をものすごく好きになれた。メインだけではここまで私に印象を残すヒロインにはならなかった。雛絵ルートでの暗躍や華ルートでの和久井とのやり取り、うきルートでのラストの晴れやかな表情や乃々ルートで見せる激しい嫉妬と、私が個別ルートも楽しめたのは拓留には見せない世莉架の顔を見せてもらえたからで、結果として私にとって『カオチャ』は尾上世莉架が大きなウェイトを占めることになった。

世莉架は拓留の本心を見抜いてしまうので拓留が成長すれば世莉架にも伝わり、それが世莉架の行動として表れるのも面白かった。顕著なのが乃々ルートのラストで、だからこそ私には乃々以上に世莉架が印象に残ってしまった。世莉架は役割を持って生まれて来た子だから、それが唯一無二で最優先される。それは強力ではあるけれど、役割を失うと存在意義もなくなってしまうから同時に脆くもある。だから拓留が変わってしまえば世莉架は消えてしまうしかない。切ないなあ……。ちなみに乃々たちに嫉妬してしまうほどの拓留への愛情は、拓留がそう望んでいたから誕生した時には世莉架の中にあったものなんだろうけど、例えそうだとしても世莉架の気持ちは本物で、更にその気持ちは拓留と接するうちに育っていったんじゃないかな。TRUE で記憶を失ったはずの世莉架が、かつての自分が拓留に対して抱いていた愛情の残滓を感じ取っていたのはちょっとじんわり来た。

機械が愛を知って翻弄される展開は珍しくもないけど、世莉架は役割があるとはいえそれ以外は普通の人間で感情だって持っている。『カオヘ』の拓巳もそうだった。だからこそ世莉架は悲痛な女の子にしか見えなくて、そんなところがすごく好き。

しかし世莉架の「おっけい」という口癖は、クリアした今となっては深い台詞のように思えて面白い。拓留のすべてを肯定する世莉架だからこそ「おっけい」の一言なんだろうと思うと……。彼女は毎回どんな気持ちで「おっけい」なんて口にしていたのかな。

来栖乃々 (CV:ブリドカットセーラ恵美)

最初はかなり苦手なヒロインだった。拓留に何度も事件に突っ込むなと母親のような態度で接してくるのがイラっと来てしまうんだよなあ……。それと私は「隠し事をするな」と強要されるのが好きじゃないから、このルールを持ち出してくる乃々が一層苦手になってしまった。それでもこの長いシナリオを読み切ったんだから、やっぱり『カオチャ』という作品がそれだけ面白かったってことなんだろうな。それに乃々ルートをやったことで最終的に乃々への苦手意識は取れてくれた。外見も泉理が好みだったなあ。というか乃々が苦手だったのは外見が好みじゃなかったのもあるかもしれない。

乃々ルートのハイライトは、事件に引きずり込もうとする世莉架とカチュア姉さん的スタンスの乃々の対立。この二人が相容れない者同士なのは序盤から見て取れたので対決を期待していたのに、メインシナリオでは一瞬で決着がついてしまって残念に思っていたところの乃々ルートで狂喜乱舞した。あの世莉架を翻弄させることが出来るのは拓留以外では乃々だけかもしれない。嫉妬という世莉架のネガティブな感情を看破して突き付けられたのも、劣等感を抱いて生きてきた泉理だからこそ。一方、乃々も後ろ暗いところがあるのでそこを突かれると弱い。まさに一進一退の攻防。しかし後半、拓留と乃々に揺さ振りをかけに来た世莉架が「殺してやろうかと思ったけど面白そうだから今日はこのままにしといたる」的なノリで去った時は吹いた。なんでそう絵に描いたような敗北フラグをおっ立てて行くんです? シリアスな場面なのに思わず笑ってしまったじゃないですか。

乃々の嘘については、メインシナリオで世莉架と対峙した時のやり取りで乃々の正体に気づいたので驚きはなかったけど、雛絵がいる限り嘘は遅かれ早かれバレてしまう可能性が高いのに「何故ここまで足掻くのか?」と不思議にはなった。乃々の隠し事は私からすれば大したことじゃないと思えたし実際作中でも言及されていたけど、他人が気にしないようなことでも病的に恐れるからこそギガロマニアックスとして覚醒してしまうのか。乃々はずっと劣等感を抱いて生きて来たから、世莉架が自分の役割を失うことを恐れていたように乃々も拓留にバレてしまうことを恐れた。そう考えるとすんなり理解できた。

一方で、私が「それほど大したことないのでは?」と感じた嘘で拓留があれほどに怒ったのも理解できる。一度乃々に隠し事をされてその時にこじれた仲がだいぶ回復して来たのに、乃々はまた嘘をつくどころか嘘の上塗りを重ねていた。そして世莉架の暗躍を知って幼馴染みに裏切られたと感じていた時の出来事だったことと、何より拓留は何度も乃々を疑ってそれでも信じたくて、乃々にもその都度「信じて」と言われていたから信じようとしていたのに結局嘘をついていたことが響いた。こうした出来事が集中してしまうと、さすがに拓留の心はキャパオーバーで爆発せざるを得なかったんだろうなと。

最後は綺麗に終わったように見えるけど、和久井の真意やカオスチャイルド症候群のことは知らないままだから雛絵の結末とあまり差はないような。私は大好きなんだけどなこういうエンディング。大団円もいいけど、やはりこういう結末にそそられる。

それにしても青葉寮の子たちの引っ越しの面倒を見て荷物運びまでやってくれる神城さんは神か。いつも思うけどもうちょっと休んでもいいのよ……。

有村雛絵 (CV:三森すずこ)

「チャオっす」とか「あでぃおすぐらっしあー」とか「そのうちおいおいのちのちあとあと」とか、とにかく独特の言語が面白い少女。私は金髪ツインテールに弱いので、プレイ前は雛絵が一番気になっていた。クリアした今でも好きな女の子だなあ。シンプルに可愛いんだよなあ……。シンプルに可愛い、てのは大きな武器だよなあ……。更に拓留と雛絵は相性がいい。拓留はかっこつけたがりなので、かっこつけてもしょうがない雛絵の前だと自然でいられる。だから雛絵も自然でいられる。この相乗効果が大きい。だから中盤まではラブコメのよーになっていたけど、二人がどれだけイチャイチャしていても順調にフラグを立てているな、という目でしか見れなかった。そしてそれは案の定だった。

興味深かったのが雛絵を取り巻く状況が拓留と酷似していたことで、まず二人はどちらも嘘をつかないというルールを教えられていたのに、肝心のその人に嘘をつかれていたことで傷ついた過去を持つ。その相手が兄や姉だったところも、生粋の兄弟と言えるわけではないところも似ている(雛絵は異父兄妹だったが)。そしてどちらの兄と姉も弟や妹に気を遣って伏せていた。更に拓留と雛絵はかつて自分が見捨てた人物が実は生きていて自分に復讐しようとしている、という不安に駆られる。そして事件の当事者になっていくところまで共通している。と、雛絵ルートの雛絵は拓留の状況をトレースしているかのように見える。だから拓留が少し前までの自分の状況を客観視する構造にもなっていて、そこが面白かった。拓留が雛絵に惹かれたのはそこも大きいのかな。かつての自分と同じ人間だから。しかし私の中で「隠し事をすること」と「嘘を吐くこと」は必ずしもイコールにはならないので、そこで僅かばかりの齟齬を埋めるのに少し時間が必要だった。

しかし雛絵の能力は厄介すぎる。雛絵にとっても周囲の人間にとっても。拓留が雛絵の言葉を疑ったことを取り繕うとして失敗する決定的な場面があったけど、いくら親しい人同士でも嘘を吐くことはあるんだから、雛絵がこの様子だと恋人や家族どころか友人ですら見つけるのは難しそう。世莉架も上位互換的な能力を持っているが、彼女が平静でいられるのは目的が明確で優先順位が定まっているからで、パイロキネシスの女が襲ってくる恐怖に耐えられず暴走してしまうような人間らしい弱さを持つ雛絵には重すぎる。自分の能力に振り回され続けていつまで堪えられるのか。彼女なりに処世術を身に着けてはいるけど、肝心な時に肝心な相手にも能力が発動してしまうとダメージが大きい。一方でメインシナリオにおいて事件の情報を得るのに雛絵の能力が活躍したのもまた事実で、乃々ルートでも雛絵の能力が乃々に対する疑惑が生まれるきっかけになっていた。一長一短。せめて雛絵のほうで任意に on/off が切り替えられればいいんだけども。

嘘を嫌っていた雛絵が、求めた真実に心を殺されたことで嘘の世界に縋るようにして溺れて行った結末は結構好み。今まで色んな感想で書いてきたけど、登場人物が夢や妄想の世界であっても幸せならそれはハッピーエンドだと私は認識する。例え真実が何だろうと、キャラクタ本人が気づかないのであればそれは「現実」と変わらない。雛絵にとっては拓留との甘酸っぱい時間の続きがある世界が現実で、もうそれでいいんじゃないかな。そんな雛絵を見守ることになる周囲の人間はやりきれないだろうけど。

ただ、雛絵が兄の姿を見たのは華の能力の影響ということになっていたのは疑問。何故なら雛絵の兄の姿を見た者は雛絵以外に確認されていないから。そもそも華の能力の発動条件は「華の口にした言葉をきっかけにして複数の人間の妄想が噛み合わなきゃならない」というかなりシビアなものだし(これもナイトハルトの推測にすぎないけど)、仮に雛絵の妄想だけで誘発されて発動してしまったとしても、それだけ強い動機に引き摺られたにしては「雛絵だけにしか見えない」ってのが中途半端すぎる。それに華の能力が発動した場合は拓留にも兄の姿が見えると思うんだよなあ。でも雛絵が兄を見た瞬間に拓留が見たのはマネキンだったり川原くんだったりしたので、やはり久野里さんの見立て通り幻覚かあるいは世莉架の暗躍があって思考誘導されていたんじゃないか。世莉架としては、拓留にとって特別な存在が出来たのならそっちに焦点を当てて事件を起こしていく方向にシフトしたのかもしれない。ニュージェネレーションの狂気の再来事件が途絶えたのも、そのせいだと考えたら納得がいく。雛絵の母親が思考盗撮されていた可能性もあるかな。母親が突然殺人事件を起こしたのもなんか唐突だったし、最後の最後に不敵な笑みを浮かべる満足そうな世莉架の様子からしてもこれが正しい気がしてきた。まあいずれにせよ、真実がどうあろうと華にとっては辛い結末。また自分が友達の人生を狂わせたと思い込んでいるから、このルートの華はますます口を閉ざすんだろうな……。

あ、そうそう雛絵ルートは他にも神城さんが出てきて嬉しかったのと、ギャルゲーの親友キャラだと言われて怒る伊藤に吹いたことも印象に残った。それとこれは共通ルートの内容だけど、雛絵が拓留に「突き刺して、君のエクスカリバー」を言わせるシーンは数少ない楽しめた妄想シーンだった。この松岡ボイスで聞けただけでも『カオチャ』を買った価値はあった。雛絵の「おなしゃす!」連呼もいい意味で酷い。しかしわざわざこんなネタをポジティブ妄想しているあたり拓留はマゾなんじゃないのか。

山添うき (CV:水瀬いのり)

うきは他人の妄想をリアルブートしてしまうという危険な能力の持ち主だったので、派手な展開になるんだろうと思いきや意外にも大人しい内容だった。ひたすら夢を見せられるのでつまらなかったなあ。激動のメインシナリオをクリアした直後に読んだルートだったことも影響しているけど、ここでプレイが停滞しそうになった。ルートに入った瞬間に落ちが見えるのは敢えてそう描いてるんだろうけど、「刺したのは拓留のほうだった」というギミックも別段面白いわけでもなく。うきは優しい子だなとは思ったけど、それ以上の感想も持てなかった。ちなみに一番印象に残ったのが、拓留の妄想でだよもん星人になっていた世莉架だった。そいやどちらも幼馴染みキャラでしたね。

結末は Dream sky end が好きかな。最後の世莉架が印象的というか、拓留が「やりたいことを見つけられた」から世莉架的には目的達成なんだろう。拓留とうきがああなったのは世莉架が事件を起こしたからで、結果的に「世莉架が拓留にやりたことを与えられたエンディング」と捉えることも出来るだろうから。

香月華 (CV:仲谷明香)

華はぶっちゃけいてもいなくても物語には支障のないキャラクタで、それは華ルートもそうなんだけど、以前はそうした要素が含まれていると気になっていたけど最近はそうでもない。むしろこういうポジションのキャラクタやシナリオがあってもいいよね、と思えるようになった。華は可愛かったしシナリオも楽しかったからオールオッケーだ。

華はとにかく喋らない子で会話は全部「ん」で済ませてくるんだけど、この「ん」の言い方がそれぞれ違っていて面白かった。不思議と感情豊かに聞こえてくるのが可愛い。けど情報量があまりにも少ないので、味方なのか敵なのか予想がつかなかった。裏切りもあり得ると思ったし、久野里さんと結託しているんじゃないかと考えたこともあった。蓋を開いてみれば仲間思いの優しい子だった。すまんのう……。

そんな華ルートは清々しいほどのデウスエクスマキナで、ある意味ではメインシナリオより楽しんだところもある。完成度の高さでいえばあちらのほうが断然優れているけど、好みで言うなら華ルートも結構気に入ってしまった。巨大力士シールマンが出て来た時は他のルートの余韻を吹き飛ばすかのような乱暴な展開にウヒャウヒャ笑ったし、何よりナイトハルトの活躍があったのが美味しかった。元々科学 ADV シリーズで一番好きな主人公が『カオヘ』の拓巳だったのでチャットでの会話は私にはもう天国だった。茶化した喋り方をしつつも的確なアドバイスをくれるし、一方で隠しもしない素っ気なさが相変わらずでときめく。彼はクズというより正直なだけなんだよな。拓留がナイトハルトに幻滅していたけど、勝手に憧れられて勝手に幻滅されるナイトハルトが可哀想で笑った。そんな勝手な拓留にも笑ったけど。うんまあ、どっちもいい主人公だと思いますよ。

和久井の出番が多かったのも嬉しい。これまで和久井には然程興味を持てなかったけど、華ルートで本性を現した瞬間から一気に好きになった。和久井があまりにもイキイキしているもんだから画面の前の私までウキウキしてしまった。正直佐久間がちょっとショボいなーと思っていたので、和久井には佐久間の分まで悪役として頑張っていただいて最後にはこてんぱんにやられてくれたらなーとも考えてたんだけど、予想以上にこてんぱんにやられていて泣いた。最後にはフルボッコされた挙句に蠅みたいに力士シールマンの平手で叩き落とされるのとかやるせねー。ていうか拓留と華が容赦なくこれでもかこれでもかとばかりに念入りに和久井を潰すから拓留と華のほうが悪魔に見えてしまった……。そもそも華の能力であそこまで世界が改変されてしまうのなら、委員会が警戒するのも理解できちゃうんだよな。華がやりすぎているのは事実だし、モンスターが増殖し続けている現状で華を放置するわけにはいかない。委員会が華を捕まえてロクでもないことをしようとしているから拓留と華が抵抗するのもわかるけど、当座の問題としては華の能力のほうが厄介なので和久井に肩入れしていた。結果は惨めなものになってしまったけど、そんなところも含めて和久井を眺めるのは楽しかった。和久井の精神攻撃も閻魔の舌引っこ抜きは痛そうで良かった。ディソードでガキンガキンやられるよりこういうバトルのが楽しい。

しかし和久井に対しては「巨大力士シールマンの効果はばつぐんだ!」状態だったけど、力士シールが目を開いたらロールシャッハの画像と違う絵になるのでは? そこは問題ないんかな。案外ファジーな判定なのかもしれない。

というわけで華ルートはナイトハルトと和久井と、そして和久井と世莉架の会話がハイライトだった。拓留が満足できるのなら和久井の邪魔をしない、と判断する世莉架のブレなさが最高だった。ここで和久井が「健気だねえ」と言うのが好きだな。でも実際、和久井を倒して委員会に目をつけられてしまった拓留は今後退屈しないだろうから、世莉架の狙い通りにはなっている。やっぱ世莉架はいいな。こういう女の子がとてもいい。

ところで何故このルートの拓留はものすごいヘタレなんですか? 華の能力が規格外すぎて「華なら何とかしてくれる」とか思っちゃったんでしょーか。

久野里澪 (CV:種田梨沙)

久野里はギガロマニアックスが嫌いだし目的もはっきりしているので、安心できたキャラクタだった。ネガティブな感情を隠さないキャラクタはある意味で読みやすくて安心感がある。特に『カオチャ』のような作品では。でも案外重要な情報をダバーと喋ってくれたりもするので結構ちょろいのが可愛い。そして TRUE での頼もしさは異常。

ところで久野里さんが叶わないと言っていた天才てのが『シュタゲ』の助手のことだったとは、クリアして人から教えてもらうまでまったく気づかなかった……。

伊藤真二 (CV:藤原祐規)

拓留はいい主人公だったし世莉架はいいヒロインだったけど、伊藤も結構面白い親友キャラだった。こうしてみると「面白いギャルゲ」が成立するための必須項目を満たしているのな『カオチャ』って。拓留や新聞部を支え、裏では世莉架たちによる洗脳を受けて物語を残酷に盛り上げた。自分の意志ではないとはいえ親友の妹を殺してしまったけど、お前のせいじゃないと言われても辛いだろうしお前のせいだと言われても辛いだろうな。

実は中盤までは伊藤を疑ったことは露ほどもなかったんだけど、拓留がスマホを落としたのに拓留からの着信があったと騒いだシーンでこれは伊藤の自作自演かな、と考えたら怪しいと思い始めた(実際自作自演ではあったけど)。けどその後もシナリオを読み進めてもやっぱり伊藤が事件に関わっているとは思えなかったんだよなあ。まさかあんな形で関与させられる羽目になるとは想像もしていなかったけど。

それでも伊藤とのやり取りは楽しかったし、解剖室での一件とか、伊藤のハムサンドの恨みとか拓留の股間を揉んだりとか妄想での扱いの酷さに吹いた。しかしネガティブ妄想とはいえ自分が受けになる(?)妄想を自らしている拓留は大丈夫か。

川原雅司 (CV:阿部敦)

川原くんは大好きです。共通ルートで乃々が怪我した際に拓留を殴り、その後に謝罪したくてソワソワしているのも可愛かったし、そこから出番がパッタリ途絶えたかと思いきや乃々ルートでみっともない姿を見せたまま終わったのも吹いた。なんて惨めなんだ……。何やら乃々ルートの川原くんは大層評判が悪いらしいけど私は大好きですよ!

でも乃々にしてみれば川原くんの気持ちは色んな意味で受け取れんよね。悪女だったらそんな川原くんを弄んだり心の中でプギャーしたんだろうけど……ってなんか私がロクでもない人みたいじゃないか。いやロクでもないんだろうけどそれはさておいて、乃々ルートを最後までプレイさせた後に川原くんに「ねえねえどんな気持ち? どんな気持ち?」と聞いてみたいなあ。自分が必死に追いかけていた女の子が実は疎ましく思っていた泉理だと知った時、川原くんはどうするのか。彼は真実を知らないまま終わったけれど、これも「嘘と真実」や「情報強者と弱者」という『カオチャ』のテーマに沿っていると言えなくもない。でも乃々ルートのラストは綺麗に終わったけど、川原くんは突っかかると思うんだよなあ。だって乃々と入れ替わるようにやって来たのが泉理なんですよ。これは川原くんにとっては大きなダメージだろうし、八つ当たりしていてもおかしくはないなと。

でも川原くんが泉理を鬱陶しく思う気持ちは理解できなくもない。誰だって誰かを疎ましく思うことはあるだろうから。でも川原くんはそれを好きな女の子ぶちまけたのが致命的だった。それも相手は泉理本人だしな……。あまりにも惨めなんでさすがに同情せずにはいられなかった。強く生きてくれ、とは「ねえねえどんな気持ち?」と聞きたいとか書いた私が言えた義理ではないけど、それでもしれっとした顔で言う。強く生きてくれ。

和久井修一 (CV:加藤将之)

悪そうな顔してる(失礼)から黒だろうと思ってたのにメインシナリオでは活躍もなく終わって拍子抜けしていたら、華ルートと TRUE で出てきてテンションが上がった。

ところで和久井は真のギガロマニアックスらしく拓留もそうだったけど、本物のギガロマニアックスが誕生するきっかけは何だったのか。和久井はともかく、拓留は渋谷地震以降に本物のギガロマニアックスとして覚醒したっぽいので気になる。

ゲンさん (CV:石住昭彦)

なんか裏で一枚噛んでそーな気はするんだけど、結局何者だったのかわからん。

神成岳志 (CV:桐本琢也)

めっちゃいい人だった。拓留たちの外見が老人でもちゃんと誠実に年相応の学園の生徒として扱っていた。警察にしては拓留にちょっと情報を漏らしすぎなところもあってコンプライアンスとは……と突っ込みたくなる箇所もあるけど、そういう良く言えば柔軟な姿勢が神成さんのいいところでもあるんだろう。特に乃々ルートでは拓留の頼みを聞き入れる場面が多く、その時に拓留にチクチク嫌味を言っていたのも笑った。あれくらい言っても許されるくらいにいい人で働き者だよね。あと久野里さんとのコンビが良かった。

ところでうきに「おまわりさん」と自己紹介する神成さんは萌える。

百瀬克子 (CV:くじら)

『カオヘ』でもお馴染みのキャラクタだったし、ご本人の雰囲気や佇まいもあってこの人が出て来た時の安心感は半端なかった。でもこの人も結構謎だ。掘り下げはよ。

橘結衣 (CV:原由実) & 橘結人 (CV:菊池こころ)

乃々が苦手だった私にとって、乃々二世といっていい結衣も苦手だった。そして苦手なまま彼女は退場した。橘姉弟は事件には関係ないだろうけど関係を持たされるケースはありそうだな、と思ってたらやはり結衣が犠牲になってしまった……が、ここから話がクライマックスへと動き出した感があって一気に面白くなった。

ところで「非実在青少女」は悲惨な目に遭うのが妹で、箱にその肉体の一部が詰められていた、てことで『カオヘ』の七海の事件を世莉架が倣った(指示したのは佐久間らしいけど)んだと思ってたんだけど、クリア後に読んだインタビューによると違うらしい? そいや七海の事件を知っているのは世間には公表されてなかったんだっけか。それなら世莉架や佐久間が事件の概要を知る由もないし、やっぱり関係ないのかな。

結人は能力者じゃないみたいだけど、姉を殺されたことで能力に目覚めてしまう展開はありそう。次のカオスなんちゃらシリーズ新作主人公の可能性。

佐久間亘 (CV:志村知幸)

私がプレイ前に踏んだ大きなネタバレの一つが「黒幕が父さんである」ってことだったんだけど、事前にネタバレを見てなきゃ予測できなかったなこれは。それくらい佐久間は普通にいい父さんにしか見えなくて到底信じられなかった。カオスチャイルド症候群の真実については問題なかったけど、こちらは知らずに衝撃を味わいたかった。

ところでこの人の思考誘導の能力は万能すぎて、ちょっとテンションが下がったところもある。この能力が動くとそれこそ何でもありになってしまうから。しかも人工ギガロマニアックスでこの強さなんだよなあ。つうかこんなチート能力を持っていながら世莉架に出し抜かれたのか……。やっぱり使う人次第なのね能力って。